1. HOME
  2. ブログ
  3. ブログ/全ての記事
  4. コラム
  5. 【B#179】アップル社の創造性組織の軌跡:ジョブズの時代とその後〜リーダーの重要性

BLOG

ブログ

コラム ブログ/全ての記事 創造性・組織 書評 本・書評 脳科学・脳活講座

【B#179】アップル社の創造性組織の軌跡:ジョブズの時代とその後〜リーダーの重要性

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

Apple製品に囲まれた生活

過去に、Apple IIe(米国・中学校時代)、Machintosh classic(大学時代)、iMac、Powerbook 2400c(大学院時代)を手に取ったことがあり、現在、MacBookPro 14 inch 2021年モデルを使用。

2007年にiPhoneが発売されてから、購入。過去に何度か機種変更をし(過去にiPhone 3G、iPhone 4S、iPhone 6S Plus、iPhone 11、iphone13を使用)、現在、最新(iPhone 16 plus)の機種を使っている。2023年(昨年)にiPad Pro 13-inch(M4)を購入・使用している。

このように青春時代から現在まで、Apple社の製品に囲まれた生活を送っているが、以前より、Apple社の経営、組織作りについて、興味を持ってチェックしている。

今回のブログでは、ウォルター・アイサックソン(Walter Issacsson)の「スティーブ・ジョブス(Steve Jobs)」と、ジョブスが亡くなった後のApple社の経営を描いたトリップ・ミックル(Tripp Mickle)の「アフター・スティーブ(AFTER STEVE)」を参考に、Apple社と創造的組織の経営についてまとめたい。

ジョブズ時代:創造性を育む組織文化の構築

アイサックソンの『スティーブ・ジョブズ』には、ジョブズがどのようにApple社の創造的環境を築いたか?事細かにまとめている。以下、率直な意見交換の文化、デザインの絶対的重視、製品中心主義の三つの視点から紹介した。

率直な意見交換の文化

ジョブズは「賢い人々を雇い、彼らに指示を出す」のではなく、「賢い人々を雇い、彼らに何をすべきか言ってもらう」という哲学を持っていた。ジョブスは、下記の文化を育んだ。

  • 遠慮のない批評: ジョブズ自身が「これはクソだ」と言うことを厭わず、社員にも率直な意見を求めた
  • 「現実歪曲フィールド」: 不可能と思われることを可能にするジョブズの力強いビジョン
  • アイデアの激突: マッキントッシュチームの開発室では、激しい議論が日常的に行われ、それがイノベーションを促進

例としては、初代MacBookAirの開発時、ジョブズがSonyのVAIOを持ち込み「これより薄いものを作れ」と要求した際、エンジニアたちは不可能だと主張。ジョブズはその意見を認めず、最終的にチームは革新的な薄型設計を実現することができた。

デザインの絶対的重視

デザインを語る上でも、ジョブズは以下のような考え方を浸透させていった。

  • ジョナサン・アイブの特別待遇: デザイン責任者アイブは、アップル本社内に特別なデザインスタジオを与えられ、そこへのアクセスはジョブズを含む限られた人々のみに許可
  • 機能よりも美しさ: 「デザインは機能そのものである」という哲学のもと、美しさのために技術的妥協をしないという姿勢
  • 素材へのこだわり: iMacのポリカーボネート素材からiPhoneのガラスとアルミニウムまで、新素材の追求
  • シンプリシティの追求: 「不要なものを削ぎ落とす」というミニマリズムの徹底(禅の影響もある)

例としては、iPodの開発時、ジョブズは「3クリックで音楽にアクセスできる」というシンプルな要件を設け、これがクリックホイールという革新的インターフェースにつながった。

製品中心主義

ジョブズは、株価や利益よりも製品の革新性、いわゆる製品中心主義を推し進めた。

  • 少数精鋭の製品ライン: 1997年の復帰時、ジョブズは70%の製品を廃止し、4つのカテゴリーに集中する
  • 完璧主義: 初代iPhoneは発売直前までガラス画面に変更するなど、最後まで妥協せず
  • クローズドエコシステム: ハードウェアとソフトウェアの垂直統合により、ユーザー体験を完全にコントロール
  • 市場調査の拒否: 「顧客は自分が欲しいものを知らない」という信念から、市場調査より直感を重視

