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【P#50】mRNAワクチンの効果とδ株の影響について〜米国CDCの内部文書からの気づき

はじめに

こんにちは!東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。

2020年1月から始まった新型コロナウィルスの感染症。今年に入り、ようやく、米国やイスラエルの新型コロナウィルスのワクチン接種がある程度進んだ。

結果として、米国の感染症を監視しているCDC(アメリカ疾病予防管理センター、Centers for Disease Control and Prevention)は、5月中旬には、ワクチン接種の完了を条件としてマスクの着用は原則必要なしとしていた。
そのため、無観客で行われていた野球やスポーツイベントは、観客ありに変化し、大いに盛り上がることになる。

しかし、Newsweekの最新記事によると、2021年7月27日に方向転換
米国内の感染拡大地域を対象に、ワクチンの接種を完了した人にも屋内でのマスクの着用を推奨することへ方針転換を図った。

そして、何と、イスラエルは60歳以上を対象に、2021年8月1日より「3度目のワクチン接種を開始する」と発表。
風向きが変化し、これから再度、ロックダウンに進むのか?
先行する2か国の情報は、日本には他人事ではない。

米国CDCの方針転換〜ワクチンでは感染症を完全に抑制できない、δ株の流行

そもそも、なぜ、米国CDCの方針転換を図ったのか?

理由として考えられるのは、
1)ワクチンを接種しても新型コロナウィルスの感染を抑えることができない
2)新型コロナウィルスの変異株(δ株、旧インド株の)の流行と感染力の強さ
の2つが挙げられると思う。

そこで、今回は、「世界で何が起きているのか?」
CDCの内部パワーポイント資料Washington Postが入手したので、その資料を参考にしつつ、情報をシェアしたい。

ワクチンでは感染症を完全に抑制できない

Our World in Dataによると、
ワクチン接種率は、イスラエル(61.9%)、英国(55.8%)、米国(49%)、日本(27.8%)
だ(2021年7月29日現在)。

 

このように、米国では、ワクチンの接種率も高いことから、
ワクチン感染接種患者とワクチン非接種患者
の比較が可能になった。

そこで、双方を比較すると、ワクチンを接種することで、新型コロナウィルスを感染し、疾病を発症するのを8倍、入院を要する患者を25倍、死亡者を25倍減らすことができた。

参考に、英語ではワクチンを打ったにもかかわらず、再度感染することを「Breakthrough Infection(打ち抜き(ぶちぬき)感染)」と呼ぶ。

打ち抜き感染例はどれくらいなのか?
米国でワクチンを接種した1億6200万人あたり、35,000症例(週あたり)が打ち抜き感染例。
内訳は以下の通り。

率で言えば、ワクチン接種した人に対して、入院例は0.004%、死亡者は0.001%に過ぎない。
これを見てる限り、ワクチンには効果がありそうだ。

しかし、35,000症例があることには注目されていいと思う。

他にも
1)完全にワクチンを接種した患者の91%、部分的にワクチンを接種した患者は81%のワクチンによる効果を示したこと。
2)ワクチンを接種した患者が、新たに新型コロナウィルスに感染する際に、ウィルスの量が減少すること。
3)ワクチンを接種した患者の発熱症状や発症期間が短いこと。
等が判明している(詳細は上記参照)。

では、なぜCDCはワクチン接種者に対して、マスクを推奨するようになったのか?
課題なのは変異株の一つδ株だ。

δ株の大流行〜英国、米国、イスラエル、日本の割合

新型コロナウィルスは、絶えず変異を繰り返すことが知られている。
その中で、注目されているのがδ株。

2020年12月にインドのMaharashtra州で発見されたものだが、New Delhi市に広がることで猛威を振う。
2021年4月後半には、インドで1日3万人の感染が報告されている。

δ株に名前が変わった後も、全世界へ広がった。

Our World in Dataによると、英国で100%、米国で93%、イスラエルで91%、日本で75%、δ株に置き換わっているという。

δ株の感染は、従来株のより伝染力が2〜3倍強い

驚くべきことに、δ株は、MERS/SARS、エボラ、風邪、天然痘よりも早いスピードで感染が起き、水疱瘡と同じ伝染力を示すという(上図参照)。

伝染力は一人の感染者が平均何人の人に感染させるのか(実効再生算数)で測定されるが、従来の新型コロナウィルス株は、2〜3なのに対し、δ株は5〜9と、2〜3倍の猛烈なスピードで感染症を広めていくのだ。

CDCの内部文書には、以下のように諸外国のデータを紹介している。
1)δ株に感染した患者は、δ株以外に感染した患者に比べ、ウィルス量が多い(インド)
2)δ株の重症化は、従来株よりも多い(カナダ、シンガポール、スコットランド)
将来、米国では、データが発表されると思う。

mRNAワクチンはδ株に対して効果があるのか?

果たしてファイザーのmRNAワクチンは、δ株に対して有効か?
英国(イングランド、スコットランド)、カナダ、イスラエルで調べられている。

従来株(α株)と変異株(δ株)を比べ、入院患者、死者を含めた重症化は抑さえそう。
一方で、新型コロナウィルスの診断確定した、もしくは症状を持つ患者に対しては、
従来株の方が、変異株よりも、ワクチン効果が高いことがわかった(いずれも下図参照)。

イスラエルは「3度目のワクチン接種を開始する」と発表した。
δ株の猛威もあるが、徐々にワクチンの効果が弱まってくると言うのが原因らしい。
なぜ、ワクチン接種が先行するイスラエルは、接種してから半年が過ぎようとしている。
半年後、ワクチンの効果が弱まるのか?それとも、δ株自体に対して、効果が弱まっているのか?
今後、解析が進むと予想される。

まとめ

以前から、新型コロナウィルスのワクチンは、90%の患者の重症化を抑えることがわかっていた。
しかし、ワクチンを打ったからって、新型コロナウィルス自体の感染が起きる可能性はある(イスラエルとアメリカのデータより)。

更に、今問題になっているのは、感染力の強いδ株(変異株)の存在。米国、イスラエル、英国、日本を含め、過半数はδ株に置き換わっている。

δ株の特徴は、
1)感染力が強い
2)重症化が起きやすい
3)ワクチンを打っても感染する可能性があり、それがワクチン非接種患者に広まる可能性がある
にある。

δ株を感染した際、ワクチン接種者であろうとワクチン非接種者であろうと、感染者の身体内のウィルス量は変化がないという。要は、ワクチンの接種に関係なく、相手に感染させるリスクが高く、更にδ株は、感染力が強い。
米国CDCは、ワクチン接種者にマスクを推奨するようになった理由がお分かりいただけるかと思う。

変異株についてはδ株以外に南米由来のλ株も話題になっている。どこかのタイミングでこちらも取り上げたい。

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