【B#151】「健康寿命」を延ばすヒントとなる3冊の本
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はじめに
東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。
私は、「老いて生きる期間ではなく、若々しく生きる期間が長くなる」 すなわち「健康寿命」を延ばしていくために、どうしたらいいのか?について、情報発信をしている。最近、海外では、健康寿命を全うするためのヒントとなる本が何冊か出版されている。
今回は、2023年末に読んだ本の中で、健康寿命を延ばす上でヒントとなる本を中心に紹介したい。まずは、100年人生を考えるきっかけを与えてくれた、ある本から。
100年人生の時代〜健康長寿を全うする考え方を知る
London Business SchoolのMBAコースで教鞭をとるLynda Gratton(リンダ・グラットン)教授と経済学者のアンドリュー・スコットによる共著「ライフ・シフト:100年時代の人生戦略」で、初めて、人生を100歳まで設計する必要があることを説いた。
実は、過去200年にわたって、先進国では10年ごとに2年平均寿命が延びている現状があり、経済の数字を紹介しながら、?今までのような、3段階(大学卒→就職→定年・年金暮らし)が通用しなくなっていることを紹介。今後100歳まで生きた場合にはどのような人生戦略を立てていったらいいのか?
22歳で働いたとしても、80歳になって同じ会社の同じ仕事が残っている可能性は低い。そういった時代にどういった戦略を立てたらいいのか?自分を見つめ直してみる(Explorer)、色々と試してみる(Independent Producer)、新しい知識を身につける(Portfolio Stage)、仕事の業種を変える(Transition)等。
違った目線で人生設計が求められていることを紹介している。2016年10月にリンダ・グラットンが来日した際は「100年時代の人生戦略・出版記念講演会」に参加し感銘を受けた。ご興味のある方はぜひブログをチェックください!
きっかけとなったヨガ・レッスンとポッドキャスト
私自身、本格的に、健康寿命に興味を持つようになったのは、50代に入ってからだ。2019年11月から年長者(70代〜90代)向けにヨガのレッスンを提供。高齢者と接するようになり、生き方について考えるきっかけを与えてくれたからだ。
その後、「2本のポッドキャスト紹介〜2023年を振り返って」に書いたように、健康長寿の専門家・医師のPeter Attiaさんのポットキャスト(The Drive)と出会い、定期的に拝聴。健康寿命を全うするための知識を身につけることができた。
The Driveでは、2〜3時間の枠で必ず専門家のゲストを呼んで、対談を行なっている。テーマは、「快適な睡眠の方法」「サプリメントの取り入れ方」「運動の方法」「心血管の予防」「がんの最新治療の現状」「神経変性疾患の予防」「糖尿病」「老化」「どのように生きるのか?」等、多岐にわたっている。
健康寿命を全うし、人生の質を上げるため〜3冊の本
特に「人生の質をどのようにして上げるのか?」の視点で健康長寿を取り上げていることが面白い。The Driveでこのテーマでの本を3冊取り上げている。昨年3冊をオーディオブックで拝読し、感銘を受けた。以下、内容をシェアしたい。
人生が豊かになりすぎる究極のルール(Die with Zero)〜ビル・パーキンズ
1冊目は、ビル・パーキンズ著の『DIE WITH ZERO:人生が豊かになりすぎる究極のルール』から紹介したい。人生を豊かにし、最後に資産を残さずに人生を終えていくためのヒント満載の本だ。
目次にて、人生を豊かに過ごすための9つのルールを紹介。例を挙げると、「今しかできないことに投資する」「一刻も早く経験にお金を使う」「ゼロで死ぬ」「年齢に合わせて「お金、健康、時間」を最適化する」「やりたいことの「賞味期限」を意識する」等。
私は、10年前(40代前半)に世界一周の旅を1年間行った。合計で26カ国、65都市を巡った。旅には改めて、体力が必要で、標高の高い南米(3,500m〜4,500mのアンデス山脈、3,700mのウユニ塩湖、2,400mのマチュピチュ)は、若いうちに旅しないと厳しいことを改めて感じた。
世界一周したときに感じたのは、身体は改めて衰えていくということだ。ということは、加齢とともにできることが制限されているということ。つまり、使えるお金の選択肢が減って、お金自体の価値って減っていくのだ。
