【E#115】キャリアについて考える(1)〜自分の武器を見つけること
2016年9月17日、キャリアに関するセミナーを開催した。参加者は3名と少なかったのだが、キャリアを考えるセミナーを行うのは初だったので、無事終えてホッとしている。
発表したのは、自分の経歴とどう言った武器を身につけていったのか?だった。
以下紹介した内容を中心に話したい。
2013年4月、33歳で民間企業に就職してから11年。デンマーク(欧州)と米国を本社とする製薬の外資系企業を合計10年を経験。職種もマーケティングのプロダクト・マネージャー、ポートフォリオ・マネージャー、メディカル・アフェアーズのマネージャー、広告代理店のライター等、度々変わっていった。
名刺の渡し方、電話の取り方を33歳から学ぶというのは非常に大きな挑戦だったし、よく適応できたと思う。
意識していたのは、自分の過去に何を学んだ上で
1)どのような強みがあるのか(私の場合は英語に強みがあった(帰国子女だった))
2)企業でどのような貢献ができるのか(私の場合には博士号を持っていたので、医学の知識の面での貢献ができる)
そうして、企業へ貢献した上で、
新しい何かスキルを学ぶためにはどうしたらいいのか?
を考えた。
遅れを取り戻すためにも効率よく動く必要がある。
勉強に関しても優先順位を絞り、業務を学びつつ
1)会社の仕組みを知る
2)医療業界のことを知る
3)広告業界に属していたので、マーケティングについて知る
ことをテーマに調べる時間をとった。
いずれも、研究時代では学べないことで、会社でしか学べないことである。
1)の会社の仕組みというのは、幸運なことに、父が昔、企業に属した時には、バランスシートを読むことが大事だということを教わったことがあり、どのように企業にお金が流れていて、どのようにして自分の給料の形で届けられるのか?を知るということ。
実は、会社の仕組みを知るというのは一番時間がかかり、新製品を無事発売できた2014年3月にようやく大枠がわかった。新製品を発売するということは、川上から川下まで、すべてを知った上でコストを計算するので、流通、品質、開発、薬事、マーケティング、販売等すべてを知っていなければ進まない。そのことで理解が深まった。
2)の医療業界については、製薬業界にいるとSMO、CRO、MR、MS、SOPなど略語がたくさん登場する。また、当局や薬事法である程度国で決まっているし、流通の仕組みも独特。そういったことを知るためには、業界の大きな枠組みを知ることが大事。しかしながら、業界について書かれた教科書というのは存在しない。そのため、医療業界については、社内の様々な人から話を伺いながら、一人一人がどう言った役割を果たしているのか、を知るために教科書を作成。これは、5年ぐらいかけて作り上げていった。
3)のマーケティングについては、ピーター・ドラッカー、フィリップ・コトラー等の著名なビジネス書に当たったが、一番わかりやすかったのは、グロービスの「MBAマーケティング」と企業研修。STP、3P、PEST、KPI等をグロービスを通じて日本のケースや、実際の会社の業務を通じてマーケティングの理解が深まったと思う。2008年以降、フレームワーク(枠組み)を使うエキスパートである経営コンサルタントと仕事を一緒にする機会があったのも大きかった。
このように色々なことを学びながら、10年が過ぎていったが、個人事業主として活動する際に役立ったのが、マーケティング戦略を知る大切さ。
製薬業界にいると当たり前だが、
「いい薬が売れるとは限らない」
だからこそ、マーケティングに莫大な費用を投じるのだが、なぜいい薬が売れないか、というと、製品の特性をどのようにして伝えるのか?といった面が重要になるからだ。
実際、個人として活動する際、いくらいい技術を持っていたとしても、いいコミュミケーション能力を持っている、技術がそこそこの人の方が、お客さんが集まってくるというのと同じ理屈で、
「いかに情報を絞って相手に何を伝えるのか?」
が大事になってくる。
それがマーケティングの真髄であるが、会社でこう言った経験ができたというのは、個人として活動する際には役立っている。
セミナーでは、このように事例をあげつつ、会社員として働いている意味というのは、非常に大きいこと。その他、自分で選ぶことのできない人間関係から逃げることなく、対処することの大切さを含め、学ぶことがたくさんあることなどを紹介していった。
スペースの関係上、次回、自分がどのような経歴をたどったのか?そして、今キャリアについてどう言ったことが考えられるのか?について考えていきたい。