【P#53】小児とコロナの後遺症〜そもそも小児のコロナ後遺症があるのか?割合は?
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はじめに
こんにちは!東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。
新型コロナウィルスの感染症が話題になるようになってから、1年半が過ぎた。
厚生労働省の「国内の発生動向」で毎週、新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(速報値)(令和3年8月4日現在)が出ている。
新型コロナウィルスの陽性患者は増えているが、内訳を見ると60代以上は8%、50代以下は92%と
ほとんどが50代以下。
新型コロナウィルスの死者数が発生するのは30代以降(下記のグラフ参照)。
その上、下記のグラフを覗くと、重症者の割合は、40代以降に増えていく。
このように考えると、なぜ、日本政府は、医療従事者からワクチン接種を開始した後、65歳以上から始めたのかの考えがよくわかる。
実際、首相官邸が発表している「新型コロナワクチンについて」の総接種回数を見ると、2回接種を完了した者は、82%に及ぶ。ワクチンは一定の効果が出ているのではないかと思う。
ワクチンはどれだけ持つのか?
一方で「mRNAワクチンの長期的な有効性〜6ヶ月が過ぎた段階で、どれだけ効果があるのか?」に書いたように、3週間間隔で、ファイザーのmRNAワクチンを接種すると、6ヶ月後にワクチンの効果が36%に落ちるというデータが、イスラエルで発表されている(ただし、
モデルナ製のワクチンについては、2回目の接種から6ヶ月後で93%の効果を維持することを発表している。
3回目の接種が必要かどうか?を含め、今後とも見ていく必要があると考えられる。
データを見ている限り、年齢が低くなればなるほど、新型コロナウィルスに対して重症化率や死亡率が減少していくことは理解できるかと思う。
新型コロナウィルス感染後の後遺症〜そもそも後遺症とは何か?
新型コロナウィルスの感染で一番怖いのが、感染後の後遺症だ。
コロナウィルスに感染後、回復したのがいいのだが・・・
「後遺症があるのか?」
「後遺症がある場合にはどれだけの割合になるのか?」
が、
海外では、Long COVID(長いコロナウィルス感染症)、Post COVID(ポスト・コロナウィルス感染症)などと呼ばれており、日本国内では「後遺症」と言葉で語られている。
参考に、後遺症の定義は、12週間以降も症状があることだ。
感染症専門医の忽那賢志先生が「新型コロナの後遺症Q&A どんな症状がどれくらい続くのか(2021年1月)」に記事をUPしている。もしご興味がありましたら、チェックすることをお勧めしたい。
驚くべきことに、米国の臨床雑誌JAMA(2021年5月26日)の報告では、73%の患者が何らかの症状を示したという。
その内訳は、倦怠感(40%)、呼吸障害(36%)、不眠症(29%)、嗅覚の異常(24%)、不安(22%)、咳(17%)、味覚異常(16%)、抑うつ状態(15%)等。
治療方法については模索中だが、75%も後遺症があるというのは、予想以上に多い。
成人でこれだけ出る可能性の高い後遺症。小児ではどうなっているのか?
2021年8月3日に、「英国内における小児の新型コロナウィルスの症状について」が報告されたので紹介したい。
小児の後遺症について〜割合は?症状の特徴は?
