【E#54】開業5ヶ月が過ぎて(1)〜社会人経験と自分を知ること
ロルフィングのセッション・ルームZEROをオープンして、ロルファーとして活動し始めてから5ヶ月が過ぎようとしている。
予想以上にお客さんが訪れていることに驚いている。ロルフィングの手技を学んでから8ヶ月後すぎたに過ぎず、経験を積む段階。その段階にもかかわらず、多くのお客さんにお越しいただくのは本当に感謝の気持ちで一杯だ。
セッションを提供していて役立っていると感じているのは、手技のノウ・ハウではなく、社会人経験。民間会社で11年、大学の研究機関で合計11年近く。44歳でセッション・ルームを開業したということもあり、その経験が「人の話を聞く」ときに活きていると思う。
大学院時代に学んだ場所は、超一流の欧米科学誌に研究成果を掲載することで有名だったところ。成果が出なければ人間扱いを受けることがないという、非常に厳しいものだった。まるでプロ野球選手の世界のよう。なかなか成果を上げることができず、どん底を彷徨い、自分を見失うことも多々あった。そういった厳しい環境下、
- 問題意識を持って研究テーマをどのようにして選ぶのか?
- 教授とのコミュニケーションを取る際に論理的にどう話すのか?
- 事実と意見をどう区別するのか?
を含め徹底的に科学的な思考を身につけたと思う。幸運なことにこの研究室をうまく生き残ることができて、博士号を取得することができた。
それ以来、
「自分が置かれた環境に感謝をもつという考えで、そこで吸収できることは吸収しよう」
という考えを身につけることができた。
研究の世界を離れ、民間会社に移ってからもそれは変化せず。学ぶべきことをチェックリストという形でリストアップ化。学ぶべきことをすべて学び終えたら次のステップ(転職)へ動くようになった。
20代に最大の逆境を経験したこともあり、精神力が鍛えられ、30代に組織に執着せずに生きる術を覚えることができた。
ロルファーの佐藤博紀さんからの紹介で出会った本、
山本邦子著の「トップ・アスリートだけが知っている「正しい」体のつくり方」
によると
「一つの目標を達成するために、自分自身の内面や自分の特徴を整理して、その中で最適な方法を見つけていく。ものごとを成し遂げるためには、自分自身を知ることが何よりも大切なのです」
という。自分が自立していくために、自分の特徴を知るためにはどういった方法でおこなったらいいのか?20代のうちに考えることができたというのは大きいと思う。それが、最後に勤めた製薬会社で会社都合ではなく自己都合で退社したことに現れ、世界一周の決断にもつながったと信じている。
ボディワークの世界に入ってまだわずかだが、感じるのは人間力の大切さ。ミュンヘンでトレーニングの場合には、25歳以上という年齢制限がある。おそらく、ヨーロッパではある程度ボディワークには人生経験が重要だという考えがあるように思う。参加者も30代、40代が多かったというのもその考えが反映されているように感じた。
もちろん、若いうちからボディワーク世界で仕事をする人も尊敬できるが、私でしか提供できないものってきっとあると思う。これからも、こうしたことを模索しつつ、学びを深めていきたい。