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世界一周Gateway──26カ国・65都市の旅が認識のOSを変えた

カテゴリ:世界一周Gateway / 公開:2026年

旅は、最もラディカルなOSのアップデートだ

モンゴルのゲルで一夜を過ごしたとき、「家とは何か」という問いが生まれた。ベトナムのホーチミンで2500万台のオートバイの流れに飛び込んだとき、「秩序」という概念が揺らいだ。ボリビアの高地を深夜バスで移動しながら、「時間通りに来る」という前提が崩れていった。モロッコのフェズのメディナで迷子になったとき、「観光客」と「住民」の境界が消えた。

これらの体験に共通しているのは、日本で「当然」だと思っていた前提が、まったく通用しないという感覚だ。

これが「認識のOS」というテーマの出発点だ。認識のOSとは、私たちが世界を見るときの前提・フィルター・枠組みのことだ。コンピュータのOSがソフトウェアの動作を規定するように、認識のOSは「何を当然とし、何を疑い、何を見えないものとするか」を決めている。このOSは育った環境・文化・言語・経験によって形成され、多くの場合は自分では気づかない。

本を読むことでOSは更新できる。哲学を学ぶことでOSは拡張できる。しかし旅だけが、「自分のOSが唯一の現実ではない」ということを、身体ごと知らしめる。

2014年7月から2015年6月の約11ヶ月間、26カ国・65都市をめぐった。この体験が、今の私の仕事——ロルフィング・コーチング・脳科学——の根底にある。

このGatewayは、その旅の記録と気づきを整理した地図だ。

出発前の決断──なぜ会社を辞めて旅に出たのか

大学で基礎医学研究をしていた10年、製薬会社に移ってからの11年。やりたいと思って飛び込んだ世界で、縁にも恵まれ充実感をもって仕事ができた。

しかし2014年3月、新発売に向けて準備していた薬が承認され、6月に無事発売にこぎ着けた瞬間、「やり尽くした感」が訪れた。

そして自問が始まった。

本当に自分の価値を出せているのか。仕事に受け身になっていないか。本当に自分がやりたいことを今やっているのか——。

そこで1年を目処に長期休暇を取り、自分自身と向き合うことにした。その中に「世界一周」があった。

3つの目標があった。ロルファー(ロルフィング)の資格を取ること。アーユルヴェーダの施術を受けること。そして世界一周旅行券で、今まで行ったことのない国々を回ること。

この3つに共通していたのは、「薬に頼らない医療の現場を自分の目で見たい」という問いだった。製薬会社に11年いた人間が、世界中の代替医療・身体ワーク・伝統医学の現場に直接触れる旅——それが世界一周の本当の動機だった。

その旅が、今のロルフィング・コーチング・脳科学という仕事の原点になっている。


旅の軌跡──26カ国・65都市の記録

旅はドイツ・ミュンヘンから始まった。以下は実際のルート順に沿った地域別の記録だ。

① アジア前半:ドイツ→モンゴル→ベトナム→マレーシア→トルコ

2014年8月、ミュンヘンに降り立ったのが旅の最初の一歩だった。その後モンゴルに向かい、ゲルで乗馬し、ウランバートルの草原に立ったとき「広大さ」という感覚が身体に刻まれた。ベトナムのホーチミンでは2500万台のオートバイが作り出す喧騒の中に独特のエネルギーを感じた。マレーシアのクアラルンプールでは友人と再会し、海外で生きることの豊かさと複雑さを目の当たりにした。

トルコはヨーロッパとアジアの境界線上にある国だ。イスタンブールとカッパドキアを訪れ、歴史の重なり方が日本とも西洋とも根本的に異なることを実感した。

② 南米:チリ→アルゼンチン→ボリビア→ペルー→ロサンゼルス

アルゼンチンのパタゴニア・ロス・グラシアレス公園で氷河の遊覧をしたとき、地球のスケールを身体で感じた。ボリビアではウユニ塩湖、ポトシの鉱山の歴史、ラパスの喧騒、スクレの静けさ——標高4000mを超える高地を深夜バスで移動しながら、ボリビアという国の多層性と向き合った。

ペルーではマチュピチュへの山道を歩き、インカ文明が残した石積みの精緻さに言葉を失った。ナスカの地上絵を上空から見下ろしたとき「なぜ作られたのか」という問いが今も残っている。ペルーだけで15の記事を書いた。その後ロサンゼルスを経由して欧州へと向かった。

