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【P#59】新型コロナと免疫〜消化・吸収と免疫との関係、mRNAワクチンはどこまで効果があるの?自然感染に比べどうなの?

はじめに〜国内のワクチン接種率は50%に到達

こんにちは!東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。

新型コロナの感染症が流行してから1年半以上が過ぎた。

Our World in Dataによると、世界の中で、日本ではワクチン接種率(2回とも接種した割合)は50%。
米国の接種率は53%なので、米国の接種率に接近している勢いがある。

一方で、首相官邸の「新型コロナワクチン」のページによると、65歳以上の接種率はなんと90%近く。

いつの間にか、国内のワクチンの接種が大幅に進んでいることがわかってきている。

ワクチンの効果vs新型コロナの感染〜どちらが効果があるのか?

イスラエルは、ワクチン接種率が63%と先行しており、様々なデータが蓄積している。「mRNAワクチンの長期的な有効性〜6ヶ月が過ぎた段階で、どれだけ効果があるのか?」に紹介したように、ワクチンを2回接種しても、6ヶ月後に効果が弱まることがわかってきている。

MedRxivのイスラエルからの最新報告によると(2021年8月25日)、新型コロナに感染した患者さんと比較して、mRNAのワクチンを接種した患者は、13.06倍のリスクで新型コロナの変異株(デルタ株)に感染する可能性があることが報告された。

ワクチンを接種したからといって、完全に新型コロナの感染を予防するわけではなく、感染することはある。

大事なのは、新型コロナに感染した時に、重症化、入院、死亡をいかに抑えるか、だと思う。
ポイントとなるのは、ウィルスに感染した時に、しっかりと栄養をとり、免疫を働かせることだ。

ビタミンD3は「ビタミンD3の欠乏と新型コロナとの意外な関係性〜年齢、肥満、人種、異性化糖の影響」に書いたので、栄養との関係で興味のある方、ぜひチェックください。

今回は、消化・吸収の観点からみた免疫と、免疫には、自然免疫と獲得免疫があること、mRNAワクチンとこれらがどう関わっているのか?について基本的なところを紹介したい。

人間の「免疫」と「消化・吸収」〜表裏一体の仕組み〜両方の理解が必要

人間は「病原体」=「外敵」(細菌、ウィルス)から身を守る=免疫(疫(病気)を免れる)の仕組みが備わっている。
意外と見落としがちだが、「食事」「栄養」も、外から入ってきた「病原体」と見ることができる。
そのため、消化・吸収と免疫は、セットとして調べていく必要がある。

興味深いのは「食事」が消化・吸収されるとき(もちろん、中にはアレルギーという形で抵抗するのもあるが・・・)、
同時に免疫が働くことだ。

食事と細菌・ウィルスを区別するため、消化・吸収に関わる消化管や血液、肝臓、腎臓を含めた臓器には、全て免疫の仕組みが備わっている。

参考に、
私が定義する「消化・吸収」は、
消化とは
「身体(細胞)が利用できる状態にまで分解すること」
吸収とは
「分解したものを肝臓まで送り届けること」
で、胃腸の働きを押さえることが大切だ。

人間の目(視覚)、鼻(嗅覚)、口(味覚)、皮膚(手に取ってみる)で、食事を五感でチェックして口に取り入れる。
実は、
目には、リゾチーム(抗菌成分)
鼻には、鼻毛(埃の除去)、くしゃみ、鼻水によって異物(細菌、ワクチン)を外に出す。
口には、唾液(抗体成分(ムチン、抗菌成分、免疫成分)が出る。
皮膚には、細菌・ウィルスが付着したら、垢に結びついて排除する。
等、ウィルス・細菌を除去するための仕組みが備わっている。

食事は、口から入り、食道を経由して、胃へ。
胃から、胃酸が出るが、強い酸の条件になるので、ここでもウィルス・細菌を除去するのに貢献する。

十二指腸で、中和後、小腸で食事は身体に利用できる状態にまで分解。
栄養は、吸収され、門脈を経由して肝臓に送り届けられる。

小腸は、5〜6mに及ぶが、何と、人体の中で7割の免疫細胞が集中する臓器でもある。
小腸は「病原体」と「栄養」をうまく区別し、免疫と消化・吸収を働かせることができる。
「脳」とは関係なく働くので、小腸は第二の脳とも呼ばれることもある。

面白いのは、食事として「食物繊維」や「オリゴ糖」をとると、短鎖脂肪酸になり、感染に対して免疫細胞(制御性T細胞)が予防的に働きやすくなることだ。
見事に、食事と免疫は密接に関わっている。

最終的に、肝臓から全身に血液を通じて、他の臓器へ送り届けられる。
ちなみに、肝臓も免疫細胞(クッパー細胞)がある。

このように、食事が消化・吸収するところに全て、免疫が関わっている。
つまり、消化・吸収と免疫は表裏一体の関係にあるのだ。

消化・吸収の際、胃酸、唾液を含めた免疫の成分は、蛋白質からできている。
しかも、免疫に働く亜鉛を含めたミネラルを吸収するためにも、胃酸が必須だ。
免疫細胞は、油(細胞膜)も必要なため、感染を予防するためには、五大栄養素(糖質、脂質、蛋白質、ビタミン、ミネラル)を積極的に取り入れることがいかに重要か、ご理解いただけるかと思う。

