【E#272】個人事業主として10周年を迎えて──“自分軸”で築いた10年の歩みと、これからの4つの柱
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はじめに
こんにちは。渋谷でロルフィング®セッションや脳科学をベースとした講座を提供している大塚英文です。
2015年6月に開業してから、無事10周年を迎えることができた。この10年を振り返ると、出会いと経験の積み重ねによって形づくられてきた時間だったことをあらためて実感。

実際、ロルフィング・セッションは体験を含めて352名(うち10回シリーズを完了された方は174名)、タロット交流会は不定期で42回開催し、40名の方、読書会は通算77回、延べ94名の方がそれぞれ参加。タロット基礎講座には42名が受講した。こうした積み重ねが、現在の活動の土台となっている。
今回は、以下の3つの視点から、10年間の歩みを振り返り、今後の展望についても述べたい。
- どうして会社を辞めて、世界一周に行けたのか?
- 続けてこられた理由──10年やってみて、わかった5つのこと
- これからやっていきたいこと──4つの柱を育てていくために
どうして会社を辞めて、世界一周に行けたのか?──人生を動かした“出会いのチカラ”
製薬会社で約11年間働いていたが、「自分は何のために働いているのか?」「このままの生き方でいいのか?」という問いが年々強くなっていった。
転機となったのは、千葉智之さんの著書「出逢いの大学:普通のサラリーマンが黄金人脈を作る法則」との出会いである。

この本に書かれていた「毎週知らない人と出会うこと」や「最初の誘いは断らないこと」という行動指針が腑に落ち、「実践してみよう」と思えた。
ちょうどSNS(MixiやFacebook)が広まりはじめていた時期でもあり、それらを活用して積極的に人との出会いを広げていった。その結果、NLP、コーチング、書道、茶道、ヨガなどの趣味が自然に広がり、ヨガインストラクター(RYT200、アンダー・ザ・ライト・ヨガ・スクール)の資格も取得した。
さらに、世界一周を経験した人たちとの出会いを通じて、「人生を一度リセットして、自分の足で世界を歩いてみたい」という思いが現実味を帯びていった。そして2014年7月から2015年6月にかけて、世界一周の旅に出る決断を下した。この旅は、個人で活動していくという今の在り方へと直結している。
続けてこられた理由──10年やってみて、わかった5つのこと
10年という節目を迎えたいま、なぜここまで続けてこられたのか。振り返ると、次の5つの要素が浮かび上がる。
直感で動いて、あとから振り返る
大きな決断は、頭で考えすぎず、直感に従ってきた。ロルフィングのトレーニング、世界一周、読書会やタロット講座の立ち上げなど、すべて「やってみたい」という感覚を信じて動いた結果である。
そのあとに「なぜそれを選んだのか」「どんな意味があったのか」を振り返り、言語化することで、自分の強みや価値観が明確になっていった。

諦めずに、粘り強く続ける
コロナ禍では、集客が難しくなり、セッションや講座の開催自体が困難になった時期もあった。しかしその中でも「今できることは何か?」を問い続け、少人数開催やオンラインでの発信を通じて、活動を続けてきた。
2020年には、日本政策金融公庫の「新型コロナ特別貸付」を活用し、資金的な支援を受けた(詳細はこちら)。この融資は経済的な安定だけでなく、事業モデルの見直しと再設計のきっかけにもなった。

必要な人に、必要なサービスを届ける
「この人に、今必要なことは何か?」という視点を常に持ち、サービスを組み立ててきた。タロット講座や栄養と感情の講座、脳活講座も、参加者からの声や相談をもとに生まれたものである。
また昨年から今年にかけては、某経営者からの依頼で半年間にわたり外部コーチとして関わる機会があった。この経験を通じて、個人向けだけでなく法人向けのコーチングへの展開も視野に入れるようになった。
今後は、Neuro-Somatic Integrationや脳科学的アプローチを軸に、組織内での意思決定や対人関係にも寄与できる支援を構築していく予定である。

