【B#255】妬まれる覚悟・なめられない関係性〜妬みの感情とどう付き合っていくか?
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はじめに
渋谷を拠点に、ロルフィング®やコーチング、タロット、脳活講座を行き来しながら、考えること・感じること・身体感覚(肚・丹田)が、自然にひとつの判断としてまとまっていく状態を取り戻すための場をつくっている大塚英文です。
私は過去のブログ記事で、清川永里子さんの「人生がうまくいく人のジェラスフリーな生き方: 妬みを手放し、自分の幸せに気づく感情の整理術 」(2025年2月発刊)について取り上げた。
この本の興味深かったのは、感情の中であまり注目されてこなかった「嫉妬」を正面から扱い、その乗り越え方を提示している点だった。
この本での中心テーマは、
「妬む側の感情をどう扱うか」
だ。
今回は、清川永里子さんの「妬まれる覚悟 なめられない関係性」(2025年12月発刊)では、そこから一歩進み、
「妬まれる側として、どう生きるのか」
をテーマにしている。

それぞれの視点が面白いが、個人的には、後者の本の方が興味深いと感じた。今回紹介する本で、清川さんは「妬まれる覚悟」と「なめられない関係性」を分けて考えた方がいいと語っている。今回のブログでは、2つの視点から、本の内容についてご紹介させていただきたい。
自分で感じる妬み──自分の感情をどう整えるか?
まず大切なのは、
「(自分で感じる)妬み」と「(他人からの)妬み」」の感情を扱う際には、違った対処法、正反対に考える必要
という点だ。
清川さんの造語である「ジェラスフリー」とは、妬みという心はどう生まれるのか?どのようにして自分の心を整えればいいのか?自分の内面の問題=自分との関係と捉えることができる。
自分との関係なので、
- 自分の考える最善とは何なのか
- 自分はどう生きたいのか
- どういう人間になりたいのか
この3つを言語化することで対策をとることができる。
このように自分の判断軸が確立していると、人に何を言われても
あなたの考えはそうなんですね、でも、私の考えと生き方は違う
と振り回されることがなくなる。このように自分の判断軸が明確になると「ジェラスフリーの生き方」へとつながっていくといっていい。
詳しくは「人生がうまくいく人のジェラスフリーな生き方: 妬みを手放し、自分の幸せに気づく感情の整理術 」をぜひチェックください!

他人からの妬み──コントロールできない他人の感情にどう対処するか?
一方で、「妬まれる覚悟」とは、自分が選んだ生き方や成果によって、他者の感情=妬みが生じる可能性を引き受けるという、自分でコントロールできない人間関係の中での話になる。
一見、
- 妬まれないように目立たない
- 妬まれないように成果を語らない
- 妬まれないように自分を小さくする
のような態度は、人間関係を円滑にしているように見えるかもしれない。
しかし、それが続いてしまうと、
「自分の人生の主導権を、他人の感情に明け渡すことになる」
へとつながっていく。
清川さんが強調するのは、成功には必ず妬みがついてくるという点だ。
愛着理論から見た「妬み」──関係性に安心・安全の場があるか否か
余談になるが、私自身、身体を整える仕事(ボディワーク)をしているが、その立場から、清川さんののテーマである「妬み」をより深く理解するため、愛着理論(Attachment Theory)の考え方を知ることが重要だと考えている。
愛着理論──4つの愛着スタイルと自律神経
ジョン・ボウルビィ(John Bowlby)によって提唱された愛着理論は、乳幼児期の養育者との情緒的な結びつきが、その後の人格形成や対人関係、感情調整に大きな影響を及ぼすとする。愛着理論では、幼少期の養育者(caregiver)との関係を通じて大人の「愛着スタイル(関係性の安心感の傾向) 」が形成されると考える。
愛着スタイルには4つのスタイルがある。
- 安定型(Secure Attachment):信頼と自立が両立している。養育者が一貫した応答をした場合に形成される。
- 回避型(Avoidant Attachment):感情表現や親密さを避けやすい。無視や過干渉が背景にある。
- 不安型(Anxious/Ambivalent Attachment):愛情への強い渇望と不安が共存する。応答の不一致が形成要因となる。
- 混乱型(Disorganized Attachment):接近と回避が矛盾して出現する。虐待や深刻なトラウマ体験に起因する。
愛着とは、単に心理的な枠組みではなく、「私はこの世界で安全に存在していてよいのか?」という問いに対する自律神経の反応(生理反応)そのもの。実は、意識していなくても起こってしまうのだ。
なぜ「妬み」は自然と起きてしまうのか?──関係性によって決まる
愛着スタイルは、後の対人関係の感情体験や行動パターンにも影響を与えることが広く示されている。例えば、恋愛関係における嫉妬を調べた研究では、愛着に関する不安が高い人ほど嫉妬や不安・侵入的な思考が強くなりやすい という傾向が報告されている。
この理論から言えば、「妬み」は単なる性格的な弱さや道徳の問題ではなく、 関係性の中で安全感が揺らいだときに立ち上がる感情反応 として捉えてよさそうだ。
特に、愛着の中でも不安を抱きやすい人(不安型)は、
- 相手の行動を過度に気にする
- 将来の不確実性に不安を感じる
- つながりが脅かされたと感じるときに嫉妬が強まる
といった形で「妬み」を体験しやすい。
関係性によって生まれる「心理的・生理的反応」が重要
一方で、安心感のある関係(安全な愛着)を基盤にしている人は、嫉妬を感じてもそれが「関係にとって何を示しているのか」という信号として自分で受け止め、対話や境界の再調整につなげることが比較的簡単だ。
つまり、妬みは関係における安全感のバロメーター として捉えることができ、「嫉妬が起きる自分自身」や「相手との関係のありよう」に目を向ける一つの道しるべになるとも言える。
愛着理論のことを知ることで「妬み」という感情を単なる感情の問題としてではなく、 関係性の構造や安心感・不安感とつながる「関係の心理的反応」として見ることができるのだ。
妬みをどう受けとめ、どう扱うか?