新型コロナウィルスに感染した成人患者は、重症化率や死亡率が高まるが、小児は無症状の割合が43–68%で、ほとんどが軽症で済むことがわかっている。
今回の報告は、5歳から17歳までの英国の学校に通う生徒たちを対象に前向きの疫学調査(調査期間:2020年3月24日〜2021年2月22日)が行われた。
データから読み取れることは、小児でも後遺症が起こるが、ごく一部(4.4%)だということ。
8週間後には大部分の生徒が回復している、もしくは症状が軽減していることが英国のデータからわかった。
成人の後遺症の割合(70%近く)に比べ、小児は28日後で4.4%、56日後で1.8%と低いことがわかった。
下記に詳細をまとめたので、興味がない方は次へ読み飛ばしても大丈夫です。
1,734名の新型コロナウィルス陽性の生徒(5歳から17歳、558名が年少(5歳〜11歳)、1146が年長(12歳〜17歳)を対象に症状を調べた。
共通の症状として、
頭痛(62.2%(1079/1734))
疲労(55.0%(954/1734))
で、
罹病期間(罹病とは病気にかかっていること)が6日間(中央値、信頼区間(3-11))で、
同ウィルス陰性の生徒は3日間(中央値、信頼区間(2-7))だった。
4.4%(77/1734)は、罹病期間が28日以上。
内訳を見ると
年少:3.1%(18/558)
年長:5.1%(59/1146)
になっている
この生徒たちの症状を見ると、
疲労感が84.4%(65/77)
頭痛が77.9%(60/77)
無嗅覚症が77.9%(60/77)だった。
興味深いことに、最初の1週間では、6つの症状(中央値、信頼区間(4-9))に比べ、28日以降では、2つの症状(中央値、 信頼区間(1-4))まで減少。
1.8%(25/1379)の生徒のみ、56日以上の症状があることもわかった。
ワクチンの接種と副反応〜血栓症と心筋炎
ワクチンの接種についてだが、
日本の厚生労働省の「ワクチンの副反応に対する 考え方及び評価について」によると、アナフィラキシーショックは、10万人〜30万人に1人が発症することがわかっている。
なお、短時間で起こるので、起きた時に接種会場で医師が対応することで解決できる(詳しくは「アナフィラキシーではどのような症状が出ますか。治療法はありますか。」参照)。
そして、アナフィラキシーショック以外の副反応として、ファイザーワクチンによる心筋炎とアストラゼネカによる血栓症の2つが知られている。
実際、イスラエルから若い男性にファイザーのワクチンを接種後、心筋炎が起こることがScience(2021年6月1日)に報告された。
イスラエルのMinistry of Health(日本の厚生労働省に相当)による発表によると、男性16歳〜24歳の間で3,000人〜6,000人に一人の頻度で心筋症が認められたという(これは、ワクチン後に見られる頻度は、普通よりも5〜25倍高い)。
大部分の病状は軽く、抗炎症の薬によって回復する。
小児のワクチンによる副反応〜報告数は?
ファイザーのmRNAワクチンは、米国で、12歳〜17歳でワクチン接種のデータが集積されており、CDC(アメリカ疾病予防管理センター、Centers for Disease Control and Prevention)で報告されている。この報告がきっかけとなり、12歳以上でもファイザーのワクチンが使用可能になっている(12歳より年齢が若いのは、使用できない)。
実際に副反応は報告されているのがポイントで、小児にとってワクチン接種は一定のリスクがある。
詳しいデータは、下記にまとめたので興味がある方は、ぜひチェックください。
12歳〜17歳で、VAERS(Vaccine Adverse Event Reporting System、米国の予防接種安全監視システム)で報告された症例は9,246例。
重篤ではない症例が90.7%(8,383/9246)
重篤な症例(死亡例を含む)は9.3%(863/9246)
だった。
0.6%(609/863)は、男性で年齢の中央値は15歳。
重篤な症例の内訳は、
胸痛(56.4%)、トロポニン上昇(41.7%)、心筋炎(40.3%)、CRP上昇(30.6%)等。
心筋炎は、全体の4.3%(397/9246)だった。
まとめ〜小児に対してワクチンを接種するか否か?
新型コロナウィルスの小児の患者は、感染したとしても、後遺症の割合が低く、やがて回復していく。
これは、日本の厚生労働省のデータからも明らかになっている。
一方で、コロナのワクチンを接種すると、副反応は10%程度。
果たして、小児ついて、接種すべきか、すべきではないか?
ぜひ、本コラムをチェックいただいている皆さんも、リスクとベネフィットの観点から、最終的にご自身で判断いただければと思う。
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