さらにいうと、健康は金よりも重い。そのことから、お金、健康、時間のバランスを考えながら、人生の満足度ってなんなのか?それがおそらく健康寿命を全うすることにつながっていく。
最後に「経験」。著者さんが一番大切だと強調しているのが「思い出」作り。経験こそが人生の充実度を決め、積み上げていくことで、雪だるま式に幸せな人生を送れるようになるという。しかも、老後に備えることよりも重要になる。
限りある時間の使い方(Four Thousand Weeks – Time Management for Mortals)〜オリバー・バークマン
2冊目は、オリバー・バークマン著「限りある時間の使い方〜人生は「4000週間」あなたはどう使うか?」だ。人の人生を数値化すると、ものすごく短く感じる。例えば、80歳まで生きたとしても4,000週間。その限られた時間を何に使うのか?考えされられる本だ。
そもそも、なぜ、誰もがスケジュール管理に目を向けるのでしょうか?実は、時間を管理することで、未来をコントロールできると信じているから。でも、誰も未来は予想できないので、幻想に過ぎないのだ。しかも、効率よく働こうと思っても、空いた時間を他の仕事をしてしまい、ますます忙しくなる。
「時間が足りない」といって増え続ける仕事をこなしても、結局、行き詰まる。この「限られた時間を思うように活用できない」感覚をどうしたらいいのか?大事になってくるのは、時間に対する思い込みを外すこと。
時間というのは、近代の発明で。時間をコントロールしようと思えば、時間がないとストレスが溜まる。つまり、時間に制限があることを認めること。自分には限界があるという事実を受け入れて、何かに集中し、何かやらないことを意識的に選択すること。
時間の考え方を変える秘訣としては、
1)自分のやりたいことを時間として確保しておくこと
2)一つのタスクに集中し、終わるまでは他のタスクを行わない(可能性を狭めると自由に)
3)やったことをリスト化すること
4)人生のどの側面でも失敗を許容すること
等、さまざまな方法が紹介されている。
人生後半の戦略書(From Strength to Strength)〜アーサー・ブルックス
3冊目は、アーサー・ブルックスの「人生後半の戦略書〜限りある時間を後悔なく生きよう」だ。多くの成功者は、成功の法則に従い、一生懸命仕事をして、お金を稼いで出世していくことで、仕事も人生もうまくいくと考える。しかし、この法則は人生の後半になると通用しないことを、事例で紹介しているのがこの本だ。
人生の後半になると色々なことが起きる。中でも、高いスキルを要する職業は例外なく、30代後半から50代前半にキャリアが落ち込む。例えば、スポーツ選手は、瞬発力、全力疾走が必要な場合は20歳から27歳でピークを迎える。一方で、知識労働者の場合は、70歳よりも前に落ち込むと認める人は皆無。
実は、1世紀以上の歴史を遡り、主な発明家やノーベル受賞者の経歴を調べたところ、大発見をする人は、30代の後半一般。20代、30代で徐々に上昇、40代、50代、60代にかけて急激に低下。70代になると、主要な発明をする確率はゼロになる。
では、こういった落ち込みに対してどう対処したらいいのか?落ち込みに抵抗するか、今の仕事を続けていても未来はないことを受け入れ、新しい強みとスキルを身につけることを紹介している。
興味深かったのは、人には2種類の知能が備わっているというRaymond Cattellの考え方だ。ゼロから新しいアイデアを生み出すのが「流動性知能(Fluid Intelligence)(思考、理性)」。30代をピークに衰えていく。
この能力は、1万時間の練習で達成できるクラシック音楽の演奏家が身につける能力で、30代後半でピークを迎え、40代、50代で衰退していくと考えられている。
一方で、過去の学んだ知識の蓄えを使う「結晶性知能(Crystalize Intelligence)(知ること)」は、40代から60代にかけて向上すると説明している。これは、説明する能力で、パターン認識、他の人をマネジメントする能力であり、70代、80代でも高い能力を保持できるという。
私は、結晶性知能という考え方をこの本で初めて知った。それだけでも、50代を迎えた私ができることの幅が広がりそうで、勇気が出るのではないでしょうか?
まとめ
今回は、「老いて生きる期間ではなく、若々しく生きる期間が長くなる」 すなわち「健康寿命」を延ばしていくために、どうしたらいいのか?100年人生を迎えた我々にできることは?現代の叡智をまとめた本を中心に紹介させていただいた。
少しでもこの投稿が役立つこと願っています。