【P#54】ビタミンD3の欠乏と新型コロナとの意外な関係性〜年齢、肥満、人種、異性化糖の影響
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はじめに
こんにちは!東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。
コロナウィルスの感染症が中国・武漢市から広まってから1年半。
個人的には、新型コロナウィルスに感染したとしても、症状の重症化が抑えるために、何をしたらいいのか?
明確になると、それに対してどう対策を取ったらいいのか?クリアになるのではないかと思う。
中でも、ビタミンD3の活性型(ビタミンD(25OH)で測定)の血中濃度を上げることは、
新型コロナウィルスの流行の初期から、たびたび報告されている。
今回は、MedCRAMにたびたび登場するDr Roger Seheultの動画を参考にしながら、ビタミンD3と新型コロナウィルスとの関係について紹介したい。
新型コロナと死因〜年齢、性別、肥満、人種等
新型コロナウィルスの感染による死者の患者背景については、英国で報告されている。
2020年7月のNature誌に報告された英国人のデータを紹介したい(下記のグラフ参照)。
結論から言うと、新型コロナウィルスで死因としてのリスクとして、年齢、性別(男性)、肥満度、人種等が挙げられる(この論文には他にも循環器系の疾患も取り上げているが、ここでは割愛する)。
データにご興味のある方は、下記をご参照ください(結論だけ知りたい方は読み飛ばしても大丈夫です)。
データ年齢、性別、肥満度、喫煙、人種、リスクをハザード比で調べており、赤の点線を境に左側がリスクが低い、右側がリスクが高いと読むことができる。
年齢(Age)で調べると、40-49歳までの年齢はほとんど死亡のリスクがなく、50〜59歳が赤の点線上、それ以降、左に行くので、年齢が高ければ高いほど、リスクが高まる。
性別で見ると、男性が女性よりもリスクが高い。
と言うのも、男性は、女性に比べ、免疫の働きが弱いことや、社会的、文化的な原因があるとの指摘があり、Washington Postの記事で詳しく取り上げている。ご興味がありましたら、チェックいただきたい。
肥満度(Obese Class) I(BMI、30-34.9)、Class II(BMI、35-39.9)、Class III(BMI、40以上)とBMIで見ると、肥満度が上がれば上がるほど、赤の点線よりも左になるので、リスクが高まっていく。
人種も白人に比べ、混血(Mixed)、東南アジア(South Asia)、黒人(Black)、他(Other)で、リスクが高いこともわかった。
興味深いことに、
身体内でビタミンD3の血中濃度が減っていく要素として、
1)年齢
2)肥満
3)人種
が知られている。
今回は、これらについて取り上げたい。
ビタミンD3と高齢者〜年齢が高いとビタミンD3の量が下がる
日光浴により、皮膚でビタミンD3が作られる。
日光浴を浴びたときに原料となるプレビタミンD3(7-Dehydrocholesterol)がどれだけ作られているのか?を調べた論文がある。
年齢(AGE)が上がるにつれて、その作り出す量が減ってきて、80歳までに最大で1/3まで減少することがわかる(下記の表参照)。
このように、ビタミンD3は、年齢と共に作られる量が少なくなるので要注意だ。
ビタミンD3と肥満〜体重が多ければ多いほどビタミンD3の量が下がる
ビタミンD3は、油に溶ける(脂溶性)ビタミンだ。
肥満の人は、身体の中に、脂肪細胞が沢山あり、ビタミンD3もその中に溶けている。脂肪細胞がビタミンD3をホールドしてしまうため、身体が利用できる(血中に放出される)ビタミンD3が50%より多く減るという報告が出ている。
通常、ビタミンD3は日光浴(紫外線)を浴びることで、自ずと作ることができるが、肥満の人は、経口で取り入れることが勧められている。
ビタミンD3の経口サプリを摂取した健常人17,614人のビタミンD3の血中濃度を測定した報告がある。
underweight(低体重、BMI 18以下)、normal weight(正常体重、BMI >18より上-25)、overweight(過体重、BMI、26-30未満)、Obesity(肥満、BMI 30以上)で調べると、上記のグラフのように、ビタミンD3の摂取量が高くても、肥満の人は、正常体重、低体重に比べ、ビタミンD3の血中濃度を上げるのに、多く取る必要がわかる。
面白いのは、報告では、肥満の人は、サプリメントとして、ビタミンD3の通常量の2-3倍、過体重は通常量の1.5倍必要と勧めている点だ。
人種別の血中のビタミンD3濃度〜人種による影響
白人、メキシコ系アメリカ人、黒人の3つの人種で、ビタミンD3の血中濃度(ビタミンD(25OH))を調べた疫学調査がある。
白人(グラフで白色、4,309症例)、メキシコ系アメリカ人(グラフで灰色、2.025症例)、黒人(グラフで黒色、2,081症例)で、グラフにすると(上記のグラフ参照)、いずれも白人が一番血中のビタミンDの濃度が高く、次に、メキシコ系アメリカ人、最後に、黒人になっている。
このように、皮膚の色とビタミンは強い相関があることが明らかになっている。
ビタミンD3の欠乏症と血液検査
Dr Roger Seheultの動画で最も面白かったのは、ビタミンD3が欠乏した状態の血液検査と、新型コロナウィルスの感染症の時に現れる血液検査で似た項目があることを指摘している点。
専門的になるが、新型コロナウィルス(COVID-19)の感染の際、炎症性サイトカインのIL-6、TNFα、IFNγやTh1免疫応答などの指標が上がるが、これはビタミンDの欠乏(Vit D deficiency)と非常に似ているとのことだ。
このように考えると、意外とビタミンD3は、新型コロナウィルスの感染症の重症化、入院に大きな影響を及ぼす可能性が高い。
実際、斎藤糧三さんの「サーファーに花粉症はいない」によると、以下のように、ビタミンD血中濃度に関連した疾患はたくさんあることがわかっている。
ビタミンD3のサプリの取り方については「「感染症に対処するため「ビタミンD3」を使う意味」に紹介したので、ぜひ、ご興味がありましたらチェックください!
ビタミンD3と異性化糖
最後に、ビタミンD3と異性化糖(果糖)について。
今問題になっているのは、ショ糖とトウモロコシから作られるHFCS(High Fructose Corn Syrup、異性化糖)だ。
異性化糖には、果糖が多く含まれている。
ブドウ糖に比べ、中性脂肪が多く、糖尿病の原因の一つになっているのではないかと言う指摘もある。
ビタミンD3は、日光浴やサプリメントとして取り入れると、腎臓で、活性型(1,25(OH))になって、全身に巡り、身体内で働く。
興味深い点として、異性化糖をとると、腎臓でせっかく活性型ビタミンD3となったものが、不活性型へと変化してしまうという研究報告がある。
ビタミンD3を摂取する際には、どれだけ異性化糖をとっているのか?
調べてみるといいと思う。
まとめ
今回は、新型コロナウィルスの死因と、ビタミンD3との関連性について書いた。
年齢や肥満、高齢者等を取り上げつつ、新型コロナウィルスの症状とビタミンD3の欠乏が意外なところで繋がっている点を紹介した。
そして、異性化糖とビタミンDとの関係もシェアした。
少しでも参考になれば幸いです。
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