一方で、mRNAワクチンは何でできていて、どのように働いているのか?を見ていくためには、自然免疫と獲得免疫の理解も不可欠だ。
(やや専門的なことが続くので、興味のあるところを読んでいただければ幸いです)

免疫は2種類ある〜自然免疫と獲得免疫

「病原体」を外部の侵入から防ぐ仕組みとして、自然免疫と獲得免疫の2つがある。

病原体が、身体の外から中へと侵入する際に、先程書いたように、皮膚や粘膜(鼻、口、目、肛門)といった障壁=バリアがある。
穴が空いている場所は全て病原体の入口。
生まれつき備わっている免疫の仕組みの一つ、自然免疫が働く。

自然免疫には、好中球、好酸球、好塩基球、マクロファージ、樹状細胞等があり、主な役割は、病原体を捕食すること。
対処のスピードが非常に早い。残念なことに「記憶」できないので、同じ反応を繰り返し行う。

自然免疫では対処できない病原体もある。
その場合、自然免疫は、
獲得免疫に
「迎撃をお願いします!」
と指令を出す。

獲得免疫の働きは、侵入した「病原体」を記憶すること。2度目に入ってきたら、速やかに迎え撃つため「記憶」できる。
抵抗力を「獲得」できるので、獲得免疫を呼ばれている(働くのは、主にT細胞、B細胞)。弱点は、この反応は時間がかかることだ(活性化するのに数日かかる)。

ウィルス感染は、自然免疫では対応するのが難しいので、獲得免疫の助けが必要。
ワクチンは、獲得免疫を活性化させ、記憶させるために行われる。
具体的には、弱毒化したウィルスに「免疫賦活剤(アジュバント)」を混ぜた上で、注射で接種する。

免疫賦活剤は、獲得免疫を刺激するために入れるもの。
弱毒化したウィルスだけでは免疫の働きが弱いので、免疫賦活剤を入れるのだ。

分子栄養学(オーソモレキュラー栄養学)を学んでいる方は、ご存知かと思うが免疫賦活剤にアルミニウムが使われている。

参考に、獲得免疫を刺激するので、ワクチンを接種すると、当然のことながら、さまざまな免疫反応が起きる。
ワクチンは、人間の身体の中の反応を促すため、
「薬によって期待される作用以外の作用」=「副作用」
と区別して
「副反応」
と呼ばれる。

新型コロナ感染患者vsワクチン接種患者〜どっちが効果があるのか?

さて、日本で使用されているワクチンはmRNAワクチン。
mRNAコロナワクチン〜技術的に何がすごいのか?〜移民の力と起業家精神」に詳しく書いたが、新型コロナウィルスの情報の一部(S蛋白質)をmRNAとして設計し、mRNAワクチンとして活用している。

mRNAをそのまま使うと、身体が病原体として判断し、免疫が働いてしまう。そのままでは、医薬品として使えない。
mRNAの一部を別の物質に置き換えると免疫が抑えられることをハンガリー人のカタリン・カリコ(Kariko Katalin)博士とドリュー・ワイスマン(Drew Weissman)博士が明らかにした。

その後、黒木登志夫先生の「ワクチン開発物語」によると、この免疫は「自然免疫」であることを大阪大学の審良静男教授によって明らかになったことを紹介している。

これらが全て明らかになったのが、新型コロナが流行する前。
mRNAワクチンの技術が流行する前に全て準備されていたのは、幸運だった。
また、長所として、mRNAワクチンのいいところは免疫賦活剤を入れる必要がないこと。
免疫賦活剤が入っていなくても、免疫が働くのだ。

ただし、冒頭で話したように、mRNAワクチンは、完全にコロナウィルスの感染を抑えることができないこともわかってきた。

新型コロナウィルスは、感染に関わるS蛋白質以外に、N、E、M蛋白質とRNAから構成される。
ファイザー、MODERNA、アストラゼネカのワクチンは、人間の感染に関わる「S蛋白質」のみに標的を絞ってデザインされたワクチン。

mRNA(S蛋白)のワクチンは、免疫系のごく一部の獲得免疫(B細胞による獲得免疫)のみ。
ファイザーワクチンの例からすると、1回目の接種から2回目の接種は3週間、2回目から7日後に、免疫(中和抗体)を獲得すると考えられている。
免疫獲得する、1ヶ月近く、免疫が成立していない間、コロナウィルスに感染する可能性がある。

このため、ウィルスを構成するN、E、M蛋白質に対してはワクチン効果がない。
これらの蛋白質に対して、ワクチンを作る場合には、生ワクチンか不活化ワクチンが必要だ。

実際、イスラエルのデータを見ると、新型コロナに感染した人と比較して、ワクチンを接種した人が再度感染するリスクは13倍に及ぶ。
やはり、S蛋白質だけのワクチンよりも、ウィルス全体で感染した方が感染する確率は大幅に低下しているのは、事実のようだ。

では、
「どうしたらいいのか?」
個人的には、新型コロナに感染することを予防するよりも、如何にして、重症化を抑えていくことの方が大事。
それには、ワクチンは一定の効果を示すが、中には、ワクチンを接種したくない人も多くいらっしゃると思う。

私の講座でも伝えているが、「薬」に頼らない、感染予防につながる食事や、サプリメント(亜鉛、ビタミンD、ビタミンA、マグネシウム)を意識し、自分で判断していくことも大事になるのではないかと思う。

まとめ

今回は、ワクチンや免疫について、食事の消化・吸収の視点から取り上げさせていただいた。
少しでも、参考になれば幸いです!

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