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【P#78】イボガイン、西アフリカ、魂、臨死体験〜幻覚剤の歴史12〜依存症(2)

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

幻覚剤の歴史については、LSDサイロシビンメスカリンMDMADMTを取り上げた。法律で禁止される前に、どのような歴史を辿ったのか?IT業界のメッカ、シリコンバレーとの関係や、最終的に法規制がどのように入り、現在のルネサンスを迎えたのか?についてまとめた。

ルネサンスを迎えた今、幻覚剤はどのように使われることが予想されるのか?末期がん依存症、うつの3つの患者を対象に、幻覚剤の臨床試験が進んでいるので、ご紹介できればと考えている。前回、依存症の患者について取り上げたが、今回は、依存症治療において注目されているイボガイン(ibogaine)について紹介したい。

アフリカとイボガイン

イボガイン(ibogaine)は、アフリカの西部産のイボガの木(Tabernanthe iboga)の根皮に多く含んでおり、古代・西アフリカにて、幻覚剤として通過儀礼(臨死体験を起こし、新たな魂の発見を促す)、性欲の増進や、興奮剤(stimulant)として使われていた。

イボガの木の根の皮を噛む方法で、イボガインを摂取することが知られているが、イボガの根には13種類の生理活性物質(アルカロイド)が含まれていて、アフリカの民間伝承で使われていた。

1901年にイボガのねからイボガインが単離され、生合成経路は、1966年に明らかになった。1985年の頃には、薬物依存症の薬として注目されるようになった。

イボガインと依存症治療

興味深いことに、オピオイドの依存症に使われるメサドンよりも効果が高いだけではなく、オピオイド以外の様々な依存症(アルコール、ニコチン)に対して有効であることを示唆するデータもあり、注目されているのだ。

参考に、イボガインとアヤワスカは似たような名前で、間違えやすいが、実は別物。イボガインは、アフリカのガボンの通過儀礼で死亡のリスクがあることがわかっていたことから、「規制物質法(Controlled Substance Act)」の最も規制が厳しいSchedule Iに分類されている。

イボガインについて初めて知ったのが、世界一の視聴者数を誇る「Joe Rogan Experience」からだった。ホストのJoe Roganの友人のEd Clayが、オピオイドの離脱症状をイボガインの治療で克服。効果に感動したEdが、メキシコで病院を営業・開業している。下記に動画を紹介しますので、興味がありましたらチェックください。

上記の動画によると、イボガインの1回摂取で、24時間の間に脳の神経回路を書き換え、オピオイドを含めた薬物を欲しなくなるようになるそうだ。アヤワスカ(DMT)は自我を消滅させるのに対し、イボガインは、それがなく、内面に働きかけることで、最終的に依存症から脱却できるそうだ。

イボガインは、低用量で、中程度の効果を持つ覚醒剤として、高用量で、幻覚の作用を含む作用を示す。長期的にはオピオイド依存症を軽減しする効果があるが、医師の下、安心・安全な環境で行うことが重要だ。体重1 kg当たりイボガインを5 mg、複数の薬物依存症で重度の場合には30 (mg/kg)の用量で使われるとのこと。

イボガインは、脳の様々な受容体に働きかけることで作用すると考えられているが、不整脈のリスク等も知られている。残念なことに、規制物質法によって規制されているため、なかなか研究が進んでいない。

まとめ

今回は、依存症において注目されている幻覚剤の一つイボガインについて紹介させていただいた。

少しでもこの投稿が役立つことを願っています。

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