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【B#51】アートの本を通じて〜観察力をどのようにして磨くのか?

2011年に、アートをテーマに集中して本を読んだことがある(その時に出会った本については「2011年前半ベスト5~モダンアート」参照)。
そこではアートというのは、コミュニケーションの手段として捉えれていたことや、その時代の感性がその作品に凝縮しているということについても触れた。
アートに関する本を集中的に読んでいた時に、木村泰司氏の「名画の言い分〜数百年の時を超えて、今、解き明かされる「秘められたメッセージ」を手に取る機会があった。
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同書は、西洋絵画の歴史についてわかりやすくまとまっているが、冒頭に
西洋美術の見方について教えてください。西洋美術史って何ですか?
に対して
「美術は見るものではなく、読むものです」
と答えているところが最も印象的だった。
その理由として、
西洋の画家が自由に自分の好きな絵を描けるようになったのが18世紀以降のことであり、それ以前までは
「ある一定のメッセージを伝えるもの」
「明確な意図が内在している」
ものであり、
西洋美術史はそれを正確に読み解くためにあるからだという。
そこから、アートというのは歴史を知った上で、観察力を磨くものだという考え方を持つようになった。
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そして、ロルフィング・トレーニングのPhase IIで同じような考え方に出会う。
「身体を西洋絵画史はどのように捉えていたのか?」
という視点で、絵画について学ぶ機会があったからだ(「絵画史と身体(1)」「絵画史と身体(2)〜顔と頭」参照)。
画家の身体の捉え方によって、身体の表現の仕方が変わるというのは、まさに明確な意図を汲み取り、メッセージを知ることにつながるということを学ぶことができた。
アートと観察力については、「Visual Intelligence – Sharpen Your Perception, Change Your Life」(邦訳:「観察力を磨く・名画読解」参照、引用は原書からの意訳)」も詳しい。
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最近出会った本であるが、弁護士で美術史家であるエイミー・ハーマンは、観察力・分析力を高めるために絵画作品を取り入れ、「Art of Perception Course(知覚するための絵画コース)」というセミナーを開催している。FBIやアメリカ陸海軍、警察の人たちが本コースの顧客として参加しているため、内容が深い。
同書は、絵画を観察するためには、知覚力を磨く必要があり、それを以下の四つの質問からまとめている。
物事を注意深く見るためにはどのようにしたらいいのか?どのようにその情報を主観的・客観的に分けて分析するにはどうしたらいいのか?その結果を言葉に落として、どのように伝えるのか?最後にその考え方をどのように応用したらいいのか?それを観察、分析、伝達、応用という4つの切り口から紹介している。
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印象的だったのは、観察。
写真や絵画を通じて、見るということは何か?なぜ情報を見落とすのか?絵画をゆっくりと見ることを、講義におけるノートの取り方の比喩で取り上げている。
作者曰く、
講義の内容を手書きした人の方が、パソコンにタイプした人よりも、情報を正確に記憶していた
という。
何故ならば、手書きをする場合には、脳を経由するので、何が重要なのか?考えながらノートをとることであり、キーボード入力にはそういったことが行われないからだそうだ。
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ゆっくりと観察するというのは、単に数分使って何を観察しているのか?吸収することであり、パターン、関係などを取り入れること。そして、素早く観察すると、新しい情報というのは見落とされる可能性が高いという。
そして、クラスで観察力を磨くために、動画をとるのではなく、五感や直感力、理解力、情報を吸収できる能力などを信じることの重要性を以下のように説いている。
「もし、すべての感覚を動員すれば、必要な情報はすべてもたらされる。そして、脳というのはどのような機会よりも優れている。なのでONにした方がいい」
考えてみれば、私もロルフィングのトレーニングを受けている時に、動画をとることよりも、その場で吸収できることに集中した方が、身につくことを実感することができた。
観察力というのは自分の五感を信じることであり、そこには知覚というフィルターがあること、フィルターを通じて自分の解釈が入ると、主観的になるという。どのようにして客観的に表現できるのか?それをどのように言語化するか?
等、他にもとりあげたいことが多くあるが、観察力について考える際に是非とも勧めたい一冊だ。
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