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【N#68】「ビタミンって本当に役立つの?」〜ビタミンB編(前半)〜薬との違い、精神病との関係:セミナー開催報告

こんにちは!東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。

5月26日(水)、サプリで最も使われている「ビタミン」をテーマに初心者もわかりやすく紹介するセミナー「「ビタミンって本当に役立つの?」〜薬との違い、精神病との関係、使い方を含め」を開催した。

ビタミンCは身体にいい、ビタミンD3は免疫力を高めるといった話を聞くことはあると思うが、そもそもビタミンとは何か?となる答えられなる方は限られるのではないでしょうか?

この講座では、ビタミンの歴史背景から始まり、なぜビタミンが必要なのか?を紹介した上で、最後にどのようにビタミンを取ったらいいのか?
時間が限られていたので、ビタミンB群とビタミンCを中心に、歴史的な背景から、ビタミンの見分け方について紹介した。

生物が微量に必要な栄養素のうち、体内で十分な量を作ることのできない炭水化物、蛋白質、脂質以外の物質(水溶性と脂溶性の2種類がある)として、ビタミンは見つかった。
参考に、ビタミンは身体の働きによって分類されていて、物質名ではない。

最初のビタミンB1は「脚気」という病気を明らかにしていく過程で見つかった。
脚気とは、身体の倦怠感、食欲不足、やがて多発性神経障害による感覚麻痺、運動障害、循環器障害が起こり、呼吸不全、心不全によって死亡する病気。
驚くべきことに、旧日本帝国海軍の軍艦で遠洋航海において水兵の間で猛威を振るった。

軍艦に白米、魚、野菜を食料を積んで出航したが、272日の航海で、376人の乗員中、169人が脚気にかかり、25人が死亡する有様で、逆に、欧米の軍艦では、脚気が全く発生してなかった。

イギリスへ留学した海軍の軍医・高木兼寛(東京慈恵会医科大学の創立者)さんは、「脚気の原因は食事に違いない!」と判断し、水兵の食事に取り掛かった。

欧米の海軍に倣って、小麦のパン、ミルク、肉を献立に加えようとしたが、江戸時代の食習慣に慣れていた人たちの中で拒絶する人も出た。
そこで、パンの代わりに、白米に大麦を混ぜた献立に、蛋白質を多く含むものに変えた。
軍艦「筑波」が遠洋航海へ、287日の航海中、333人の乗組員のうち、脚気患者は14人、死者は一人も出なかったという実績をあげる。

この成果から、海軍では食事に気をつけるようになり「脚気」を予防することに成功。
逆に、ドイツから帰国した陸軍の軍医・森鴎外さんは、脚気は劣悪な環境と食事で発症する「伝染病」であると主張し、その成果を受け入れなかった。
結果として、
・日清戦争で、陸軍は戦闘で1,270名の死者を出したが、脚気死者は、4,064名(海軍は脚気による死者はゼロ)
・日露戦争で、戦死者47,000名、脚気患者の211,600名のうち、死者は27,800名に及んだ(海軍はゼロ)
なんと、森鴎外が死ぬまで、陸軍は「白米が原因」であることを受け入れなかったとのことだ。

その後、1914年に欧米の研究者がビタミンB1を取り出し、構造式を決めることに成功。
「生存に不可欠な(窒素を含む)微量成分」=「ビタミン (vitamine)」という名前をつけて、ビタミンの分野が発展。1948年までに様々なビタミンが発見される。

ビタミンは、細胞のエネルギー代謝を助ける働きをすることが知られている。
影響を受ける細胞の一つとして、脳に集中している神経細胞が挙げられる。
それを念頭に、カナダ人の医師・生化学者のアブラハム・ホッファーは、精神病の一つ統合失調症が、ビタミンB3(ナイアシン)との関係があるのではないかとことに注目した。

実は、ビタミンB3の欠乏によって「ペラグラ」が発症するのだが、病気が進行すると「幻覚」や「妄想」といった症状(統合失調症に似ている)を訴える患者が出てくる。
統合失調症と「ペラグラ」の症状が似ていることから、臨床研究を進める。
セミナーでは、進化論、優生学を通じて、社会的な背景の中、精神病が生まれたことを紹介。
当時の治療は、強制収容、がい骨へドリルで穴を開け、脳の一部を手術する方法(ロボトミー)、電気ショック法等しか治療法がなかった。

