【N#85】有害ミネラルの解毒・排出(1)〜毛髪ミネラル検査の結果+グルタチオンの解毒+有害ミネラル排出の治療方針について
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はじめに
こんにちは!東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。
2020年10月から、月1回、ナチュラルアートクリニックの院長の御川安仁(みかわやすひと)先生(以下御川先生)にお世話になっている(開始から12ヶ月経過)。
2021年9月14日(火)に毛髪(150g)を採取、米国の検査機関(Doctor’s Data Inc)へ郵送。
9月末に結果が出てきたので、今後の治療方針(有害ミネラルの解毒、排出)を含め、結果を伺いに四谷へ行ってきた。
まずは、毛髪ミネラル検査から説明していきたい。
毛髪ミネラル検査とは何か?〜必須ミネラルと有害ミネラル
お世話になっているナチュラルアートクリニックの「毛髪ミネラル・尿中重金属検査」に、必須ミネラルと有害ミネラルについてわかりやすくまとまっている。
「必須ミネラル」とは、細胞や細胞内にあるミトコンドリア、遺伝情報を後世に伝えるDNA等、人間にとって必要な内臓の働きの促進、骨や歯の健康維持、代謝の補助、健康維持に重要な働きを持つ物質のこと。体内で作ることができないので、食品やサプリメントとして外部から取り入れることが重要だ。
「有害ミネラル」とは、体内に低い濃度で蓄積されている有害重金属のこと。通常低い濃度だと、体外に排出されるので問題がない。
しかし、何らかの原因(代謝異常等)によって有害ミネラルが体内に蓄積すると、血液により体内の脳、内臓等、あらゆるところへ運ばれてしまい、発達障害、神経機能を含め、ありとあらゆる影響がある。偏頭痛、アトピー、喘息を含めたアレルギー疾患、自閉症、ADHDにも関わっている可能性があり、要注意だ。
毛髪ミネラル検査は、体内(細胞、臓器等)から毛髪に排泄されるミネラルの量を測ることで、必須ミネラルの過不足の傾向、有害重金属の傾向、重金属の排泄能力を測ることができる。
検査項目(ナチュラルアートクリニックのHPより)は、以下の通り
9月14日、毛髪を採取。Doctor’s Data inc.社へ郵送し、9月下旬に結果が戻ってきた。
グルタチオンと解毒〜解毒能力はどうか?
重金属を排泄するのに重要な役割を果たすのが、水に次いで多い「グルタチオン」という物質。
2019年6月10日、あんどう口腔クリニックの安藤麻希子先生に有機酸検査(OAT検査)を依頼(本検査の背景については「有機酸検査の結果+体質を理解すること:カンジダ菌、シュウ酸、ビタミンB群不足のこと。そこから先は?」をご参照ください)。
その際、グルタチオンの解毒能力が低下しているときに、2つの有機酸(ピログルタミンと2ーヒドロキシ酪酸)マーカーが高くなる。
私のOAT検査によると、この2つの有機酸が高いことが明らかになっている。
血液検査からもホモシスティンが高いことや、グルタチオン解毒能力が低くなる時に高まる酸化ストレス、酸化力の低下などもBAP/dROM検査を行った際に、明らかになった(「「水素点滴」の治療を受け終えて〜BAPとdROMsテスト検査と今後の方向について」)。
これは、血液検査から、好中球の値が高いこと。好中球は、活性酸素を発生させ、細菌やウィルスに対処するが、アトピー性皮膚炎、交感神経優位になる時にも、好中球の割合が高まる。活性酸素を無毒化するのもグルタチオン。残念なことに、グルタチオンの解毒能力が、作られる活性酸素の量に追いつかないと、酸化ストレスが高まってしまう。
