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【N#181】自力で取り組む〜2019年5月〜2020年10月〜分子栄養学とアトピー治療の5年間・総集編①

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

私が、アトピー性皮膚炎の治療として、分子栄養学の手法を取り入れるようになったのは、5年前(2019年5月)。この5年間で、長年悩んでいた皮膚症状も改善し、ステロイドに依存していた身体も、使用頻度が激減した。

5年間の分子栄養学とアトピー治療を振り返って

過去5年間、どのような治療を受け、今に至ったのか?について4回に分けてまとめたい。

今回の1回目は、分子栄養学との出会いから、検査を受け、札幌市在住のあんどう口腔クリニックの安藤麻希子先生に診断いただき、約1年。自力で、サプリを取り、食事や保湿を含めた試行錯誤を繰り返した日々。限界を感じ、ナチュラルアートクリニックの院長の御川安仁(みかわやすひと)先生の診察までを紹介する。

参考に、2〜4回までの内容は以下の通り。

2回目は、御川先生にお世話になった日々(2020年10月〜2022年6月頃)までを取り上げ、細胞の代謝を上げる、腸内環境を整える、除菌、重金属の排泄など、医師の下で行うことで、身体がどのように変化したのか?についてまとめている

3回目は、熊谷歯科医院の熊谷倫恵先生、さとこデンタルクリニックの岩前里子先生の両歯科医師から受けた歯の噛み合わせ治療(2022年7月〜)を中心にまとめている

4回目は、まいこホリスティックスキンクリニックの山崎まいこ先生(皮膚科医)で受けたデュピクセント治療(2022年8月〜2023年7月)と、継続して行った分子栄養学の治療を中心にまとめている

分子栄養学の出会いのきっかけ〜高城剛さんの本

分子栄養学を知ったきっかけとなったのは、高城剛さんの「不老超寿:手軽な最先端技術が、「100歳で元気」を実現する」だ。

この本には、分子栄養学的な手法が取り上げられており、興味を持つようになった。そこで、分子栄養学の背景となる知識を身につけるため本を読み「古典的な栄養学と現代の栄養学はどう違うのか?」「なぜ、今分子栄養学が話題になっているのか?体質の違い、遺伝学」の2回に分けてブログにまとめた。

普通、食事をする場合には、食品表示で何カロリーで、どのようなものが入っているのか(炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラル等)を見た上で判断していく。すなわち、「どれだけの食事の量をとったのか」だ。、こちらを古典的な栄養学のアプローチと呼ぼう。

一方で、現代の分子栄養学(オーソモレキュラー)の考えは、人は、十人十色。それぞれ適した量が存在する。
血液や尿検査に基づき、体質に合わせた量は、一人ひとりの体質に合わせて取り入れた方がいいと考える。

高城さんの本には、
1)分子栄養学に基づく「栄養分析プログラム」(25OHビタミンD検査を含む)(血液検査))
2)「有機酸検査(OAT、Organic Acid Test)」
が紹介されていた。

「栄養分析プログラム」は、個人の栄養状態を全体的に知るための血液検査。ビタミンやミネラルの何が不足しているのかが把握できる。こちらは、祐天寺駅から徒歩圏内にある総合医療クリニック・ハタイクリニックに依頼した(2019年5月13日に血液検査実施、同年6月18日に結果入手)。

「有機酸検査」は、細胞や腸内細菌で代謝された物質を調べる尿検査。腸内環境の細菌や体内の細胞の健康状態の理解や、「リーキーガット症候群」があるか否かもわかる(「有機酸検査(OAT)の検査からわかること」参照)。こちらは、札幌のあんどう口腔クリニックに依頼した(2019年6月10日に検体を送付)。

分子栄養学の検査結果①〜2019年6月〜胆汁不足、脂肪肝、腸内細菌の問題

栄養分析プログラムの結果〜2019年6月26日

2019年6月26日(水)、知人の中村恵理子さんからの紹介で、札幌市在住のあんどう口腔クリニックの歯科医師の安藤麻希子先生と知り合いになり、札幌と東京をZOOMで結び、1時間ほどテレカンを実施した。その後、恵理子さんによる分子栄養学の見地からみた個別の栄養指導を受けた。

