【J#73】松江・出雲・米子への旅(4)〜大山と三徳山三仏寺〜今回の旅で感じたこと〜予期せぬ出会い+アートについて
2020年9月21日(月)の午後4時半、米子空港発の飛行機で羽田空港に戻ってきた。
あっという間の2泊3日の旅。
振り返ってみると、
1日目は、空港から美保神社での参拝と、日本古来の製鉄・たたらの文化を伝える和鋼博物館を訪れた(「和鋼博物館を通じて日本の製鉄の文化を知る」参照)。
昼食後、足立博物館を訪れ、その後、松江市で、松江城や城下町を楽しんだ。午後7時に、宿泊先のはたご・小田温泉に到着(「日本一の庭園を持つ足立美術館と松江城近辺を散策」参照)。
2日目は、小田市(出雲市から10キロ離れている)から、海岸沿いの道を通って、念願の出雲大社に到着した。
その後、日御碕神社、熊野大社、神魂神社、八重垣神社と5つの神社を巡り、心が浄化される参拝となった(詳しくは「出雲大社、日御碕神社、熊野大社、神魂神社、八重垣神社へ〜5つの神社を巡り、心が浄化された参拝になった」に書いた)。
2日目の夜、鳥取県で、中国地方で最も高い大山の麓にある大山ロイヤルホテルに宿泊した。
ホテルのスイートルームに宿泊したため、旅の最終日(3日目)、窓越しから、大山をみることができて、大満足だった。
午前9時にホテルをチェックアウト。
植田正治写真美術館に行こうと思ったが、営業時間は午前10時からで、営業開始を待つのもどうかなぁ、と思い、今回は、取りやめ。
平安時代の密教の木造建築物がある、三徳山・三仏寺へ。奥院の投入堂(なげいりどう)をみるためだ。大山から日本海側を通る道を車で約2時間。
到着の際、地上から山奥の投入堂をみれるスポットから、みるとすごいの一言。
前回紹介した、磯崎新さんの「日本の建築遺産・12選〜語りなおし日本建築史」には、出雲大社だけではなく三仏寺・投入堂へのについても書いている。
この本によると、創建年代は、不明。今の建物は、平安時代の後期、1100年前後の建造と見られている。誰が、どのような方法で材料を、山奥まで運んでいったのか、本当に不思議に思う。
ちなみに,三仏寺は、高さ900メートルの三徳山の山腹に開かれた天台宗の修験道の寺で、実際、伺うことができた、本堂や宿坊は、300メートルの位置にある。
お寺に到着したのが、午前11時頃で、この頃ですでに長蛇の列。山を登っていくために、少なくとも2時間以上登山時間がかかることが判明。
さらに、転落事故や、登るのは険しいよと言った情報を後になってわかったこともあり、泣く泣く、登山断念。
そうはいうものの、境内は、雰囲気がよく、じっくりとみることができた。
三徳山・三仏寺を散策後、米子空港へ。全日程を終了し、今回の旅を終えることができた。
東京へ戻ってからというものの、あまりにも足立美術館の素晴らしさに感動したため、つい、庭園美術館を作った足立全康(ぜんこう)さん(以下足立さん)の人生を詳しく知りたくなった。
そこで、美術館で入手した足立さんの「庭園日本一・足立美術館を作った男」を手にとり、拝読した。
足立美術館の作品はどのように集められ、庭園はどのように作られたのか?詳しく書いてあったが、下手にビジネススクールに通って勉強するよりも、足立さんの人生を追体験するだけでも、仕事をしていく上で本当に勉強になった。
以前、本コラムでは、精神科医であり、アートコレクターの高橋龍太郎先生(以下高橋先生)の「現代美術コレクター」の本について紹介したことがあった(「「応援する」ということ〜アートと基準」)。
私は高橋先生のコレクションが大好きなので、足立さんの本を読む際、参考にしながら、読んだ。
高橋先生は、2,500点のモダンアート作品を収集にするにあたって、日本人の作品にこだわって収集している点、足立さんと似ている。ちなみに、足立さんは、近代日本画と陶芸作品を収集。
そして、高橋先生は、草間彌生氏、村上隆氏、会田誠氏、奈良美智氏、名和晃平氏などの著名なアーティストを収集しているのに対して、足立さんは、横山大観さんの作品を20年かけて150点収集していったという。
面白いのは作品を選んでいく上での基準が、2人で独自な基準を持っていることだ。
高橋先生は、
「作品を前にする時に、私はできるだけ自分を「小さく」して見るようにしている。
「小さく」とは、自分の持っている価値観、地位など、自分にまとわりつく多くのものを無に近づけることだ。そうすると幾つかの作品はどんどん自分の中で大きくなって、作品が自分を取り込むような同一化する体験を味わうことになる」
「どの作品でもその同一化体験を味わえるわけではないが、その体験が深い作品ほど、主要なコレクションになっている」
「アート作品には、人間が作り出した美への思いが凝縮されている。アートを買う行為は、美を目指す人間への賛成票とといってもいい」
といった見方をしている。
一方で、足立さんの
「絵の買い方については、一週間くらい預かり、部屋の一角にかけっぱなしにしておくという方法をとった。そうすれば、だいたい、いい絵かどうかわかる。二、三日して、もう外してもええわ。と思うような絵は駄目だ。いつまでもそこにかけていたい絵はやっぱり良い。それと自分が惚れた絵は値切らないことも大切だ。女も惚れてこそなお一層魅力が倍加するようぬ、惚れるということは出会いの原点である」
「美術品は買うと決めた時はどんなことがあっても手に入れておくべき」
と語っている。
足立さんは東京都渋谷区にある山種美術館をライバルとして美術館を作っていったという。まだ、山種美術館にはいったことがないので、どこかのタイミングで伺えればと思っている。
駆け足で、4回にわたって紹介した旅の模様。
あっという間の2泊3日だったが、足立美術館の足立全康さんの本との出会いや、出雲と製鉄との関係や、熊野大社と熊野で見た神社との共通性など、旅で気づく発見はプライス・レス。
2020年10月5日〜13日に、関西方面にいく用事があり、現在、奈良・京都への神社巡りを計画中だ。引き続き、神社巡りをしつつ、新たな発見や気づきを楽しみたい。