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【P#51】mRNAワクチンの長期的な有効性〜6ヶ月が過ぎた段階で、どれだけ効果があるのか?

はじめに

こんにちは!東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。

2020年1月から始まった新型コロナウィルスの感染症。
今年の1月からワクチンの接種が進み、イスラエルでは、最初の投与から6ヶ月(半年)が過ぎた。

何と、イスラエルは60歳以上を対象に、2021年8月1日より「3度目のワクチン接種を開始する」と発表。
ということは・・・効果が不足しているのか?
そして、

「ワクチンの有効性は本当に持続するのか?」

今回、この点について紹介したい。

ファイザーとモデルナ〜承認時の有効性

ファイザーのmRNAワクチンが承認された際、わかっていたことは(厚生労働省「ファイザー社の新型コロナワクチンについて」より)
1)1回目の接種後、通常、3週間の間隔で2回目の接種を受けること
2)ワクチンを受けた人が受けていない人よりも、新型コロナウイルス感染症を発症した人が少ない(発症予防効果は約95%と報告されています)。
3)ワクチンの接種で十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから7日程度経って以降。

一方で

モデルナのmRNAワクチンが承認された際、わかっていたことは(厚生労働省「武田/モデルナ社の新型コロナワクチンについて」より)
1)1回目の接種後、通常、4週間の間隔で2回目の接種を受けること
2)ワクチンを受けた人は受けていない人よりも、新型コロナウイルス感染症を発症した人が少ないこと(発症予防効果は約94 %と報告)。
3)臨床試験において、本ワクチンの接種で十分な免疫が確認されるのは、2回目の接種を受けてから14日以降。
だった。

ワクチンの使用経験〜イスラエル〜6ヶ月が過ぎると・・・

イスラエルのワクチン接種率は、61.9%に到達。
最初のワクチン接種から6ヶ月が過ぎている。
長期的な有効性はどうなっているのか?
ファイザーワクチンのみ接種しているので、調べるには格好の国だ。

 

この件に関して、英語が理解できる方は、Dr John Campbellの’Big US Implication from Israel’が参考になるので、下記にリンクをつけておきます。

イスラエルでは、先述のように、ファイザーワクチンの接種を2021年1月より開始している。
最近、イスラエル政府は6ヶ月後の結果を発表しており、New York TimesCNBC、Israelの地元報道機関、The Times of Israel等が取り上げている。

データとして明らかになったのは、
ファイザーのmRNAのワクチンを3週間間隔で2回接種した人に対して、
6ヶ月後の平均で
新型コロナウィルスの
1)感染を39%まで(当初は90%)
2)症状を伴う感染を40.5%
3)重篤な症状を91.4%
4)入院を伴う感染を88%
それぞれ防いだことが明らかとなった(2021年6月21日から7月21日までの集計結果)。
要は、新型コロナウィルスの入院や死亡は高い確率で抑制するが、感染予防の確率は大幅に落ちている(英語でWearing offと呼ぶ)こと。

更に、

感染の39%の予防効果を月別に見ると、
・1月にワクチンを接種した人は、16%
・2月にワクチンを接種した人は、44%
・3月にワクチンを接種した人は、67%
・4月にワクチンを接種した人は、75%

症状を伴う感染の41%を月別に見ると、
・1月にワクチンを接種した人は、16%
・2月にワクチンを接種した人は、44%
・3月にワクチンを接種した人は、69%
・4月にワクチンを接種した人は、79%

入院を伴う感染の88%を月別に見ると、
・1月にワクチンを接種した人は、82%
・2月にワクチンを接種した人は、91%
・3月にワクチンを接種した人は、89%
・4月にワクチンを接種した人は、83%

重篤な症状を伴う感染の91%を月別に見ると
・1月にワクチンを接種した人は、86%
・2月にワクチンを接種した人は、91%
・3月にワクチンを接種した人は、94%
・4月にワクチンを接種した人は、84%

ワクチンを打ったにもかかわらず、再度感染することを、英語で「Breakthrough Infection(打ち抜き(ぶちぬき)感染)」と呼ぶ。

イスラエルのケースでは、月毎に見ていくと、徐々にワクチンの効果が薄れ、新型コロナウィルスに対する感染の効果が落ちてくる。しかしながら、最も大事な、重篤な症状や入院、死亡については6ヶ月経っても効果を持続するという結果になっていのがいい。

ワクチンの使用経験〜英国〜1回目と2回目の間隔が鍵になるのか?

