1. HOME
  2. ブログ
  3. ブログ/全ての記事
  4. コラム
  5. 【N#133】食と健康の判断をしていく上で⑥〜何を食べるかより、いつ食べるか?

BLOG

ブログ

コラム ブログ/全ての記事 分子栄養学・歯科治療 西洋医学

【N#133】食と健康の判断をしていく上で⑥〜何を食べるかより、いつ食べるか?

はじめに

みなさん、こんにちは!
東京・渋谷でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。

食事を摂るときに、何が健康か?で見ていくと思うが・・・

食事を摂る時、大抵の人は、
1)摂取するカロリーを減らせば、体重が減り、健康になれる
2)どのような食事を摂るかが重要(例、高脂肪・高糖質の食事を摂る方が、炭水化物、糖質、蛋白質、脂質のバランスの良い食事よりも肥満や糖尿病を発症しやすい)
を考えているのではないでしょうか?

いずれにせよ、これらは
「〇〇を食べない、〇〇を食べましょう!」
という考え方だ。

現在、ヴィーガン、マクロビ、パレオ、ローフード、地中海式、糖質制限等、さまざまな食事方法が提案されているが、科学的にどれが優れているのか?証明されていない。しかも、バランスの良い食事を摂りましょう、とよく言われるが・・・。実は、アスリート、妊娠中の女性、10代、ボディビルダー、糖尿病患者等、それぞれに合った食事の「バランス」って何か?という視点で見ていく必要がある。

それよりも、もっと大事なことがある。

食事を摂るときのタイミングが重要〜体内時計と内臓

最近の科学では、何を食べるかよりも、いつ食べるのか?に注目が集まっている。人間には、体内時計があり(2017年のノーベル賞は「体内時計の遺伝子の発見」に与えられた)、そのリズムに沿って、消化・吸収が行われていること。そのリズムが崩れると、糖尿病、心臓病、体重増、うつ、体内炎症をはじめ、さまざまな疾患や症状と関係が深いこともわかってきたのだ。

食事と体内時計について、長年、この研究を行っているソーク研究所のSachin Panda博士は「The Circadian Code」(未邦訳)に最新の成果を紹介している。

Panda博士が、この課題に取り組むきっかけとなったのは、2002年に行ったマウスの実験だったそうだ。
マウスを
1)高脂肪の食事を無制限に与える群
2)高脂肪の食事を8時間の時間限定で与える群
の2つに分けて飼育した。

結果的に、1)と2)の2つの群は、同じカロリーを摂取することになった(実験として成立)。面白いのは、12週間後、同じ食事内容だったにもかかわらず、8時間の時間制限群では、体重が正常、血糖値が正常範囲内、コレステロールが正常値だったのに対して、無制限はいずれも3つの指標で体重増、高血糖値、コレステロール値の増加が認められたという。

人でも同じような報告があり、このような「ある一定の時間内で食事を終える方法」のことをTRE(Time Restricted Eating、食事を摂るタイミングを制限した方法)と呼ぶ。興味深いことに、1日、8、9、10、12時間以内で食事をとった場合は健康だが、15時間以上だと、健康を害する可能性が高まるという。大事なのは、水以外の食を一番最初に食べてから、最後の食を取るまでの時間を決めて、それに従って食事を摂ることだ。例えば、午前8時に食事を摂りはじめたら、午後8時に食事を終えることになる。

食事を摂るタイミングを12時間以内に制限する意味

なぜ、TREは有効なのか?

人間の脳にある体内時計は日光を浴びることで、朝だと認識する。具体的に書くと、目の網膜には、日光のブルーライトを認識する「メラノプシン」があり、それが脳の視交叉上核へ伝えることで、体内全体に「目覚めよ!」というシグナルを送る。一方で、腸、肝臓、心臓、腎臓は、日光に反応するのではなく、食事がいつ体内に入ってくるか?によって反応することだ。

一番最初に食事が入ってくると、消化に必要な内臓のスイッチがONになり、消化・吸収活動が行われる。ポイントは一定のリズムでこれが行われていることだ。もし、毎回違ったタイミングや夜遅く食事をとってしまうと、体内時計が崩れる。例えば、夜になると腸の動きが遅くなってしまう中、食事を摂ると、体内の消化・吸収の動きが遅くなり、場合によっては反対に動くこともあり、胃の問題が起きることもあるという。

Panda博士の調査では、10人の症例に対して、12時間のTREを行ったところ、4ヶ月以内に4%の体重が減少したとのことだ。さらに、8〜11時間以内にTREを抑えることが最も健康に利するという結果を報告している。というのも、人間の体脂肪は、食事をとってから6〜8時間後に、燃焼を始め、12時間までに加速的に燃焼が増加しているらしいのだ。

Panda博士は具体的な食事を摂るタイミングを著書で紹介。インスリン分泌は、起床時の前半の方が良いため、朝食はできるだけ早くとった方が良く、就寝の2〜3時間前に夕食を済ませることが理想とのこと。特に、最後の数時間以内に夕食を終えることは重要。なぜならば、内臓は就寝に向けて働きを弱め、休憩と修復モードに入っていくので、深夜に食事を取り入れると、そのプロセスを妨げ、睡眠に影響を与えるからだ。これをPanda博士は、体内時計の「時差ボケ」と表現している。

要は、食事は、何を摂るか、よりもどのタイミングで摂るか?に注目する必要があるということだ。ぜひ、TREについて気になる方がいらしたら、自分の食事の摂った時間を記録してみると良いと思う。意外と、12時間ではなく、15時間摂っている人が多いことがわかる。

どのように考え、実践していくのか?

食事や栄養って、何を摂るかだけではなく、どのタイミングで摂るのか?も大事。

私が提供している「栄養&マインド基礎講座」では、このように原理原則を伝えた上で、「一人一人の人間は体質が違う」からこそ「一人一人に合った治療法がある」があることが理解できるようになっており、自分なりの答えを出すにはどうしたらいいのか?一人一人の体質に合わせた、食事や栄養、身体を見極める力を養うことを目的にしている。

ぜひご興味のある方は「【栄養&マインド基礎講座】〜基礎コース、実践コース」に詳細を書いたので、チェックいただければと思う。

まとめ

今回は、食事について、何を食べるか?よりもどのタイミングで食べたら良いのか?というテーマでまとめさせていただいた。
この投稿が皆さんの健康に役立つことを願っています。

関連記事

【E#155】開業2周年を迎えて(3)〜同じ価値観の人と...

【W#45】ミュンヘン(8)〜ドイツの車事情

【E#52】Financial Collegeの体験会へ...

【N#47】「消化・吸収について」(5回目)〜食事からど...

【B#128】第47回・読書会の開催の報告〜竹倉史人著「...

【B#98】第16回・読書会の開催の報告〜中村天風さんの...