アップルのイノベーションプロセスは「トップダウン型の有機的集団創造性」と呼ばれ、ジョブズのビジョンとチームの創造力が絶妙に融合していました。

2011年10月5日に、ジョブスが死亡。その後、Apple社はどのような変化をもたらしたのか?次にまとめたい。

アフター・スティーブ:創造性組織の変容

トリップ・ミックルの「AFTER STEVE」には、ジョブズ亡き後のApple社において、創造的文化がどのように変化したのか?についてまとめている。革新的な製品が生まれなくなったものの、収益が大幅に改善していく。

率直な意見交換の文化〜徐々に希薄化

CEOがジョブスからティムクックへ代わり、組織文化が以下のように変わった。

  • 衝突回避の風土: ティム・クックのリーダーシップスタイルは協調性を重視し、ジョブズ時代の建設的対立が減少
  • リスク回避: 失敗を許容しない企業文化が強まり、大胆なアイデアが出にくくなった
  • 官僚制の台頭: 意思決定プロセスが複雑化し、組織の階層化が進行

例としては、AppleWatchの開発では、健康機能について複数の意見があったものの、ジョブズ時代のような激しい議論による一本化ではなく、妥協的な機能選択がなされたという。

ファイナンスの台頭、製品重視の後退

クックは製品中心の人間ではないと、ジョブスは指摘しているように、クックがCEOに就任するようになり、製品よりもファイナンス重視の経営へ舵を切るようになった。実際、クックは製品開発の会議にほとんど参加しなかったと言う。

ポイントとしては、

  • 収益性重視: クックCEOの下、製品開発よりも収益性とキャッシュフローが重視されるように
  • サービス事業の強化: ハードウェア革新からサービス収益(Apple Music、App Store手数料など)重視へ
  • 株主還元策の重視: 自社株買いと配当に巨額の資金を投入
  • リスク回避的投資: 買収による技術獲得が内部開発よりも優先される傾向

例としては、iPhone価格の高騰(初代$499→iPhone13 Pro Max $1,099)とモデルの多様化は、製品哲学よりも収益最大化戦略を示している。長年噂されたApple Carプロジェクトは、リスクが高いとして縮小。最終的にプロジェクトはストップした。

デザインの軽視とジョナサン・アイブの待遇変化

クックが苦心したのは、デザインチームの待遇だった。結局、以下のようにデザインチームの組織が変わり、デザイン軽視へと変わっていった。

  • アイブの権限縮小: 2015年、アイブはCDO(最高デザイン責任者)に昇進したものの、日常的な製品開発から遠ざかり、新社屋Apple Parkの建設に注力
  • デザインチームの再編: ハードウェアとソフトウェアのデザインチームが分断され、エンジニアリングチームの発言力が増大
  • アイブの不満と退社: 2019年、アイブは「製品よりもオペレーションが重視される」ことへの不満から退社
  • デザイン部門の地位低下: アイブ退社後、デザイン部門は直接CEOに報告する特別な地位を失った

例としては、iPhoneのデザインは年々保守的になり、ジョブズ時代のような根本的な革新が減少。Macのポートの多様化(USB-C、Thunderbolt、SDカードスロット復活)は、純粋なデザイン美学よりも実用性を優先する傾向を示すようになる。

2019年にアイブがApple社を退社。新たに立ち上げたデザイン会社LoveFromは、アップルと契約を結んだものの、その関係は長続きしなかった。

まとめ

アップルは依然として世界最大の企業の一つですが、その成功はジョブズ時代に確立された製品とエコシステムの拡張に基づいています。

ジョブズの「狂気の天才」が率いる創造的組織から、クックの「堅実な経営者」が率いる効率的な機関へと変容したアップルは、財務的には大成功を収めつつも、業界を根本から変えるような革新的製品の登場頻度は減少していくことになる。

今回は、Apple社の内部でどのようなことが起きたのか?2冊の本を中心にまとめさせていただいた。

少しでも、この投稿が役立つことを願っています。

関連記事

【E#165】「パワーストーンとの付き合い方」セミナーを...

【B#46】物事を発想するって苦労して出てくるもの?

【B#53】「メットガラ」を鑑賞して〜自分の好きなことと...

【E#251】綱島のサロンZERO、活動スタート〜引っ越...

【N#17】『糖質制限を知る』〜糖質制限をすると何が起こ...

【N#164】デュピクセントをやめて5ヶ月〜脱ステロイド...