清川さんの本の内容に戻りたい。
妬みは、自分のコントロール外で起きてしまう感情として捉えることができる。そこで、大切なのは、その妬みをどう受け止め、どう扱うか?妬まれても、前へしっかりと進むこと。
「妬まれる覚悟 なめられない関係性」の最もキーとなるのは、「妬まれる覚悟」と「なめられない関係性」の2つを分けて考えることを提唱している点だ。二つの考え方が身につくと、妬まれても、自信を持って生きることができるようになるという。
以下「妬まれる覚悟」と「なめられない関係性」について書きたい。
「妬まれる覚悟」──相手の心理を知り、覚悟を持つ
「他人からの妬み」は、成功している人しか受け取れない。これって完全に相手の問題と言っていい。自分ではどうすることもできないため、「他人からの妬み」は、正しく理解し、上手に扱うことが必要になる。
清川さんは、心理的なプロセスの言語化がうまく、例えば、「原理」の中に書かれている妬みの心理的プロセスが面白く、相手の心が収まるのにどれだけの時間がかかるか?修復できるか?どう距離をとったらいいのか?等、冷静に対処できるような印象を受けた。
- きっかけ(例、引き金となる出来事)
- 感情の発生(例、焦り、怒り)
- 思考のループ(例、ネガティブ思考のループ)
- 自己認識(感情の理解と客観視)
- 原因の深掘り(妬みの裏にある自分の願望)
- 表現・共有(感情の言語化)
- 再評価と受容(自分を自然体で見る)
- ジェラシーの解消(相手との関係性が正常化)
「行動」「作法」には、妬まれ度のチェック、妬まれた時に現れる行動、年上に妬まれた時にどう対処するか?一つ一つ具体的にわかりやすい。
この本で強調しているのは、妬みは、絶対にあるものあると知ること、妬むタイプを見極めること、自分が妬む側になった時は解消する手段を身につけること、妬まれた時に受け流すこと等だ。ぜひ、ケースバイケースでどのように対処したらいいのか?ご興味のある方は本をチェックいただきたい。
「なめられない関係性」──境界線を築いて関係性を作ること
なめられない関係性を築くには、人間関係に適切な距離感をとることが重要となる。
清川さんの本では「見ない」「追わない」「感じない」姿勢を保つことが、相手・自分の心を守るのに重要なるとのことだ。
- 見ない:相手の表情、感情に反応しない
- 追わない:相手の機嫌、意図を読み取ろうとせず、関係修復に執着しない
- 感じない:相手のネガティブな感情・言葉を、自分の内側に取り込まない
このようにして相手とのバウンダリーを築くことができるようになる。
興味深いのは、清川さんが語っている「謙虚」と「自己否定」の違いだ。
本当に実力のある人は、驕らず、静かに、穏やかに振る舞うことで、真に謙虚さが出る。しかし、この頭を垂れるが自分を小さく見せることへとつながっている人がいるという。
清川さんは、謙虚さと自己否定を以下のように定義する。
謙虚とは、自分の力を正しく認識しつつ、相手を尊重する態度
自己否定は、「自分なんてだめだ、価値がない」と、自らの価値を過小評価する態度
一見2つは似ていると思われるが、軸のある人が使う「へりくだる言葉」と、軸を失った人が使う「防衛のための言葉」では伝わる印象が違うのだ。
まとめ
今回は、清川さんの「妬まれる覚悟 なめられない関係性」の内容を中心に本の内容の要約及び、愛着理論との関係についてご紹介させていただいた。
ぜひ、嫉妬についてご興味のある方、ハウツーを含め、知りたい方、特に、経営者で、部下を持つ方にはお勧めしたい本だ。





