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【N#19】古典的な栄養学と現代の栄養学はどう違うのか?

ゴールデンウィーク期間中に「分子栄養学」「オーソモレキュラー栄養学」の本を読む機会に恵まれた。
きっかけとなったのが、新宿溝口クリニックの溝口徹先生の「最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門」だった。

「オーソモレキュラーは、それまで医学部で習得した他のどの学問よりも奥が深い学問で、ある意味で、とても楽しく学ぶことができました。学生時代に何の役に足すのだろうと思いながら、試験のためにだけ勉強してきた生化学や生理学などの学問が、オーソモレキュラーでは、栄養素の代謝と病気との関係がそこに体系づけられていることがわかるため、そても意味深く関係していることが理解できるのです」
と溝口先生はおっしゃるように、最新の生化学(又は分子生物学)の知識に基づいて古典的な栄養学とは一線を画す、最新の栄養学の紹介になっている。
普通、食事をする場合には、食品表示で何カロリーで、どのようなものが入っているのか(炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラル等)を見た上で判断していく。
すなわち、
どれだけの食事の量をとったのか
で判断する。
基準は、客観的事実=エビデンスだ。
西洋医学では、エビデンスに基づいて、この食事法が「正しい」「間違い」を判断していく。
大切なのは、
1)動物実験・試験管で行う実験(基礎研究)
2)人で行う観察・介入試験(疫学研究・臨床研究・治験)
の2つ。

前者は、「なぜ」この食事が大切なのか?
後者は、「どれくらい」食事をとったらいいのか?
例えば、高血圧に塩がよくないことを見る際に、動物実験で、その理由を知り、人で塩分の量を特定する。
人で行う介入試験の場合には、一定多数の集団(人数)を扱うので、統計学を使って処理。万人に当てはまる原理・原則を探していく。
その際の判断基準は統計的有意。その事実が、100人のうち95人に当てはまることが出来れば、「正しい」と判断する。

その結果として、量がある程度決まっているのだが、
オーソモレキュラーの考えは、人は、十人十色。それぞれ適した量が存在する。
それぞれに合わせた量を取り入れた方がいいと考える。
ある意味では東洋医学的な考えた方なのかもしれない(「マクロビオティック生活〜自分に優しい食事の基本」に東洋医学の考えを書いた)
すなわち、
どれだけの質の良いものをとったのか?
で判断していくといってもいいかも知れない。
オーソモレキュラー療法には、学会(International Society for Orthomolecular Medicine(ISOM):国際オーソモレキュラー医学会)もあり、2019年で48回目を迎えるという。

基本的な考え方は、
「人間の身体の構成する物質(コラーゲン、ホルモンを含めたタンパク質)等を自分たちで作ることができるように、材料(栄養素)を補給すること」
にある。
普通の栄養療法は、年齢とともに減少する栄養素を、食事やサプリメントで補うのだが、オーソモレキュラーの場合には、人が自分の体の物質を作るためには、適切な量(至適量)の栄養素があるはず。その量は個体差があるので、個々に応じて補っていく。
例えば、コラーゲンを作るためには、材料となる蛋白質(アミノ酸)とコラーゲンを作りために酵素の働きを活性化する必要もある。そのためにビタミンCも補うが、人によって量は違う。厚生労働省が発表している「日本人の栄養摂取基準」よりも多い量になることがある。
創始者のエイブラム・ホッファーは、もともと生化学者だが、精神科医として働いてた時に、至適量のナイアシン・ビタミンCを中心とした栄養素の補充によって、統合失調症に効果があったことを示し、臨床試験でも証明した。それにもかかわらず、学会から無視され、自分でオーソモレキュラー療法の情報を伝えるようになる。
もう一人、普及した人として、ライナス・ポーリング博士が知られている。

DNAの二重螺旋構造を解明(1953年)したジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックの同世代に活躍した分子生物学者で、分子生物学の開祖の一人として有名。ノーベル賞も二度(化学賞と平和賞)受賞している。
ポーリングは、精神疾患の研究をしてた頃に、脳内にある酵素が働いていないことを突き止め、補酵素となるビタミン・ミネラルとの関わりが、重要であることに気づく。
ホッファーの取り組みに感銘を受け、オーソモレキュラーの考えをさらに発展させていく。そして精神疾患にオーソモレキュラーを応用させていく。
さらに、ビタミンCは「風邪の予防」になるという説を世界に発信。ビタミンやミネラルを取ることの大切さをしかしながら、権威のある学会から無視された。

興味深いのは、日本でも、ホッファーやポーリングと同時期に行きた物理学者の、三石巌先生が「分子栄養学」を唱えている(溝口先生の本にも三石先生の考え方が紹介されている)。
「健康自主管理の基礎知識シリーズ」は5冊出ていて、どれも面白い。実際に、今年(2019年)のゴールデンウィーク集中的に読んだが、30年前の著作にもかかわらず、古く感じることなく読むことができた。
「健康自主管理」とは、自分の健康は自分で管理しよう。と考えること。
答えを外に求めるのではなく、中にあると考えることもである。
その考えるための、ヒントが「分子栄養学のすすめ〜健康自主管理の基礎知識」を含め書かれている。
驚くのは、三石先生が白内障にかかった時に、ビタミンCで、完治したことや、96歳に亡くなった時に解剖したら、ガンが一つも発生しなかったこともあり、興味を持った。
最新の分子生物学・生化学の知識を取り入れた栄養学になっており、原理・原則も単純。
別途ブログ記事で三石先生の考え方について紹介したい。

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