「栄養分析プログラム」で指摘を受けたのは以下の3点。
1)胆汁のうっ滞(胆汁の流れが減少又は停止した状態)
2)SIBO(小腸内細菌増殖症、Small Intestine Bacterial Overgrowth)
3)脂肪肝を含めた肝機能低下
このようなことから、5から10年にわたって、栄養の吸収阻害による貧血や甲状腺機能低下が続いている可能性があると指摘を受けた(詳しくは「「栄養分析プログラム」の結果+体質を理解すること」参照)。

特に気になったのは、脂肪肝。本当にそうか、調べるために、久留米市近郊にある某病院へ。血管(動脈)の中にある血管プラークの状態を見れる超音波エコー検査(以下エコー検査)を保険診療で2019月11月13日に受診。検査の結果は「超音波血管エコー検査と太宰府天満宮への観光」にまとめた(問題なしと診断)。

有機酸検査の結果〜2019年7月18日

2019年7月18日に再度ZOOMによるテレカン。今度は有機酸検査について伺った。有機酸検査によって明らかになったのは、腸内環境において、カンジダ菌やクロストリジウムが優勢であること。

それだけではなく、
1)シュウ酸が高値で重金属蓄積の問題の可能性
2)ドーパミンが多く作られている
3)ビタミンB群、ビオチン、ビタミンC等の不足
4)アラビノースによる低血糖の可能性
5)SIBOの可能性
も判明した(詳しい説明は「有機酸検査の結果+体質を理解すること」に書いた)

3つの対策

そこで「栄養分析プログラム」と「有機酸検査」の検査から、
1)胆汁酸の働きや消化酵素を補うことで腸の機能の回復に努めること
2)カンジダ対策を行うこと
3)腸内環境を整えること(善玉菌を含め)、過剰ミネラルの排出
の3つの対策を行うことになった。

胆汁分泌を促し、消化酵素を補う〜腸の機能回復へ〜2019年6月〜

胆汁分泌を促すためにできること

まずは、胆汁酸の働きや消化酵素を補うことで腸の機能の回復に努めた。胆汁酸は、肝臓で作られ胆のうから分泌され、脂質を消化しやすくする。胆汁が不足することで、脂の消化がしにくくなり、免疫力を高めるビタミンD、抗炎症作用を示すオメガ3、皮膚の状態をよくするビタミンA等が吸収されにくくなる。

そこで、田辺製薬のウルソで胆汁分泌を促し、Digest Gold(消化酵素、ENZYMEDICA)で、脂質の消化を助けながら、ベタエン塩酸(蛋白質分解酵素)、ビタミン(A、B群、C、E)、亜鉛、マグネシウムを補い、腸に負担の大きい、小麦粉(グルテン)、アルコール、カゼイン(牛乳)を避けた食生活を心がけた。

食事のメインは、骨入りスープ(ボーン・ブロス・スープ)。骨入りスープには、システィン、グリシン、グルタミンを含む重要なアミノ酸とミネラルが入るため、腸壁の炎症を抑制し、腸管の外側にある上皮細胞を治すのを助ける(「骨付きのスープ、奥平先生の講演会への参加、良質な脂質(油)をとることを心がける」参照)。

参考に、ボーン・ブロス・スープの代用として、スープ・スープはインスタントに作りことができるので重宝した。

良質な脂質を摂取する〜MCT、グラスフェッドバター

如何にして、良質な脂質を取るか。ココナッツ・オイルをベースとした中鎖脂肪酸(MCTオイル(Middle Chain Triglyceride oilの略)や業務用5kg フォンテラ社グラスフェッドバターを食間や食事中に取り入れた。

MCTは、中鎖脂肪酸のこと。脂肪酸には、炭素数によって短鎖(6個以下)、中鎖(8〜10個)、長鎖(12個以上)に分けることができる。MCTは中鎖脂肪酸であり、カプリル酸(炭素数が8個)、カプリン酸(炭素数が10個)等を指す。

MCTは、通常の脂質よりも消化・吸収されやすい。なぜならば、ミトコンドリアに運ばれるときにカルニチンが必要とされないためか、身体のエネルギー源になりやすいからだ(「腸の働きに努めるためにどのような工夫をしているのか?」参照)。