BAP/dROM検査で、ある程度活性酸素の対処能力がわかる。
このように、OAT検査、血液検査、BAP/dROM検査などの結果から、グルタチオンの解毒能力が低下している可能性が高いことがわかってきた。
そこで、具体的には、サプリメントとしてNAC(Nアセチルシスティン、グルタチオンの材料の一つシステインを代謝しやすいように合成したもの)、吸収率を高めたリポソーマル型グルタチオン(舌下で摂取)、ビタミンC+グルタチオンの注射(週1回)、タチオン錠剤の4つを併用。
個人的には、リポソーマル型グルタチオンと注射の併用を行うようになってから、疲労感が取れる印象だ。
グルタチオンは、システィン、グリシン、グルタミン酸の3つのアミノ酸が結合したトリペプチド(トリ=3つのアミノ酸が結合(複数のアミノ酸が結合することをペプチドと呼ぶ)したもの)だ。
グルタチオンに含まれるシスティンに含まれる硫黄が重金属に結合して、身体の排泄を促すが、これらが十分に作らなければ、解毒作用を示さない。
有害重金属が身体内にあると、グルタチオンが作られる手前の代謝反応を邪魔し、解毒能力が低下する。
もちろん、サプリメントを摂取したからって全て使われるわけではない。
「Glutathione Revolution: Fight Disease, Slow Aging and Increase Energy with the Master Antioxidant(未邦訳)」によると、
1)グルタチオンの錠剤(タチオン)で取ると、16%の吸収率を示し、全てが利用されるわけではない
2)グルタチオンを注射で投与すると、身体内の要求度が高いので30分〜3時間以内で消費される
といった事実を紹介している。
グルタチオンは再利用されるが、酸化ストレスや重金属が身体内で多いと枯渇してしまう。そこで、サプリメントを使って、グルタチオンの材料を補い、解毒能力を外部から高めつつ、有害重金属を取り除くことによって、本来の身体の内部にある解毒能力を回復させる方向で治療を進めている。
検査結果〜水銀とヒ素、ミネラルの輸送問題
毛髪検査の結果に戻りたい。
毛髪ミネラル検査は、「必須ミネラル」と「有害ミネラル」を調べていくが、有害ミネラルで多かったのが、水銀とヒ素。
グルタチオンのサプリメントや注射で対応していたので、警告レベルまで上がっているわけではないが、高めであったのは事実。
毛髪は、体内の毒素を排泄する器官の一つであり、身体から毛髪へミネラルが運ばれることで、外に出される。
必須ミネラルの検査を調べるのは、正常にミネラルが毛髪まで届けられているかどうか(輸送能力)を検証するために行う。
必須ミネラルがバランス良く排泄されていれば、輸送能力に問題がないが、5つの必須ミネラル(クロム、リチウム、コバルト、鉄、硫黄)の排泄が低下していることが明らかになった。4つ以上のミネラルの低下が認められた場合には、ミネラルの輸送障害を疑う。
1)血液から組織へ郵送され、組織内でミネラルが使われていない
2)水銀の量が多く、他のミネラルと合金(アマルガム)を身体内で作ってしまう
といった可能性が考えられる。
クロムはビタミンB12の構成成分、リチウムはビタミンB12を細胞の中に取り入れるのに使われるミネラルである。
ビタミンB12を多くとっても、クロム、リチウムが細胞内で使われないと、グルタチオンの産生に影響を及ぶ。
毛髪ミネラル検査の結果から、水銀、ヒ素等の有害ミネラルを取り除いていく治療が必要だということがわかった。
有害ミネラルを取り除く治療〜治療オプションとして何があるのか?
