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【N#17】『糖質制限を知る』〜糖質制限をすると何が起こるのか?筋肉が落ちることを含め

2019年3月30日(土)、渋谷から恵比寿・代官山に引っ越した後に初めてイベントを行った。

SKIPとの共催イベントとして、2019年2月に続き(「『食事の栄養とサプリメントの栄養の違い』〜食事の消化・吸収について」参照)、今年3回目の食事についてのセミナーを開催した。
テーマは「糖質制限」
巷では大ブームとなっている「糖質制限」元々は糖尿病患者のために考案された食事法で、1980年代、アメリカではアトキンズ・ダイエットという食事法として流行った。
今回は糖質制限の食事法が一体どういうものなのか?
なぜこんなにブームなのか?
糖質を取らない代わりに何を摂っているのか?
身体にはどんな影響があることがわかっているのか?

をテーマに妻の料理を提供しつつ、最新の情報をシェアさせていただいた。
5大栄養素(炭水化物、蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラル)のうち、炭水化物と蛋白質はどのような働きをしているのかを説明していった。

意外と知られていないのは、蛋白質を取るメリットとデメリットだ。
糖質制限を行うと、必然的に蛋白質の割合が高まる。
炭水化物は、炭素、酸素、水素からなり、胃腸にとって消化しやすい物質で、糖尿病でない限り、老廃物もきれいに水と炭酸ガスとして排出される。
一方で、蛋白質は、炭素、酸素、水素以外に窒素や硫黄を含む。大量に取ると、尿素(尿酸)、脂肪、他のアミノ酸となる。尿素は尿として排出されるが、その時に、肝臓や腎臓に負担をかける。
その上、糖質とは違い、蛋白質は20種類のアミノ酸から作られるのだが、8種類は人間が作り出すことができない。
必須アミノ酸と呼ばれる8種類の物質は、食事で取り入れる必要がある。
しかも、動物性蛋白質や植物性蛋白質によってその割合が違ってくる。
その割合を計算して、理想的な配合である卵を100として、他の動物性・植物性蛋白質を見ると、
卵:100
鶏肉:85
白米:78
牛乳:74
大豆:56
となっている。
スコアが大きければ大きいほど、必須アミノ酸を含む割合が高いが、卵に比べ植物性蛋白質の一つ、大豆は意外と低いことがわかる。

このように同じ蛋白質を取るにしても、
「どのような食品から蛋白質をとっているのか?」
意識が必要だ。
そして、卵や大豆を生で取ると、蛋白質消化酵素を阻害する酵素が少量含まれているので、食事に入っている蛋白質を消化できない可能性もある。
例えば、豆乳には13%もの蛋白質消化酵素を阻害する酵素が含まれているという報告がある。

さらに、
糖質制限をすると、血糖値(血液中の糖の濃度)が低下するので、どこからか糖を作り出す必要がある。
肝臓にはグリコーゲンがあるので、分解することで糖を作り出せるが、1日ほどで枯渇する。
その後、脂肪から糖を作り出せれば問題がないのだが、厄介なことに、人間の体は脂肪(脂肪酸)から糖を作り出すことができない
そこで、筋肉の蛋白質を分解し、アミノ酸から糖を作る(=糖新生)ことで血液中の糖を作るようになる。
興味深いのは、筋肉からアミノ酸ができて肝臓で糖を作る時にエネルギーを使うため、肝臓へ余計な負担をかけることだ。その上、血糖値を下げるインスリンの働きも悪くなるので、糖質制限をやめると、中性脂肪が作られ、リバウンドが大きくなる。
なので、
筋肉を落として減量したい人は、糖質制限するといい
ことになる。

カロリー比で10%の炭水化物を取るダイエットの方法(ケトジェニックダイエットと呼ばれる)では、脂肪を分解してケトン体を作り出すことで、身体の栄養を賄おうとする。ケトン体を利用する限り、糖への依存が低くなるので、筋肉の分解が起きないが、ケトン体の材料である脂質を大量に取らないと、ケトン体を作ることができなくなる。その場合には糖が必要なので、アミノ酸が必要なので筋肉の分解が起きてしまう。
このように、実際は糖質制限を行うのは、非常に難しく、糖尿病の治療して考える以外は、健康な人は長期に渡って行うのはデメリットも考える必要がある。
過去の2回行った食事のセミナーでも伝えたが、食事にはメリット・デメリットがある。体質に合わせて偏った食事ではなくバランスのある食事をとることが大事だと思う。
今回も、参加者6人とともにディスカッション形式で行い、様々な意見がでてきたが、予想以上に知らなかった情報が得られたという声があったので、今後とも毎月、色々なテーマでセミナーを行っていければと思っている。
参考に、妻が提供した食事のメニューは
・桜ティー
・きのこ玄米リゾット
・サラダ
・グリル野菜
・ミネストローネ
・甘酒ジェラート チョコレートソースがけ。
使ったお野菜、お米は無農薬野菜が中心。白砂糖、添加物、乳製品、卵使用、五葷抜きで料理を提供させていただいた。

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