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簡単に、単純に考える 羽生善治 15冊目

将棋のトップ棋士と活躍している羽生善治氏はどのように物事を考えているのだろうか。その一点に興味があり、「簡単に、単純に考える」を手に取ってみた。タイトル通り、頭の良い人は、物事を単純化することが非常に優れていることが良く分かる。
以下、興味のあった個所を書く。
#本質を見抜く
年を重ねていくと、ただ読むのではなく、思考の過程をできるだけ省略していく方法が身につく。修羅場に強くなるというか、経験をうまく生かしていくのである。
思考の過程を省略する方法とは、本質を見抜く目だと考えている。
最近よく考えるのですが、体系化というのは、言葉を換えると単純化ということだと思うんです。物事をどんどん単純化していく作業です。(略)将棋の歴史は 長いんですが、システム化(体系化)という部分に関しては、まだ始まったばかりなのです。例えば、学問や科学のように何千年という歴史がある世界に比べる と、まだまだレベルが低いし、未知の領域が広いと私は思います。
#頭の使い方
タイトル戦などの二日間にわたる対局では、私はいかに集中するかじゃなくて、いかにうまく休むかということを考えていきます。長時間、例えば一時間まるまる集中するというのは相当難しいことなんですね。
対局中に考えるときには、論理的に考えてはいないんです。つまり、こうやって、こうやって、こっちがいいから、元に戻って、今度はこの手を考えていくには こう、こう、こうなって、こっちがいい・・・とか、あるいは、今度は俯瞰してみて、どういう方向でさせばいいか、というように整理整頓された考え方という のはしていないんです。その局面の10手先のことをパッと考えてみたり、ふっと休んでみたり、すごくバラバラに考えているという感じですね。最後に、指し 手を決断する時になって、バラバラに考えたものをまとめるという感じです。
#大局観
将棋には「読む」プロセスと「大局 観」で判断する局面がある。「読む」作業は、余計なことを考えずに、ただ指し手を次から次へと頭の中で進めていき、その結果どういう場面になるかを想定す ることである。一方、大局観は、ぱっとその局面を見て、今の状況はどうで、どうするべきかを直観で判断することである。当然、若い時には体力もあり、集中 力も高いからたくさん読める。(略)しかし、大局観が身についていないので、読みに頼り、自分が読んだことでしか決断できないという状況に陥りやすい。
将棋の場合には洞察力といっていいのかどうかわからないんですが、大局観とか、第一感というのが大事になってくるんです。ここが勝負の山、勝負の分かれ目 みたいな局面が、一局のうち二、三回出てきて、その局面での実力が問われることもありますが、ここが勝負どころだと感じるかどうかも実力のうちなんです。 勝負所かどうか感じて、なおかつそこで判断し、さした手がいいか悪いか、その両方を見ないと本当の実力は分からない。基本的にプロの棋士の場合ですと、実 力的にはそれほど差がないので、大局観の微妙な差がついていることが多いですね。
#知識と直観
直観力を養うには、現場に出かけて、進行形の勝負を肌で感じて考えることが一つの方法である。
将棋の研究は、いわゆる知識を増やすための研究と、感を育てるための研究と二通りあるんです。将棋は知識もすごく大事で、今指摘されている最新の形を理解 していくことには私もある程度時間をかけます。感を磨いていくためには盤上で考えるのではなく、たとえば、ラグビーを身に行くとか、音楽を聞くとか、 (略)別に将棋に関係なくてもいいのです。そういう、経験が積み重なって感性が磨かれていくんじゃないかと思います。どの部分がプラスに働いたというより も、いろいろなことから受ける刺激が総合的に感性を研ぎ澄ませていくんじゃないかと思います。このバランスを取るのはかなり難しく、知識に偏ってしまう と、感性が鈍ってしまうし、感性に頼りすぎると将棋が雑になってしまう。どちらもいい感じで合わさったときに、勘も冴えるし知識も役に立つんでしょうね
#情報を捨てることの重要性
棋譜にしても、毎月増えていきますから、とても全部見ていくわけにはいきませんから、どれを見るかが大事になる。さらにいうならば、山ほどある情報から自 分に必要な情報を得るには、「選ぶ」より「いかに捨てるか」の方が重要なことだろうと思います。実際の大局でも、この局面でどの手をさすかは、いくつかの 手の中から選んでいるのではなく、この手はありえない、この駒を動かすこともあり得ないと、瞬間的に消していっているようなところがありますよね。ですか ら、手は浮かぶものではなく、どんどん消して行ったあとに残ったものなんですね、きっと。
将棋の場合には一つの判断を積み重ねていくことで、ある程度のレベルに達するとは思います。ただ、創造力というのは、そういったものの全てを省略して生まれてくるんじゃないかと思うのです。
将棋は、一つの局面でだいたい100通りぐらいの可能性があるのですが、その局面で二、三通りの手を直観によって選ぶんです。残りの90%以上は読まないで捨ててしまうわけです。思考を省略するわけです。
自分の力で必死に考えることが大事なのです。対局中はデータとかを捨ててしまえば、自分で考えるしかないじゃないですか。そういう方が、自由に発想できて、いろいろ思いつくことが多いのです。
経験を積むと、「こうすべき」ということが染みつきますね
簡単に、単純に考える (PHP文庫)/羽生 善治

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