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【P#69】子供の脳 vs 大人の脳〜「発散的」と「集中的」の思考の違い

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

前回、脳の中で幻覚剤を使うと、脳の中の自我に関わる部位(デフォルト・モード・ネットワーク)の活動が低下すること。瞑想にも似たような働きをすること等を紹介した。今回は、視点を変えて、子供と大人の脳の使い方の違いと、子供の脳の使い方は、幻覚剤を使用した時の脳の使い方と似ていることについてまとめてみたい。

子供の脳 vs 大人の脳

カルフォルニア大学バークレー校の発達心理学者のアリソン・ゴプニック教授の本「哲学する赤ちゃん(The Philosophical Baby)」には、子供と大人の脳の使い方の違いについて語っている。

大人の脳〜スポットライト型意識

ゴプニックの本によると、大人は「スポットライト(懐中電灯)型意識」、子供は「ランタン型(照明器具)意識」をそれぞれ持っているという。

「スポットライト型意識」は、複数の選択肢から一つの絞って集中する「集中的(convergent)」な思考。懐中電灯やレーザーのように、一点の目的にスポットライトを当てて注意を向ける。この意識は、大人になって身につける。

子供の脳〜ランタン型意識

「ランタン型意識」は、ブレーンストーミングのようなアイデア出しの時に使う「発散的(divergent)」な思考。ランタンのような大きな照明器具を使って、全体を照らして考えるので、注意がもっと広く拡散している。このため、場所から情報を得ることが可能だ。

子供の脳は、大人よりも色々なことに気づくことができるが、大人のような「スポットライト型意識」を滅多に持つことがないのに対して、大人は、時より、ランタン型意識が「日常をパノラマ的に明るく照らす」風景を感じることができる。

大人の脳は、スポットライトを使ってある一点の場所に向け、脳の予測を頼りに、知覚したことを理解しようとする。一方で子供は、世界の成り立ちに慣れていない。知覚したことを予測するという過去の経験が使えないため、驚きと共に現実と向き合う。

子供の脳から大人の脳への発達〜自我が強くなる

人間は、動物よりも長い子供時代を過ごす。それだけ探索期間も学習期間も長い。ゴプニックは、子供時代というのは人間のある種の研究開発期間(R&D)、学習と探索だけが仕事。そして大人が生産とマーケティング担当と表現している。

子供の脳は極めて、可塑性が高く、何かを成し遂げるより学習の方が得意。活用することよりも探索する方に長けている。子供の脳の神経細胞のつながりは、大人の脳の神経細胞のつながりよりもはるかに多い。

ところが、思春期にを迎えると、つながりの大部分が刈り取られ、人間はエネルギー使わなくても済むような、脳の神経細胞の配線になる。そして、自我に関わるデフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode Network、DMN)が働くようになるのだ。

大人の脳は「歳をとると意識が狭まる」「人間は無駄のない、エネルギー効率のいい脳の使い方」「信じたらそのまま考え方が硬直する」になるのに対し、子供の脳は「流動的」「新しい考え方に飛びつく」「意識が拡大する」になる。

子供の脳〜幻覚剤体験の類似性

マイケル・ポーランの「幻覚剤は役に立つのか?」に紹介されているが、ゴプニックは、幻覚剤の研究を行っているカーハート・ハリスと対面。LSDの体験は、子供の脳の使い方とあまりにも似ていることに驚いたと語っている。

ゴプニックは、
「うつ病等、考えすぎや、自己に囚われ、何か狭い対象に過剰に意識を集中させてしまうことから起きる障害や疾病が、成人にいろいろとある。同じことにこだわるうちにそこから抜け出せなくなり、強迫観念に襲われ、依存すらしてしまう。」

「その状態から脱出し、自分は何者かという固定観念を書き換えるチャンスを幻覚経験が与えてくれるという説には説得力がある。」

といったことも語っている。

まとめ

今回は、子供と大人の脳の使い方の違いと、子供の脳の使い方は、幻覚剤を使用した時の脳の使い方と似ていることについてまとめさせていただいた。

少しでもこの投稿が役立つことを願っています。

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