ホッファーは、統合失調症に、ナイアシンとビタミンCを中心とした栄養療法によって統合失調症の患者さんに効果があることを二重盲検法の試験によって証明した。
他にも強迫性障害、ADHD、アルコール中毒などにもナイアシンが効果を示した(下記に表を示す)

ホッファーの仕事に感化された、ノーベル化学賞・平和賞を単独受賞した、ライナス・ポーリングは、大量ビタミン投与により、効果を示すのではないかと、共同で研究を進める。

やがて
「適切な分子を適切な量を投与する(Right molecules in the right amounts)」
の考え方を言葉し、
対処療法的な薬治療と区別するため、

Ortho(=ギリシャ語で「正しい、Right」の意味)-molecular(分子)Medicine
(日本語訳:分子整合栄養医学)
と名前をつけ、考え方を広めていく。

しかし、分子整合栄養医学の考えが広まらず、ポーリングが変人扱いされ、完全に医学の世界で無視。
現在でも、偽科学(Pseudo science)の扱いを受けている。
恐らく、
1)40年代の後半に入り、抗精神病薬のクロルプロマジンが発見されたことで、製薬会社の影響力が増したこと
2)第二次世界大戦の前後で、抗生物質が普及し、医学の中心が「対処療法」中心になったこと
3)ビタミンは、ビタミン欠乏症を治すものであり、病気を治療するものではない
4)一人一人の体質に応じて、投与量を決めていくという考えは、人間の体質は似ていて(平均化)、臨床試験で投与量を一つ決めれば、薬の効果が期待できる
のような理由があったと推測する。

そうはいうものの、ものは試しだし、実際にうまくいっている事例もあり、日本でも一部のクリニックで治療を受けることができる。
私自身、20代の後半からアトピー性皮膚炎を患い、30代から現在まで、時々ステロイドや免疫抑制剤を使っている。しかしながら、症状を抑えるだけで、根本的な治療には繋がらず。
だからこそ、分子整合栄養医学に興味を持ち、自分の生活の中に取り入れるようになった。

ビタミンBは、共同で働くことから、B1、B2、B3、 葉酸、B12、ビオチン、パントテン酸、コリン等と一緒にとることが勧められる。
ビタミンBの特徴は、水に溶けること。
食事の時に出る、
・胃酸(蛋白質、ミネラル(のイオン化)の消化・吸収に必要)
・胆汁酸(脂質の消化・吸収に必要)
がなくても、ビタミンBが吸収されるので、いつでも取ることができる。

ただし、血中に入ると、すぐに腎臓で排泄されるので、小分けして摂取する必要がある。
B50(各種のビタミンが一部の例外を除き50mg入っている)、B100がiherbで販売されているが、どのように製造されているのか?を含め、自分で調べる必要がある。
なぜならば、薬に比べサプリは国から品質チェックを受けていないからだ。
基本、ビタミンBの値段は製造メーカーを比較すると、それほど変わらない。
生産コストが落ちているし、ビタミンに対する特許もない。
逆に、高価なものは要注意だ。

私は、ナチュラルアートクリニックの御川安仁先生に血液検査を依頼。
アトピー性皮膚炎の治療を受けているが、エネルギー代謝の状態によって、還元型葉酸、メチル化されたビタミンB12を取った方がいい場合もある。
ぜひ、ビタミンB群を接種する際には、分子整合栄養医学に詳しいクリニックで血液検査をした上で、専門の医師の下、ご判断いただきたい。

このような形でビタミンBの内容を紹介していった。
ブログのスペースの関係上、ビタミンCについては「「ビタミンって本当に役立つの?」〜ビタミンC編(後半)〜世界一周、ビタミンCを作らない人間、どれだけ必要か?:セミナー開催報告」にまとめたので、合わせてご参考になればと思う。

もしビタミンについてご興味のある方は、今後ともセミナーを開催していきますので、お問い合わせください。

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