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【N#55】「進化・遺伝について」(7回目)〜進化論から優生学へ、メンデルの法則から雑種(ハイブリッド作物)へ、人間と社会、知識をどのように応用するか?

「身体の学校・ZERO塾」の7回目。
「細胞について」(2020年5月30日(土)、午後2時から午後6時、0期生)の模様について紹介したい。

6回目のテーマは「進化と遺伝について」
1492年、クリストファー・コロンブスが新大陸を発見。
ヨーロッパの支配圏が南米アメリカ大陸へ広がった。

ジャック・アタリの「食の歴史:人類はこれまで何を食べてきたのか?」によると、この頃、ヨーロッパの食卓には、じゃがいも、トウモロコシ、カカオ(チョコレート)等が並ぶようになった。
同時に、全世界から様々な生き物とその標本がヨーロッパに集まった。
商品を全世界に流通させる産業革命を成功させた19世紀のイギリス。

松永俊男著「チャールズ・ダーウィンの生涯:進化の生んだジェントルマンの社会」によると、産業革命を成功させたのは「ジェントリー階級」。チャールズ・ダーウィンもその階級に属していた。
ジェントリー階級の活躍により、世界中から約10万本の植物標本が集まった。標本は、宮廷の遊び場だったキュー植物園を改装し、集結。
植物園では、単一の作物を育てるプランテーション経営の役立てるように品種改良を行なった。例えば、中国から取り入れたお茶は、インドのダージリンやセイロンへ、ブラジルから取り入れた天然ゴムはマレー半島へ。
イギリス帝国は、7つの海を支配。帝国の植民地の経営のため、世界地図の作成、各国の民族性や自然(動植物の生態)などを調べた。その際、世界中に調査船を派遣。

若きチャールズ・ダーウィンは海軍の調査船のビーグル号に乗って、5年かけて世界一周へ、世界中の植物の標本を集め、後に「進化論」に役立った。

ダーウィンが「種の起源」で語った内容は、
「生き物の「種」の中で生きられるものよりも多くの個体が生まれる。結果として生存競争を引き起こす。生き物の中で、自分に有利な変異があると、複雑で変化する条件で生き残るチャンスが手に入るだろう。
すなわち
「自然選択」「自然淘汰」
されるのだ。
選択された変異は、強力な原理で、新しく修正された形を広めるよう作用するに違いない」
だ。
ここで、自然選択の箇所で、神の意図が入っているのではない!
「偶然に起きる」
ことがポイント。
進化に「いい」「悪い」はない=中立であること
が重要なのだ。
神を使わなくても、説明できた内容だったので、非常に画期的だったが、社会はそのように受け取らなかった。
進化は、いいことであり、
「神はいい方向に人類を導いてくれる」
に違いないと考える人が出てきた(ダーウィンは社会についてそのように語ったことがなかった)。
 
チャールズ・ダーウィンの従兄弟のフランシス・ゴードンは「優れた遺伝子」を選び分けて残す学問、優生学(Eugenetics)を作る。
優生学は、米本昌平ら著「優生学と人間社会~生命科学の世紀はどこに向かうのか」やシッタルーダ・ムガシー著「遺伝子―親密なる人類史(上)」に詳しいが、背景にあったのは初等教育の義務化だった。
初等教育についていけない人たちが出てきた。精神的に、肉体的に問題があるのではないか、と国家は調査をし、精神病の考え方や断種法がイギリス・アメリカで生まれる。
この経験がのちにナチスの人種差別政策につながっていく。
ダーウィンと同じ時代、全く注目されることがなかったがグレゴリー・メンデルは、エンドウマメから遺伝子の考え方を発展させた。
高校で学ぶ、メンデルの法則(対立遺伝子(優性遺伝子、劣勢遺伝子)、雑種世代(F1))は、現在の農産物の品種改良に応用されている。
日本は、何世代にもわたって育てられて、自家採種を繰り返すことで、その土地の環境に適応するように遺伝的に安定した品種(固定種)がメインだった。
やがて、高度経済成長の真っ只中。大量生産の要請に応じ、異なる性質を持つ種を人工的に掛け合わせて作った雑種の1代目(F1)が主流になる。
農林水産省の食料産業局知的財産課がまとめた「種苗をめぐる情勢」によると、約9割が外国で作られ、輸入されるという。
その報告書の一部を引用すると、
「野菜の種子は、我が国の種苗会社が開発した優良な親品種の雄株と雌株を交配することでより優良な品種が生産されるが、この交配の多く(約9割)が海外で行われている」
となる

野口勲著「タネは危ない」には、収穫を一斉に行うこと、農産物の大きさが均一になること等から、 スーパーに並ぶ農産物は、F1が大半になる。

F1は、有機農業、化学肥料と合わせて問題にすべきことであり、環境に与える影響は今のところわかっていない。野口勲さんによると、2007年にミツバチが大量に減った事件が起きたのは、F1雑種の影響が大きいという。
進化論は優生学へ
メンデルの法則はF1雑種へ
とそれぞれ人間は科学技術を応用させることになった。
身体の学校・ZERO塾では、これらをどのように考えたらいいのか?答えのない世の中で、一人一人の答えを出すことの大切さを伝えた
今回のセミナーでは、他にも1940年代までに、遺伝子はDNAと呼ばれる物質であることがわかったことざっと説明した。
細かい内容なので、ざっと通す形を取ったが、大切なのは知識よりも、根底にある考え方。それが伝わるといいと思う。
今月末に最終回(8回)。感染症について語る予定だ。
詳しくは、「「からだの学校」〜健康について自分で考える力を養おう」1期生の募集開始」をご参照ください。
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過去の記事については下記をご参照ください。
1回目・元素とは何か?(「「元素とは何か?」(1回目)〜「自分で考える力」とは何か?言葉を知ること、生活と関連づけること、科学の限界を知ること」)参照
2回目・電磁気とは何か?(「「電磁気とは何か?」(2回目)〜科学は社会に与えた影響は何か?どのような人たちが「目に見えない電気・磁気」を言葉していったのか?」参照)
3回目・エネルギーとは何か?(「「エネルギーとは何か?」(3回目)〜蒸気機関の産業から生まれた「エネルギー」の考え方:背景を知ること」参照)
4回目・栄養と酵素について(「栄養と酵素について」(4回目)〜アルコールの発酵技術+砂糖のプランテーションの歴史を覗く〜栄養と酵素について」参照)
5回目・消化と吸収について(「消化・吸収について」(5回目)〜食事からどのように栄養(エネルギー)にするのか?判断していくための知識として)」参照)
6回目・細胞について(「「細胞について」(6回目)〜細胞の構造、どのようにコミュニケーションを取り合うのか?」参照)
7回目・進化について(「「進化・遺伝について」(7回目)〜進化論から優生学へ、メンデルの法則から雑種(ハイブリッド作物)へ、人間と社会、知識をどのように応用するか?」参照)
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