英国は、ワクチン接種率60%近くに到達。
Dr Campbellは上記の動画で、英国でも似た時期にデータが発表され、以下のように紹介。
1)感染:データなし
2)症状を伴う感染:88%
3)重篤な症状:データなし
4)入院を伴う感染:データなし
5)死亡を伴う感染を96%

英国では、予想外にワクチン接種を受けた人は効果を持続している。
Dr Campbellは、英国とイスラエルの違いを1回目と2回目の接種の違いにあるという仮説を立てている。

なぜならば、英国では、ワクチンを1回接種後、少なくとも8週間、長くて11週間を開けて2回目の接種をしているとのことだ。
実際、英国の当局は、12週間の間隔を2020年12月に推奨している。

英国のオックスフォード大学Susanna Dunachie教授は、ファイザーのワクチンの1回目と2回目の間隔を3週間と8週間の2つのグループで調査を行なっている(PITCHスタディと呼ばれる試験)。結果を見ると、8週間の方が、中和抗体や獲得免疫のヘルパーT細胞の量が多いことが明らかにしている。

このように、ひょっとしたら、間隔を3週間から、8週間に広げた方がいいのではないか、という説も成り立つ。
ちなみに、米国で使用されるファイザーのワクチンのほとんどが3週間。
2021年8月以降、米国で、6ヶ月過ぎたデータが出てくるので、この点、もっと明らかになるだろう。

米国CDCの動きとδ株〜イスラエルのデータ発表を受けてか?

全世界で、現在新型コロナウイルスの変異株、δ株が猛威を奮っていることを「mRNAワクチンの効果とδ株の影響について〜米国CDCの内部文書からの気づき」に紹介した。

イスラエルのデータを見ると、δ株が猛威を奮っているから、ワクチンの効果が下がったというよりも、ワクチンの効果が徐々に落ちてきている可能性も考えられている。

米国の感染症を監視しているCDC(アメリカ疾病予防管理センター、Centers for Disease Control and Prevention)は、ワクチンの接種を完了した人にも屋内でのマスクの着用を推奨することへ2021年7月27日に方針転換を図った。

おそらく、イスラエルの結果を受けてと考えられる。

米国のデータと合わせると、ワクチンは新型コロナウィルスによる重症化、入院、死亡者数は抑えるが、新規感染はどうやら抑えられないことが予想される。

そう考えると、新型コロナウィルスの陽性者を追うことより、重傷者、入院、死亡者数を追ったほうが、はるかに合理的に見える。

日本の新規陽性者が増加中〜高齢者はどうか?

最後に、日本のデータを紹介したい。
現在、日本はオリンピックを開催中。
非常事態宣言が発令中にも関わらず、全国の新型コロナウィルスの患者数の増加している。

その原因だが、東京都のモニタリング会議(令和3年7月29日の資料)を調べると面白いことがわかる。

新規陽性者数の感染経路を見ると、55.8%は家庭内。15.4%が職場。9.3%が学校などの施設。接待を伴う飲食は6.9%になっている。
ちなみに、IOCはオリンピックの会場や選手村で、行った検査は累計で約31万件、陽性率は0・02%と発表している(「感染者急増と五輪の関係、IOC否定 選手村は「パラレルワールド」」)。
おそらく、オリンピックからの影響はなさそう。

さて、東京都のモニタリング会議の資料を更に覗くと、
65歳以下の新規陽性者の数の比率が低下していること。

入院患者の年代別割合を見ても、約8割は、50代以下となっている。

参考に、首相官邸が発表している、日本国内の65歳以上のファイザーやモデルナのワクチン接種率は2回目の接種率が77.1%。

そう考えると、日本ではワクチンの効果がある程度効果を示していると、考えても良さそうだ。

まとめ〜マスクは当分手放せない・・・

今回イスラエルのデータを紹介した。

ワクチンを2回接種しても、6ヶ月後に効果が減弱するというデータであり、重症化や入院、死亡を防ぐ効果はありそう。

今後、イスラエルのデータから推測するに、日本でも、ワクチンを接種した人であっても、今後、新型コロナウィルスに感染する可能性がある。
大事なのは、新型コロナウィルスの陽性者数ではなく、重症者数や入院患者のモニターになっていくと予想される。

果たして、今後新型コロナウィルスはどのように推移するのか?
米国CDCでもマスクの推奨が出たように、当分の間、日本でもマスクは手放すことができなさそうだ。

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