【J#14】【第二回】漆と金継ぎワークショップ〜伝統の奥深さを再認識
前回の6月に続いて、第二回目の漆と金継ぎワークショップを受けてきた。
主催は、前回同様、アバンギャルド茶会の近藤俊太郎さん。講師は漆工芸家・陶芸家の菱田賢治先生。まずは、漆に使う道具の紹介があったが、その圧倒的な多さにびっくりした。
例えば、ネジ筆。ネズミの毛の筆で、高級なものになると、半水棲ネズミの水毛を使う。その先端のみを使うものであるため、一本約十万円する。他には、馬毛や羊毛を使うものもある。そして、前回漆を扱った際に、ヒトの毛を使った。本当に道具一つ一つ、見ていて飽きない。
さて、前回、漆加工した器をムロ(下の発泡スチロール、20度、湿度80%を維持して、1ヶ月間置いた)から器を取り出した。
器にはみ出ている漆の塊を、ナイフや刃物で削るわけだが、ここでは、紙やすりは使わない。というのは、紙やすりは刃物やナイフに比べると硬度が高いため、余計な傷をつけてしまうからだ。刃物の方が、実は融通が利き、きれいに仕上がるのだ。
実は、この段階で削っては、漆を塗り、削っては漆を塗るという手間をかけるとの事。数日かけて最終的に仕上げても、コストが3000円ぐらい。職人も悲しい!!
そして、削りが終わり、しっかりと平面が整えたら、平面の上に絵うるしを下地にぬる。
下地をしっかりと塗ったら最後に、金継ぎへ。実は、金というのは始めてみてわかったのだが、色が黄土色。磨くと輝きが出る。金の面白いところは、形に応じて、丸粉、平目粉(丸を潰したもの)、梨粉の三種類にわたる事。その上にサイズによって大きい順に1号から15号まであって細かい。今回は磨きやすいことを配慮して、1号の丸の形を使った。金だけ見ても奥深い。
漆の技術は、奈良時代から全く不変で、同じ道具、材料を用いている。つまり、聖徳太子が生きた頃から変わっていないのだ。残念ながらこういった伝統芸は他のケースに漏れず、コストのかかる技術のため職人がどんどん減っている。
こういった職人芸というものが後世に残る方法はないだろうか?
今週末、菱田先生の工房を訪問する予定。この世界をまずじっくりと見てみたいと思う。