1. HOME
  2. ブログ
  3. ブログ/全ての記事
  4. コラム
  5. 【B#27】「物語」と「心のリセット」について

BLOG

ブログ

コラム ブログ/全ての記事 本・書評

【B#27】「物語」と「心のリセット」について

ロルフィングと「物語」について少し考えてみたい。ここでの「物語」とは、一人一人が持っているストーリーという意味で捉えていただきたい。
私が「物語」というものを考えるきっかけを与えてくれたのが、村上春樹氏の作品を手にして、文学の世界を知って以来だと思う(詳細は【本コラムVol.5】で触れた)。
その際、

  1. なぜ優れた文学作品というのは長年にわたって読み続けられてきたのだろうか?
  2. そういった話というのは、どういった構造になっているのだろうか?

ということが気になって、スターウォーズ、ロード・オブ・ザ・リングなどのハリウッド映画を見たり、その物語の構造のベースとなった、ジョセフ・キャンベルの本を調べた事もあった(ジョセフ・キャンベルの物語構造については、「個性はどのようにして発見するのか?〜ストーリーの構造を知る」参照)。いずれの作品も、どう試練に立ち向かうのか?そこでどのような成長があったのか?最終的に人間はどのように変化するのか?が描かれている。
又、ブログにて「脳はストーリーを欲している。〜構造から見た場合」で脳の左脳は、ストーリーを作り上げる能力に長けていること、外の断片的な情報と脳内部の記憶断片をもとに、絶えず、ストーリー(物語)を作り上げること等を紹介。宗教や神話は、ストーリーを司る左脳に響くため、心に残るストーリーとして残ることに触れた。
iStock_000012941520Large
村上春樹氏の「職業としての小説家」の中に興味深いことが書いてある。
81sbDZQBATL

物語というのはつまり人の魂の奥底にあるものです。人の魂の奥底にあるべきものです。それは魂の一番深いところにあるからこそ、人と人とを根元でつなぎ合わせられるものなのです。僕は小説を書くことによってその場所に降りていくことになります。河合隼雄先生は臨床家としてクライアントと向き合うことによって、日常的にそこに降りていくことになります。あるいはおりていかなくてはなりません。

そして、更に物語を共有していく上でのリスクとして「悪魔祓い」について

河合先生は臨床家としてクライアントと向かい合うことで、多くの場合、魂の暗い奥底までその人と一緒に降りていきます。それは往々にして危険を伴う作業になります。ひょっとしたら帰りの道筋がわからなくなり、そのまま暗い場所に沈みっぱなしになってしまうこともあるかもしれません。そういう力業の日々、お仕事として続けられておられます。そのような場所で糸くずのようにべったり絡みついてくる負の気配、悪の気配を振り払うために、できるだけくだらない、ナンセンスな駄洒落を口にしないわけにはいかなかった。(略)ちなみに僕の場合の「悪魔祓い」は走ることです。かれこれ30年ほど走り続けているんですが、毎日外に出て走ることで、僕は小説を書くことで絡みついてくる「負の気配」をふるい落としているような気がします。ゆるい駄洒落よりは、まわりの人を脱力させないぶん害が少ないんじゃないかとひそかに思っているのですが。

考えてみれば、タロット・カード・リーディングやロルフィングは、人と対面で接することである。それはすなわち一緒になって過去にその人が体験した奥底にあるものを懐中電灯で照らしながら入っていくようなもの。手段がカードと身体といった違いがあるにしても、私がタロットとロルフィングが同じように感じるのは、一緒になって物語を再生していく(違った視点で見る、もしくは違った気づきをもたらす)というプロセスがあるからだと思う。
2015-06-25 16.13.00
村上春樹氏も指摘しているように、それには危険が伴う。一つには相手と共に奥に入りすぎてしまうと、ニュートラルという感覚が失ってしまい、自分が本来居る場所に戻ってこれない可能性があるからだ。
iStock_000008335021Medium
【RolfingコラムVol.115】で、人と対面で向き合うにはそれ相応のエネルギーを使うことや、話を聞くと、疲労感に襲わることが多いと書いた。靈氣や瞑想、アシュタンガ・ヨガなどを実践していくことで身体を調えるのは、その手段を模索するためという意味あいが強い。
村上春樹氏がいう「悪魔祓い」、私のいう「原点・居場所」というのは、共通して言えるのは、「心をリセットする」といえるかもしれない。
iStock_000015648022Small
【YogaコラムVol.5】で、心をリセットするときに儀式を持つことの大切さについて述べた。The Power of Full Engagement: Managing Energy, Not Time, Is the Key to High Performance and Personal Renewal(邦訳:「成功と幸せのための4つのエネルギー管理術ーメンタルタフネス」)によると、プロの選手(例えば、テニス選手、野球選手)は、失敗した時に、ある一定の儀式(型)を数秒間行うことで、心をリセットして、次の行動に移るらしい。
819KgNicWsL._SL1500_
まさに、ヨガ、瞑想も全て心をリセットする儀式と言えるのかもしれない。今後とも、心のリセットについてはいろいろと模索していきたい。
12064459_10203789019205021_1051048786_n

関連記事

【N#86】有害ミネラルの解毒・排出(2)〜有害ミネラル...

【N#184】まいこホリスティックスキンクリニックでの治...

【N#18】マクロビオティック生活〜自分に優しい食事の基...

【N#9】有機農業の歴史〜化学肥料、農薬、地力低下(欧米...

【W#160】世界一周から学ぶ(11)〜言語と文字

【W#81】ペルー(2)〜チチカカ湖とウロス島