趣味から場をつくる
自分が興味を持っていることを誰かと分かち合う──それがそのまま「場づくり」になっていった。タロットカードや哲学書の読書が、タロット交流会や読書会という場を育ててきた。
読書会は77回、タロット交流会は42回、タロット基礎講座は42名が受講した。どの場も「また参加したい」と思ってもらえる空気感を大切にしてきた。
趣味と仕事を無理に分けず、「好き」を中心に据えることが、結果として継続につながっている。

すべてを一人で抱え込まない
税務やホームページ管理などの専門領域は、信頼できる外部パートナーに委託している。法人向けコーチングの展開においても、必要に応じて専門家と連携しながら取り組んでいく予定である。
「全部自分でやる」ことにこだわらず、「任せる力」を持つことで、事業の質と継続性が高まっていくことを実感している。

これからやっていきたいこと──4つの柱を育てていくために

この10年間で培ってきた経験や人とのつながりをもとに、これからの活動をさらに進化させていきたい。その中心となるのが、次の4つの柱である。
ロルフィング:重力とつながる身体の探究を深める
身体の構造を再教育し、重力と調和する感覚を取り戻すロルフィング®は、今後も活動の核となる手法である。これまで10シリーズを中心に提供してきたが、2025年7月にはアドバンスト・ロルファー™の資格を修得予定であり、より深い統合・変容を支えるセッションを提供していく。
筋骨格系にとどまらず、空間との関係性、感情やエネルギーの質にも踏み込んだセッションへと進化させていく。
タロット:直感・関係性・無意識とつながる実践ツールへ
タロットは、「基礎講座」「実践講座」の2ステップで体系的に学べるよう構成しており、個人セッションもあわせて提供している。
占いではなく、深層との対話ツールとして捉えており、カードの象徴世界を通じて、直感力を育て、問いを立て、他者と共に気づきを深めていくことが目的である。
また今後は、対人心理学や愛着理論の視点も講座に取り入れ、「自分の反応パターン」や「人との関係性の癖」に気づきながら、より深い自己理解・他者理解が促進される構成へと進化させていく予定である。
タロットを学ぶことは、コーチングスキル(傾聴・問い・共感・リフレクション)を育てることにもつながり、心理的・感覚的な知性を磨く実践の場として、多くの人に届けていきたい。
統合型コーチング:Neuro-Somatic Integrationとは何か?
「統合型コーチング」は、身体(Somatic)、神経系(Neuro)、感情、思考を切り分けずに一体の流れとして扱うアプローチである。その核となるのが、Neuro-Somatic Integration(神経、身体、感情の統合)という視点である。
これは、以下のようなテーマを含む:
- 自律神経のバランスと“中庸”の感覚
- 内受容感覚を言語化するトレーニング
- 感情・反応パターンと行動選択の再構築
- 体験に基づく自己一致と行動変容
法人向けでは、意思決定やリーダーシップ、人間関係の調整においてこの統合型のアプローチが求められており、今後さらに力を入れていく。
脳活講座:“知っている”を“使える”に変える経営者のための脳科学
これまでの脳活講座では、栄養・食事・運動・睡眠などの生活習慣の知識を中心に、「脳を整える」ことをテーマとしてきた。
しかしこれからは、そこに“脳科学をどう実践に活かすか?”という視点を加え、特に経営者・リーダー層向けに展開していく。
テーマは以下の通り:
- 意思決定に関わる脳ネットワーク(DMN、タスクネットワーク)
- 感情の調整と神経伝達物質の活用
- 習慣と行動変容の神経メカニズム
- 共感・ミラーニューロン・対人関係の理解
「知っているけれど使えていない脳科学」を、「判断力と行動力につなげる技術」として提供していきたい。
最後に──“自分軸”を育てる旅は、まだまだ続く
10年間の歩みは、理想的な未来を追い求める一方で、現実と対話しながら築いてきた試行錯誤の積み重ねである。「自分軸で生きる」とは、完璧な理想を持つことではなく、その都度立ち止まり、選び直すことの連続である。
これからも、心身の調和と実践知の統合をテーマに、必要な人に必要なタイミングで届くサービスを届けていきたい。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。