【B#33】甘えることを覚えることが自立への一歩
2015年2月15日。セッション・ルーム・ゼロにてタロット講座を開催した。タロット・カードをどのようにして読んだらいいのか?知りたい!という声が多数寄せられたので、一度試してみよう、ということで開催した(その模様については、「人の話の聴き方に力点を置いたタロット講座を開催した」参照)。
その時に、Stephen Coveyの「七つの習慣」で出てくる一つの考え方について紹介した。
その本では、人間関係が成熟するについて、依存→自立→相互依存という形で進むと述べている。
ここでのポイントは依存関係を築けないと自立ができない点。誰もが生まれた時に親に依存しなければ生きていけない。その時に求められるのは、
他人に助けを求める能力=依存
だ。それができなければ、もちろん生き延びていくのは難しい。そして、社会に出るとわかるのだが、いくら自立していても、他人に力を借りる必要なことは変わりないからだ。必要に応じて「助けて!」という声を出すことが能力として求められる。
依存関係がしっかりとできていないと、人に頼るのが苦手な人。いざという時に助けを求められなくなってしまうのだ。
私も20代の後半、なかなか弱音を吐くことのできなかった経験があり、それがストレスという形で無理を重ねていった。健全ではないため、最終的に燃え尽きてしまった。その教訓から、
甘える=必要な時に助けを求める
という考えを大事にするようになった。
その考えについて犯罪者との関連で書いたのが岡本茂樹氏の「反省させると犯罪者になります」だ。
著者は刑務所の受刑者の更正プログラムに携わった経験から、「反省させるように教育をすると犯罪者になりやすい」という考え方に至ったという。
悪いことをしたら「反省させること」が重要ではなく、なぜそこに至ったのか?自分の内面に向かって問い続けることで「自分の心の痛み」は何なのか?を経て初めて反省(更生)に至るというのだ。
本書には、一生懸命育てられた子は、
「しっかりとした子供」=「我慢ができること」「弱音を吐かないこと」「人に迷惑をかけないこと」
のようなパターンで育てられる傾向があるという。
結果、
「我慢ができること」=「自分の気持ちを出さ(せ)ないこと」
が美徳という考えが身につくことで、無理をするようになる。ストレスがたまり、解消する手段を持たないまま最終的に爆発(犯罪か心の病気)となる。
そして、本書の言葉を借りると、
人に頼らないということは、「一人で頑張ること」「弱音をはかないこと」「人に迷惑をかけないこと」という考え方に通じます。人に頼らないで弱音を吐かず一人で 頑張ることを人は賞賛しがちですが、実は、犯罪者の中には人に頼らない生き方をしてきた結果、自分に無理をして、強がって犯罪を起こした者が多くいます。 本当は寂しくて苦しいのに、それをいうと「恥ずかしい」とか「格好わるい」と考えて、逆に強がって生きてきたのです。犯罪者になる人は、強い自分を見せることで、人に承認されていると考えます。したがって、弱い自分を出すことで、人が離れて行くと考えています。
いかに、自立というのは依存関係が築けるかどうかにかかっているか、よくお分かりいただけるかと思う。
ロルフィング・セッションで「自分から助けを求めることができない」お客さんに出会う確率は高い。ただ、これは日本特有の問題だと思っていない。現代的な問題であり、世界一周にいた時も、自分から助けを求めれられず、自分の意見を言えないドイツ人と出会ったし、ドイツ在住の日本人の友人からも同じようなことを聞いた。
ロルフィング・セッションを通じて、依存関係を築くということの大切さをどう伝えていったらいいのか?これからも試行錯誤が続くと思う。
一つ言えることは、身体感覚を通じて「身体=今ここ」という意識が強くなることで、無理に身体へ力を入れる必要がなくなっていく。結果として、自分の身体を あるがままに受け入れられるようになり、自分の持っている長所、個性を使えるへと心に変化が起きる。そして、自分の中からの答え・直感を導くことができるようになっていく。
その結果として、自分に正直に考え方が伝えられるようになっていくように感じる。今後とも、そう言ったことを伝えつつ、どのように依存関係を磨くのか?考えていきたい。