有害ミネラルを取り除く治療は、2〜3ヶ月かけて行う。
例えば、キレート剤(カニのハサミの意味で、ミネラルをキレート化合物の中に取り込むことができる物質)を摂取することで、水銀を含めた有害ミネラルをキレート剤に結合させ、排泄させる。通常、キレート剤として、DMSA(meso-2,3-dimercaptosuccinic acid)を使い、グルタチオン、活性炭、クロレラ(八重山クロレラ)等を併用する。
今回は、御川先生と話し合った結果、クロレラ、水銀の解毒に有用な医療用医薬品のチオラ、ともう一つのサプリメントの3つを摂取する予定だ。
この3つを1ヶ月間を目処に治療を進めていく予定だ。
3つ目のサプリメントはmg単位で計量するため、「デジタル軽量機器」「アズワン 薬包紙(パラピン)」「極厚計量スプーン」の3種の神器をAmazonで注文。
到着し、準備が整った1週間後に開始を考えている。
まとめ
2021年8月の下旬から開始したモリブデンのサプリメントも1ヶ月がすぎ、毛髪ミネラル検査の結果も出た。
そこで、2021年10月初旬(1週間後)から、いよいよ有害ミネラルの治療が始まる。
分子栄養学の治療を行うようになってから1年がちょうど経過。
身体の栄養が整っていない状態で、いきなり有害ミネラルの治療を行うと、身体に大きな負担をかけてしまう。
そこで、
1)細胞の発電所と呼ばれるミトコンドリアが働けるように、関係する回路(TCA回路、電子伝達系)を回していく(約2ヶ月間、2020年11月〜2021年1月)
2)腸内環境を整える(1):腸内細菌(プロバイオテイックス、酪酸菌、乳酸菌、ビフィズス菌)を補い、腸内壁を整えるL-グルタミンを取り入れる(約3ヶ月間、2021年1月〜4月)
3)腸内環境を整える(2):腸内細菌の中で有害と言われている、真菌(カンジダ)や細菌(クロストリジウム)を抗真菌薬とハーブ(抗菌薬)で除菌する(約3〜6ヶ月間、2021年5月〜)4)重金属除去:水銀、カドニウム等の重金属を身体から除く作業(約3ヶ月間)
の4つのステップで治療を進めた。
ようやく、最終段階の4つ目のステップへ。
第4段階の治療で何が起こるのか?楽しみつつ、前進していきたい。
過去の記事〜2020年10月からの分子栄養学の取り組みについて
過去の取り組みについては、下記の記事をチェックしてください!
「御川先生の診察と血液検査〜アレルギー性皮膚炎の治療の再開」(1回目の診察)
「分子整合栄養医学って何であり、どのように発展してきたのか?〜歴史からみる」
「血液検査から何がわかるのか?〜腸内細菌の環境、蛋白質・脂質がどのように身体内で利用されているのか?神経伝達物質はどうか?を含め」(2回目の診察)
「細胞のエネルギー代謝の働きを高めるステップ1から、次の腸内環境を整えるステップ2へ」(3回目の診察)
「腸内環境を整えるステップへ〜リーキーガット症候群とは何か?〜何に取り組んでいるのか?」(3回目の診察から1週間後)
「「水素点滴」の治療を受ける〜アトピー性皮膚炎治療の一環として〜BAPとdROMsテストで検証」(水素点滴を5回受ける)
「「水素点滴」の治療を受け終えて〜BAPとdROMsテスト検査と今後の方向について」
「サプリメント+ステロイドとの併用〜必要ならば西洋の薬を使うことが大事」(4回目の診察)
「腸内環境の除菌(1)〜食事制限と抗真菌サプリメントを使った治療へ」(5回目の診察)
「腸内環境の除菌(2)〜真菌と細菌の違い+ダイオフとは何か?」(5回目の診察から2週間後)
「腸内細菌の除菌(3)〜ダイオフ症状(アルコール、重金属、メチレーション回路)について」(6回目の診察)
「腸内環境の除菌(4)〜ダイオフ(痒み、brain fog)への対処はうまく行っているのか?+食事(グルテンフリー、カゼインフリー)をどう工夫しているか?」(6回目の診察から2週間後)
「腸内環境の除菌(5)〜「活性炭」を使う意味〜そもそも活性炭とは何か?」(7回目の診察)
「ビタミン(サプリ)の効果の検証〜7ヶ月(2020年11月〜6月)の取り組み、医師の下、血液検査の結果」(8回目の診察)
「腸内環境の除菌(6)〜カゼインフリー、麹フリー、グルテンフリー、砂糖フリーの生活をどう送っているのか?」
「腸内環境の除菌(7)〜INTERFASE(真菌の除菌)から日野百草丸(真菌、細菌の除菌、整腸、粘膜修復、健胃)へ」(9回目の診察)
「腸内環境の除菌(8)〜ミネラル・脂質の血液検査・途中経過〜どのように検査値が変化しているか?」(10回目の診察)
「腸内環境の除菌(9)〜モリブデンとセレンを取り入れることとその意味」(11回目の診察)
「腸内環境の除菌(10)〜新型コロナワクチン接種・1回目(ファイザー)と血液検査の値への影響について」(12回目、13回目の診察)