グラスフェッドバターとは、牧草(Grass、グラス)で育てられた牛の乳から作られたバター。「シリコンバレー式:自分を変える最強の食事」によると、牛乳に比べ、健康的。牛乳に入っているカゼインやBCM-7の蛋白質の大部分が取り除かれていること、吸収されやすい短鎖脂肪酸(酪酸、腸内細菌の栄養になる)や、ビタミン(A、E、D、K2)も含まれているため、栄養価が高いとのことだ。

塩分の選択〜マグネシウムの濃度が高いもの

さらに、海水から作られたミネラル入りの食塩(「キーパワーソルト」(製品情報は「キーパワーソルト」HP参照)と「ぬちまーす」(製品情報については「ぬちまーす」HP参照))を取り入れた。

特に、夏には汗で水分とミネラルが失われるので、食塩はミネラル分を補ういい機会だと考えている。

温熱療法と上咽頭炎の治療

温熱療法で胆のうを強化〜三井温熱〜2019年6月〜

後に触れる温熱ケアも取り入れている。

実は、胆のうの働きを強化するために、ヨガのポーズや三井温熱株式会社から発売されている三井式温熱治療器IIIを使ったセルフ・ケア(以下温熱ケア)も行っていて、温熱を加えると血液の循環が良くすることで内臓の働きが向上していることを期待。定期的に行った。

上咽頭炎の治療を取り入れる〜2019年7月〜

上咽頭は、鼻腔の後ろに位置し、左右の鼻孔(鼻の穴)から吸い込んだ空気が合流。気管へ向かって流れが変わる下に位置している中咽頭へと続く空気の通り道だ。

風邪、粉塵、ストレス、低気圧、寒冷やワクチン等によって、慢性的に上咽頭が炎症を起こす「上咽頭炎」が治らなくなる上、自覚症状もない。恐ろしいのは、上咽頭炎に伴い、炎症物質が血流に乗り、全身へ。腎臓、関節、皮膚など他臓器に影響を与える。結果的に、二次的な炎症(腎炎、アトピー性皮膚炎)などが起きてくる。

詳しくは「慢性上咽頭炎とは?〜上咽頭炎によって身体の影響?アレルギー、腎炎、腸炎との関係等」及び、堀田修先生の「つらい不調が続いたら慢性上咽頭炎を治しなさい」をご参照いただきたい。

恵理子さんから、サプリの効きが悪いことや、アトピー性皮膚炎、腎炎、首こり、肩こり、逆流性食道炎、潰瘍性大腸炎等の場合は、慢性上咽頭炎(以下上咽頭炎)の疑いがあるから、一度耳鼻咽頭科の専門医に診断・治療をしていただくと良いと以前より勧められていた。

そこで、2019年7月23日から、東京ボイスクリニック品川の耳鼻いんとう科に伺い、喉の状態を見ていただいた。

内視鏡を鼻の中から入れて、奥にある上咽頭へ。5分ほどチェックした後に、動画を画面で確認。上咽頭が鬱血している状態を確認。上咽頭炎の診断を受けたので、上咽頭に消炎剤(塩化亜鉛)を直接塗布するBスポット療法(EAT療法とも呼ばれている)を受けることになった。

実際に治療を受けてみると、びっくりするぐらい痛みがあったのだが、今後治療を継続していくと治っていくのではないかと期待を持たせるものの印象を受けた。

塩水(1%食塩水)で鼻うがい(ハンディタイプ鼻洗浄器を使用)を継続しつつ、Bスポット療法を30回(週1回ペース)を行っていったら、80%の確率で上咽頭炎が治療できることもあるとのこと。私は、2020年4月までに40回ほど治療を受けた。EAT療法は、保険内診療なのでコストもかからないところがいい。

皮膚の炎症が悪化する〜2020年11月〜4月

しかし・・・2019年11月末から、体調を崩しがち、2020年1月以降、コロナウイルスの感染症騒ぎの中、皮膚炎に悩まされることになった(「アレルギー性皮膚炎とリーキーガット症候群、上咽頭炎の関係〜自分で検証して行った結果はどうなったか?」参照」)
「食生活が間違っているのか?」
「上咽頭炎の影響なのか?」
不安を抱えながら、4ヶ月にわたって、痒みや皮膚炎を治めるために色々と取まざるを得なくなる。

