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【P#86】東洋と西洋ではカフェインをどう活用したか?〜カフェインとは何か?②〜刺激薬の歴史⑤

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

カフェインとは?〜集中力と目覚め

コーヒーや緑茶に含まれるカフェインとは何か?向精神薬の中では精神刺激薬(stimulant)として分類されるカフェインは、脳にどのような影響を及ぼすのか?前回、カフェインが脳に与える影響についてまとめた。

カフェインは、ドーパミンとアセチルコリンを増やすことで「集中力」が上がり、睡眠を促す物質「アデノシン」の働きを止めることで「目覚め」ることが知られている。興味深いことに、東洋と西洋では、この性質を違った形で活用していることだ。

今回の投稿では、社会的にどのような影響力があったのか?東洋と西洋と対照的な活用法について紹介したい。

東洋文化と茶〜スピリチュアル・宗教・茶道

東洋では、お茶は、労働・経済的よりもスピリチュアル・宗教的な側面(道教、儒教、禅)で注目された。中国で、茶葉のプランテーションが始まったのは、数千年前。僧侶たちが、目覚めをよくし、集中力を増し、瞑想に入りやすくするためのツールとしてお茶を使用した。

更に、東洋では、お茶を薬(「うがい薬」や「風邪薬」)として活用したこと。植物中には高濃度のビタミン、ミネラルを含んでおり、赤ワインよりポリフェノールが多い、抗酸化物質の多さから重宝されてきた。

茶が中国から日本にいつ伝わったのかははっきりしていないが、奈良・平安時代に唐の遣唐使や留学僧によってお茶の葉を蒸して固めた「団茶」という形で日本に伝わる。

1191年、栄西が宋への留学時代に、種木、苗木を日本に持ち帰り、禅寺で抹茶の飲み方を身につけ、闘茶も流行った。室町時代から戦国時代には、村田珠光が見いだした「侘び茶」を、 武野紹鴎がさらに洗練され、弟子の千利休が完成させた。

日本では、完全に礼儀作法、儀式という形でお茶が取り入れられたところに特徴があったが、西洋では、どのようにしてお茶を取り入れたのか?マイケル・ポーランの「意識をゆさぶる植物〜アヘン・カフェイン・メスカリンの可能性」を参考にまとめたい。

西洋文化と茶〜コーヒーハウス、集中、生産性

欧州にコーヒーやお茶が登場する前は、アルコール飲料を消費(朝・職場・夜)していた。当時の仕事は、集中力を増すという発想がなかったというのが大きかった。産業革命に入り、機械を扱うようになり、アルコールの害が指摘され、それに代わる飲料として、コーヒーやお茶が注目されるようになる。

1629年、アラブのコーヒーハウスが、ヴェネツィアに登場。1650年には、ユダヤ人移民によって、英国のオックスフォードにコーヒーハウスが登場した。

当時、アラブの商人がコーヒー豆の製造から販売までの権利を独占していた(ロンドン、パリ、アムステルダム等)。1616年、オランダ人がイエメンの湾岸都市のモカからコーヒーの植物を盗み、アムステルダムで育種。最終的に、ジャワ島でプランテーションに成功することで、欧州でコーヒーが広まるきっかけとなる。

1856年にコーヒーハウスで広告登場、コーヒーハウスで販売されるようになり、150年近くかけて市民まで広がっていく。集中力と仕事の生産性を飛躍的に上がることが判明、普及に貢献する。

余談だが、コーヒーハウスは、学会設立、新聞、雑誌、銀行、保険会社、株式の売買の原型となった。というのも、訪れる人の階級に差がなく、情報交換が行われたというのが大きかった。

英国は、アジア(中国)との貿易を東インド会社を通じて、外交の権利を握るようになった。調査した結果、茶の樹木が確認し、セイロン(スリランカ)をはじめとするイギリス領植民地へお茶の葉を移植する。プランテーションの形をとって英国へ輸入。低コストで生産可能となる。コーヒーに代わり、お茶が普及する。

過酷な長時間労働に耐えるような集中力と目覚めの力として「お茶」を、エネルギー源として「砂糖」を組み合わせたミルクティが労働者に恩恵を与えることになる。

まとめ

今回は、カフェインについて、東洋と西洋で、どのように活用されたか?東洋では、スピリチュアル、宗教的な側面から活用されたのに対し、西洋では、集中力、労働生産性など、産業革命との関係で発展したことについてまとめさせていただいた。

少しでも、この投稿が役立つことを願っています。

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