南米の全記録は北米・南米カテゴリから。

③ 欧州・アフリカ:ロンドン→ベルリン→ギリシャ→デンマーク→バルセロナ→モロッコ→スペイン→ポルトガル

旅で最も長く滞在した地域だ。ロンドンの文化発信力、ベルリンの分断の歴史、アテネの古代遺跡、コペンハーゲンの福祉社会、バルセロナのガウディ——それぞれの都市が異なる「社会のOS」を可視化していた。

モロッコのメディナに足を踏み入れたとき、「観光客」と「住民」の境界が曖昧になる感覚があった。フェズの迷宮のような路地、タンジールの風——欧州とも中東とも異なる独自のOSを持った地域だった。セビリアとリスボンは500年前に世界地図を書き換えた航海者たちが出発した地だ。歴史の重みを身体で感じることは、知識として知ることとまったく異なる体験だった。

④ アジア後半:スリランカ

旅の動機のひとつだったアーユルヴェーダの施術は、スリランカで実現した。内戦後の復興途上にある国で、伝統医療が現代医療とどう共存しているかを直接見た。

全記録

旅の全記録(約160本)は旅・世界一周カテゴリから読むことができる。

地域訪問国・地域
アジアモンゴル・ベトナム・マレーシア・トルコ・スリランカ
北米アメリカ(ロサンゼルス)
南米チリ・アルゼンチン(パタゴニア含む)・ボリビア・ペルー
欧州ドイツ・イギリス・ポーランド・ハンガリー・ギリシャ・デンマーク・スペイン・ポルトガル
アフリカモロッコ
合計26カ国・65都市

旅の中で気づいたこと──「世界一周から学ぶ」シリーズ

旅の途中・帰国後に書いた振り返りシリーズだ。実用的な情報から、OSへの深い気づきまで。

実用的な学び(①〜⑧)

OSへの深い気づき(⑨〜⑪)

10年後の総括

旅から10年が経った2025年、改めてこの旅が何をもたらしたかを書いた。

旅がOSをどう変えたか──2026年の現場から

10年以上が経った今、この旅が自分のOSに何をもたらしたかを整理すると、3つに集約される。

「常識」の相対化。日本で当然だと思っていたことが、世界の一つのOSに過ぎないとわかった。26カ国を旅して気づいたのは、「正しい生き方」は一つではなく、それぞれの文化・歴史・家族構造が異なるOSを生み出しているということだ。これが哲学・組織シリーズで扱う「認識のOSを知る」という問いの出発点になっている。

身体で学ぶことの圧倒的な深さ。本で読んだ知識と、その場で身体を通じて体験した知識は、根本的に異なる。パタゴニアの氷河、マチュピチュの石積み、モロッコのメディナ——それらは知識ではなく「身体の記憶」として刻まれた。ロルフィングという身体から認識を変えるアプローチへの関心は、この体験から来ている。

文化の多様性は「ズレ」ではなく「異なるOS」だという視点。コーチングの現場で多様な背景を持つクライアントと向き合うとき、この視点が繰り返し役立っている。

旅は終わった。しかし旅が書き換えたOSは、今も動き続けている。

旅の気づきを理論化したシリーズ

この旅で体験した「OSの違い」「OSの変容」という実感を、帰国後に哲学・脳科学・人類学の視点から理論化したのが以下のシリーズだ。旅の記録と並行して読むと、体験と理論が重なり合う。

「OSとは何か」を知りたい方へ:

「OSのバグ」を知りたい方へ:

「OSの進化的起源」を知りたい方へ:

関連シリーズへのリンク

シリーズつながり
製薬開発・エビデンス・健康長寿の地図製薬会社を辞めて旅に出た著者の原点
意識・状態変化シリーズ旅で体験した意識変容を現代的実践に接続する

関連サービス

旅が変えたOSを、今の現場でどう活かしているか——その実践がロルフィング・コーチング・脳活講座という三つのサービスに結晶している。

→ 身体から認識を変える:ロルフィング・セッション

→ 対話で自分のOSのクセを可視化する:コーチング(個人・法人)

→ 脳科学から認識の仕組みを学ぶ:脳活講座(基礎編・統合編)


著者:大塚英文(Ph.D.)|渋谷を拠点に、ロルフィング・コーチング・脳活講座を提供。神経科学・哲学・身体知の交差点から、個人と組織の「認識の変容」を扱っている。

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