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【B#158】なぜ古墳が作られ、消えていったのか?〜「前方後円墳と水田」を拝読して

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

古墳の多い綱島

2023年1月、綱島に引っ越してから、約1年半。綱島に住んで面白いところは、古墳が多く存在することだ。私が奈良に住んでいた頃(1994年4月〜1996年3月)にも古墳を見にいく機会があったが、改めて、なぜ古墳が作られたのか?興味を持っていた。

古墳の由来について考えるきっかけとなったのが、志村史夫さんの「古代日本の超技術・新装改訂版」との出会いだった。この本には、古代日本が古墳を作った謎について迫っている。

なぜ、古墳が作られたのか?〜疑問点

長年、半導体材料を基盤とした近代技術に携わった技術者からみた古代技術は、一般の専門学者が気づかない視点がまとまっており、面白い。

古代日本の古墳の特徴は、円墳と方墳を連結させた日本独特の形状である「前方後円墳」にある。権力者が絶対的な支配力を内外に示すために作られたというが、志村さんは、前方後円墳には以下の5つの疑問があるという。

1)なぜ円墳と方墳を連結させたのか?
2)円墳と方墳が同時に同じ場所に存在するのであれば、被葬者は誰か?
3)祭祀場としての方形部が大きすぎなのではないか?
4)祭祀場であれば、神社の拝殿の方向が決まっているのに、方向性が決まってない理由は?
5)被葬者を埋葬するのに円墳が大事なのに、方形部が円墳部と同じ高さの古墳や完全に円墳部を超す高さの古墳があるのはなぜか?

なぜ、古墳が作られたのか?〜水田稲作との関係

志村さんが色々と調べていく中で、農業土木技術者の田久保晃さんの「前方後円墳と水田」に出会い、田久保さんの仮説が、上記の5つの疑問に対し、全て答えを出していて、衝撃を受けたという。

田久保さんの面白いところは、
「巨大前方後円墳は、墓所として、また関連する祭祀の場としての目的・機能に加え、何らかのプラス目的・機能を有する施設として築造されたのではないか」
と考えたこと。

そして、ご自身の農業土木技術者の経験から、水田耕作と前方後円墳が結びついているという仮説を立て、日本列島の長い歴史の中で、九州から東北南部にかけての水稲農耕社会において、古墳時代は、人々が取り憑かれたように墓作りに熱中した時代だったと語る。

実際に「前方後円墳と水田」を手にとって読んでみると、いろいろな気づきがあった。

水田稲作とは、長期間、同じ水田で作っても連作障害を起こさない稀な作物であること。というのも、水田に流れ込む水によって栄養分が補給され、流れ出る水によって有害物質が流れ出るからだ。その技術を推し進めていたのが、水田稲作を得意としたヤマトだったという。

当時から、お米は、美味しく、保存がきく栄養価の高い食物として知られ、米が安定的に収穫できるクニが、いいクニであり、民衆から支持を得る支配者となった。ヤマトは、圧倒的な米の生産力を持つ最新の水田装置・システムを発明。ここに古墳が結びつく。

水田稲作において最も重要なのは、水の安定的確保。自然の水(雨)だけに頼らない方法として、灌漑水路と溜池の利用が重要となるが、古墳の周濠を溜池として使えば、水田への安定的供給が可能。古墳周濠を大きくすることで、開拓可能な水田の面積が増え、稲の収穫が増えるということになる。

興味深いことにヤマトは、自ら編み出した古墳の周濠と水田稲作技術を独占するのではなく、それぞれの地域・クニに技術的な支援を与え、経営を氏族に任せることをし、氏族の氏神も尊重していた。このような経営方式をとることで、全国に古墳が作られたらしい。

仏教の伝来に伴った変化

興味深いことに、「前方後円墳と水田」には、古墳が作られなかった理由についてもまとめている。
1)技術的な理由:前方後円墳にかわる「溜池(谷池)を作る」ようになったこと
2)墓所的な理由:仏教の伝来で、氏族社会(古墳)と否定と、国家安泰祈念のために神社・寺が作られるようになった

ぜひ、ピンと来る方、田久保さんの本を手に取っていただきたい。

まとめ

今回は、前方後円墳がどのように作られ、消えていったのか?についてまとめさせていただいた。

田久保さんの本は、非常に面白く、気づきも多かったのだが、主流の学会からは注目されていないという。個人的には、今まで、知られている仮説の中で、一番ピンと来た感じだった。

少しでもこの投稿が役立つことを願っています!

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