【P#30】『老化について』〜どのように老化を考えるか?〜細胞に組み込まれたプログラムとしての老化
2019年4月27日(土)、恵比寿・代官山に引っ越した後に2回目の講演会を開催した。
SKIPとの共催は今回で4回目となる。
今回取り上げたテーマは
「老化について」
人は例外なく死を迎える。アンチエージングが話題となるが、老化はどのようにして起こるのか?話題になることが少ない。
「実際、老化ってどのように起こるの?」
「今、科学の世界ではどの程度「老化」について分かっているのか?」
老化が起きるプロセス(過程)について紹介した。
取り上げた話題としては、
1)内臓で起きる老化(内臓が硬くなっていく(繊維化)、内臓が小さく(萎縮)なっていく)
2)ホルモンのバランスが崩れていく(閉経、実は閉経って動物界では人間の特有の現象)
3)高齢とともに筋肉量が減っていく(サルコペニアと呼ばれる:加齢とともに30%程度まで減るとも言われている、その影響は?)
4)細胞は限られた回数増えた後、細胞を増やすのをやめてしまう(老化と呼ぶ)。その老化は遺伝子の突然変異によって突破され、不死化が起きる(これがガン)。すなわち、老化はがんを防いでいる
5)細胞がどれだけ増やしているのか?その回数券としての役割を担っているのが、テロメア。染色体の末端にあるテロメアは徐々に短くなり、増えるのをやめることには最も短くなる。
6)遺伝病として早老症があり、ウェルナー症候群等(下記がその事例の一つ)が知られている
7)取り入れる食べ物のカロリー数を制限すると、老化を遅らせることができる(動物で証明されている。下記はその一つの事例(アカゲザル))
8)活性酸素と糖化によって老化が進む
等。
興味深いのは、内臓、ホルモンのバランス、筋肉量の減少、細胞が増える回数が限定されていることの例が示すように、
「人間の身体は老化がすでに細胞の中にプログラムとして組み込まれている」
要素が強い。
実際、アメリカのベンチャー企業(Bio Viva)で、テロメアを伸ばす遺伝子を身体に導入した遺伝子治療も行われているアンチエイジング事例も紹介。
筋肉量の増加や、テロメアが20歳若返ったらしい。ただし実施するのに1億円かかっているのと、長期予後が証明されていない点、難点があるが、さすがアメリカって印象があった。
大事なのは、
「老化を防ぐよりも、どのようにして生きていったらいいのか?」
それを考えることが、結果的に高齢を迎えた人生、健康寿命を全うすることができることにつながっていくのではないかと思っている。
今回も、アンチエージングについて具体的なことを話すことではなく、一人一人、老化について考えることの大切さを伝える会となった。
そして、恒例の料理も。
妻の亜希子が、下記のメニューで参加者に提供した。
1)玄米ご飯
2)たけのことワカメのお吸い物
3)蒸し野菜サラダ( 新じゃが、さつまいも、人参)
4)自然栽培フリルレタスのグリーンサラダ
5)手作りのさつま揚げ
6)米粉の蒸しパン
毎月、食事に関するセミナーを開催していく予定ですので、また告知させていただきます。
来月(5月21日)は、化粧品のプロ、本庄鉄弥さんによる「香りと身体」についてのセミナーを開催する予定にしている。
ご興味がありましたらお問い合わせください。
今回もご参加していただいた方、スタッフの2名には厚く感謝を申し上げたい。
最後に、過去のSKIPと共催したイベントについては以前のブログ記事でまとめていますので、ご参考になれば幸いです。
1月の「化学農業vs有機農業」(「『化学農業vs無農薬農業vs有機農業』〜食事の材料をどのように理解したらいいのか?」参照)
2月の「栄養・サプリメント」(「『食事の栄養とサプリメントの栄養の違い』〜食事の消化・吸収について」参照)
3月の「糖質制限」(「『糖質制限を知る』〜糖質制限をすると何が起こるのか?筋肉が落ちることを含め」参照)今年4回目の食事についてのセミナーを開催した。