【B#46】物事を発想するって苦労して出てくるもの?
世界一周中に、ビジネスクラスで移動していたので、映画を見る機会があった。その中でも「Eat Pray and Love: One Woman’s Search for Everything」(邦訳:「食べて、祈って、恋をして 女が直面するあらゆること探究の書」)を原作とする映画(ジュリア・ロバーツ主演)は印象に残った。
ある女性が作家として活動していたが、離婚と失恋を経験することで、旅に出ることになる。イタリア、インド、インドネシアで新たな自分に気づいていくという、ありふれた内容だったのだが、インド以外は一度行ったこともあることから、共感できる部分もあった。
実は昨年(2016年)、Eat, Pray, Loveの著者(Elizabeth Gilbert(エリザベス・ギルバート))ご本人に興味を持つようになった。
きっかけとなったのが、’Big Magic: Creative Living Beyond Fear‘(邦訳なし)とTED TALKの「創造性をはぐくむには」との出会い。
Big Magicは2016年出会った本の中でも上位に入るほど面白い本だと思っているのだが、残念ながら日本語訳が出版されていない(その後、2017年10月に邦訳(「「夢中になる」ことからはじめよう」参照)が発売された)。
自分の好きなことをするというのはどういうことなのか?作家の観点で語った一冊で、文字通り語っているような文章で一気に読めた。
「創造性=クリエイティビティ」
というのは、
「苦労して身につけるもの」
のため
「恐れのあるもの」
だから・・・
「自分の好きなことをするのをやめたほうがいい」
という世間の風潮がある。
だが、
本当に才能というのは一部の人たちだけのものなのか?
恐れる必要があるのか?
ということに対して、著者は否定する。
才能というのは、誰にでもあるし、
クリエイティビティ=苦労
というのは「思い込み」だという。
恐怖の実態は、インスピレーション(=発想)がさまよっているところにあり、予想ができないところにあるという。
だから、不安になる。
インスピレーションというのは、それを生かしてくれる人を絶えず探している。そして、興味深いことに、適切なタイミングになった時に、その人に訪れる。予期せぬ形で。
ある意味、誰にでもチャンスがある。
要は、好奇心を持って準備して、日々のやるべきことを積み重ね、インスピレーションが訪れたら、見逃さない。そして出会った際に、インスピレーションを大切な親友のように扱い、信頼関係を結び、人とコラボすることで形にすることができるというのだ。
大事なのはリスペクトと好奇心。成功・失敗というよりも、どれだけそれに捧げたか、によって決まると。
そう語った上で、インスピレーションというのは、Magic=魔法であり、あるエピソードを紹介している。
Eat, Pray, Loveを出版後、次の小説のためにの準備をする。その内容はブラジルが舞台。恋人のFelipeが1960年代にアマゾンのジャングルに高速道路を建設するという計画について語り、どのように資金が投入され、政府の腐敗によりお金の一部を失うが、やがて建設に着手。ただ、数ヶ月後雨に見舞われる。当時、アマゾンの雨季というのはどういったものだったのか?全く予想できなかったそうだが、雨により一時建設が中止。数ヶ月後戻ってみると、完全に道路が自然によって破壊されていたというのだ。
その話をElizabeth Gilbertが聞き、インスピレーションという名の生体反応が起きて、書いてみようという気になった。
やがてEvelyn of the Amazonという題名で出版社とも契約にこぎつけたのだが、ある出来事を機に作業を中断。残念ながらその後、その着想が形にならないまま終わることに。
興味深いのは、その後。講演会をAnn Patchettという小説家に出会ったのだが、驚くべきことに、作業を中断した後に、同じようにブラジルを舞台に同じような着想で、小説を書いていたことが判明する。
このようにインスピレーションというのは、自由意思というものを持っており、魂から魂へと移動。適切な人間に形にするように探しているということである。
苦労せずとも、準備している人に発想が訪れる。こういった考え方は自分にも周囲の人にも勇気を与えてくれるものだと思う。
2017年も始まったばっかり。こういったインスピレーションに出会える可能性があると信じて前に進めればと考えている。