スキンケアでできること

妻の協力を得ながら、なんとかステロイドを避けるため、様々な書物を調べながら取り組んだ。
特に参考になったのが「アトピーを自力で治す最強事典 (薬を使わず元から治すメソッド満載)」と夏井睦先生の「傷はぜったい消毒するな〜生態系としての皮膚の科学」だ。

皮膚の基本的な構造は、皮脂線、汗腺、表皮(角質層)と真皮の4つを理解するとわかりやすい。

表皮では、皮脂線から皮脂、汗腺から水がそれぞれ分泌。皮膚の常在菌が表皮の皮脂と水が混ざったものを栄養にすることで、角質層に皮脂膜が作られ、弱酸性に保たれるのだ。

これが皮膚のバリア機能として働く。
アレルギー症状が出ると、痒みが増して、皮膚が乾燥しやすい。常在菌が生きることができなくなり、皮膚の再生ができない。
そこで、大事なのは
「皮膚を乾燥させないためにどうしたらいいのか?」
だ。

保湿剤の選択

そこで、夏井先生の「湿潤療法」を参考に、
1)保湿剤は、「ココナッツオイル(Cocowell)」「エバメール ゲルクリーム 500g(E)」「日興リカ サンホワイト 単品 50g(ワセリン)」などを試し、それぞれを併用した(他にも「
  

2)シャンプーとして、皮膚に負担の少ないみよし石鹸の「石鹸シャンプー」と「リンス」を使用

を使った。
湿潤療法を行うためには、保湿剤+サランラップ、竹布を皮膚に覆うことで、保湿剤が外に抜けないようにした。相性は、ワセリンが一番だった(ココナッツオイルは、ヒリヒリすることがあり、途中で止めた)。

ただし、努力も虚しく、2020年4月までに症状が改善せず。身体がボーン・ブロス・スープも受け入れることもできず。最終的に、西洋医学の対処療法(ステロイド)に頼るようになり、症状も一気に改善に向かった。ある意味、最初に戻った感じになった。

約1年近く、自力で、サプリを取り、食事や保湿を含めたアプローチを取ったが、それだけでは限界を感じるようになった。

ナチュラルアートクリニックの御川安仁先生の下へ〜2020年10月〜

御川先生の診察と血液検査〜アレルギー性皮膚炎の治療の再開」に書いたように、2020年10月23日、ナチュラルアートクリニックの院長の御川安仁(みかわやすひと)先生(以下御川先生)の診察を受けに四谷へ向かった。

東京都内でオーソモレキュラー・分子整合栄養医学に詳しい医師に診療・通院しようというのが動機で、今までの血液検査と有機酸検査のデータを御川先生に見ていただき、改めて血液を採取していただき、血液検査を依頼することになった。

幸運なことに、当時、妻・亜希子は、2019年12月からナチュラルアートクリニックで週1回、院長の御川先生(以下御川先生の診察内容の書記のバイトをしていた。

御川先生からは、アトピー性皮膚炎を含む慢性炎症の原因として、
・腸
・解毒
・自律神経(交感神経優位)
・コルチゾール低下
・抗炎症以外の栄養欠乏
等があることを指摘。

栄養分析プログラムの血液検査について:
1)胃酸分泌と解釈もできるが、酸化ストレスの問題の可能性もある
2)免疫力を見ていくためにも、ビタミンAやDの値を見ていく必要がある

有機酸検査について:
1)腸がかなりDysbiosisの状態にあること(Dysbiosisとは、腸内細菌叢を構成する細菌種や細菌数が減少して、多様性を失っていること)
2)解毒系(特にグルタチオンを合成する経路)に負荷がかかっている

等が明らかになった。

次回(2回目)は、御川先生の診療で、どのような治療を行なったのか?ナチュラルアートクリニックに通った日々(2020年10月から2022年6月頃)の模様について「ナチュラルアートクリニックでの治療」にまとめたので、ご興味のある方はチェックくださいね。

まとめ

今回は、アトピー性皮膚炎の治療で、過去5年間、どのような治療を受け、今に至ったのか?

1回目は、分子栄養学との出会いから、検査を受け、約1年近く、自力で、サプリを取り、食事や保湿を含めたアプローチを取った経緯から、御川先生にお世話になるところまでを紹介した。

少しでもこの投稿が役立つことを願っています。

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