【P#87】緑茶・紅茶と発酵〜どのように製造されるのか?〜刺激薬の歴史⑥
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はじめに
東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。
緑茶やコーヒーに含まれるカフェインとは何か?精神刺激薬(stimulant)として分類されるカフェインについて、2回に分けて、脳に与える影響と、社会に与えたインパクト(資本主義、コーヒーハウス、茶道、宗教)についてブログに紹介した。
今回は、カフェイン飲料のお茶とコーヒーについて取り上げたい。1回目は、お茶、2回目は、コーヒーをそれぞれ取り上げる。
茶(緑茶)の栽培条件
お茶はそもそもどのような植物を使って栽培するのか?どのような環境で生育するのか?意外と知られていないと思う。参考に、お茶は茶葉を「チャノキ(茶樹、Camellia sinensis)」から収穫するところから始まる。
「チャノキ」は主に熱帯、亜熱帯気候で生育する。年間平均気温は、意外と低くてOKで、14度から16度、冬期の最低気温が-13度から14度以上。しかしながら、年間降水量が1300mm〜1400mm、土壌が酸性(pH=4-5)等の条件が加わる(下記のデータは「農水省・茶栽培のポイント」より)。
茶の成分の働き〜カテキン、カフェイン、ミネラル
「チャノキ」には低木(灌木)で葉の小さい中国種と高木(喬木)で葉が大きいアッサム種が知られている。お茶の主成分は、カフェイン、カテキン(抗ウィルス作用、抗酸化作用)、アミノ酸(テアニン、リラックス効果、旨み成分)、ポリフェノール(抗酸化作用)、虫歯予防のフッ素やミネラル(フッ素)も豊富に含む。
興味深いことに、茶葉をいつ収穫したか?どれだけ遮光をしたのか?によって成分量が大きく影響を受けることだ。茶芽が柔らかいほど、アミノ酸類、カテキン、カフェイン、ミネラル等が多く、逆に硬いと、糖分、セルロース、ビタミンA等が多くなる。
茶の加工と緑茶の種類
「茶をめぐる情勢」(農水省、令和6年6月)には、お茶の収穫から加工について紹介している。お茶は、生葉の収穫から始まり、蒸し・揉み・熱乾燥の過程を経て、荒茶へ。各地の荒茶をブレンドすることで、大きさが均一、茎も除去された仕上げ茶になる。その後、飲用茶に用いられる。
お茶は、窒素を求めるので肥料が必要で、さらに品種化されたお茶ほど、害虫の標的になりやすい。そのため多くの農薬が使われる。参考に、有機農業であっても、生物農薬は使用が認められるため、必ずしも有機=無農薬ではない!
下記の表が示すように、お茶には5種類があり、その特性に応じた商品が販売されている。
発酵と茶〜紅茶とウーロン茶の製造
緑茶から「紅茶」と「ウーロン茶」を作ることができる。
緑茶は、茶葉を収穫直後に「蒸す」「煮る」というプロセスを経て、茶葉に含まれる酵素(酸化酵素)を働かせない(失活させる)処置を行う。ウーロン茶は、少し醗酵させ、紅茶は、発酵を進ませることでことで得られる。
カフェインと緑茶・紅茶・ウーロン茶
発酵が進むと茶葉に含まれるカテキンに変化が起きる。カテキンはいろいろな物質と結合しやすく、変化しやすい。酸化酵素でカテキンが酸化されると、紅茶の赤色に変わる。緑茶と紅茶の成分は、基本同じ成分と考えても良い。注意すべきなのは、カフェインの量が種類のよって違うことだ(下記の表参照)。
まとめ
今回は、カフェイン飲料の代表例のお茶について、収穫から加工までと、どのような成分が入っているのか?を中心にまとめさせていただいた。
少しでもこの投稿が役立つことを願っています。