【Y#47】プラーナーヤーマ・連続講座(6)〜呼吸
2015年11月3日、4日の2日間に渡って行われたプラーナーヤーマ・連続講座。前回はヨガの実践の際に、どのように意識を向けるか?について書いたが(【YogaコラムVol.26】参照)、今回は呼吸について。
ロルフィングからみた呼吸については以前4回に分けて書いたことがある。
呼吸のプロセスで吐ききったあと、脳幹の呼吸中枢から情報が指令が脊髄へ伝えられる。そこで吸気に必要な筋肉が収縮することで、肋骨が重力に抗して拡大していく(肋骨を広げる)こと(【RolfingコラムVol.62】参照)。横隔膜が重要な役割を果たすこと(【RolfingコラムVol.63】参照)。姿勢においては、ExtensorsとFlexorsが大事でそのバランスが崩れると、呼吸にも影響すること(【RolfingコラムVol.65】参照)。最後に重力と呼吸との関係について(【RolfingコラムVol.66】参照)。
ロルフィングでは、呼吸は最も重要視されており、構成される10回セッションの中で1回目のセッションに「呼吸を調える」(【RolfingコラムVol.12】参照)が入っていることがそのことを伺うことができる。
素子さんの講座でも、呼吸筋として、横隔膜、肋間筋、頸部筋群、骨盤底筋群がメインとなって働くということを触れたが、まさにロルフィングではその筋肉群にアプローチしていくことと共通の部分があった。
連続講座の2日目(2015年11月4日)、座位で瞑想のテクニックを実践した際、呼吸の気道、左右の肺、咽頭、口蓋等のイメージを使って身体内の呼吸はどのような構造になっているのか?言葉の誘導によって身体内での空気の出入りがどのように行われているのかを実感しながら見ていくというアプローチーが新鮮だった。これは、ロルフィングでも行うことの一つのEmbodimentによく似ている。
【RolfingコラムVol.22】でEmbodimentについて、身体感覚を自分の内部で経験することの重要性について下記のように書いた。
身体感覚を自分の中でも体験できていないとクライアントの身体内部で何が起きているのか捉えるのが難しい。これは、ヨガの先生がヨガを教える際に、どれだけ自分が練習したか?その範囲のことでしか教えることができないのと似ているように思う。
講座ではこのような工夫があり、面白いと思った。
さて、呼吸については、プラーナーヤーマとの関連で説明があったが、非常にわかりやすかった。例えば、
- 神経系から見た呼吸として:ストレスや感情によって刺激を受ける大脳辺縁系。それによって呼吸が変化すること。プラーナーヤーマは、呼吸を意識的に変化させ、高位の脳(大脳皮質)を働きかけることで、結果的に大脳辺縁系からの刺激を抑制。感情を含めた心の状態やストレスによる身体と心の反応をコントロールできるようになる。
- 血液の二酸化炭素濃度の増加(酸素濃度が減少する)により、呼吸中枢(→呼吸の自動調節に関わる場所)を刺激、呼吸の回数が増加していく。プラーナーヤーマは酸素濃度でなく二酸化炭素濃度に注目するので、その点の理解が大切。
- 感情やストレスに対する身体の緊張は、神経を介して呼吸中枢に作用。呼吸が速く浅く変化していく。この呼吸の変化によって筋緊張が高まり、交感神経優位となる。プラーナーヤーマの実践により、血中の二酸化炭素濃度を高めている状態で、呼吸をゆっくり深くしていくように、身体が馴染んでいく。
- プラーナーヤーマは、二酸化炭素が高濃度でも、副交感神経系優位のリラックス状態に持っていくように訓練してくところに意義がある。
また、アシュタンガ・ヴィンヤーサ・ヨガでも重視されるウジャーイの呼吸についても説明があった。プラーナーヤーマにおいてもウジャーイは大切だが、その呼吸を行う意義として2つある。
- 喉を引き締めることによって、気道を狭くすること。そのことで避けな力を使わずに長時間かけて呼気が可能だということ。
- 頸部の喉を引き締めることによって、首が固定。そのことで身体の他の部分(鎖骨、肋骨)が動員、余計な力が入ることなく、働くべき筋肉が働くようになること。
このようにプラーナーヤーマを実践していく上で、学ぶべき知識が全て網羅されているころが良かった。
次にヨガの哲学を中心に触れたい。