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【N#153】老化はどのように進むか?〜内臓脂肪+増やさないためにできること

はじめに

こんにちは!東京・渋谷でロルフィング・セッションを提供し、脳科学を活用して健康寿命を延ばす方法を発信中の大塚英文です。

人生100年時代を迎え、定年も延びそうな時代。どのようにして、若さ、健康を保ちつつ、「健康寿命」を延ばして行くのか?海外を中心に話題になっており、「長寿(Longevity)」は一つのキーワードになっている。

前回、「老化」は、どのように進行するのか?老化と内臓(筋肉、心臓、腎臓)との関係についてまとめた。今回は、食生活によって蓄積する内臓脂肪と、内臓脂肪が身体に与える影響についてまとめたい。

まずは炭水化物と内臓脂肪は密接な関係にあるので、炭水化物から語りたい。

炭水化物と体脂肪との深い関係〜グリコーゲンと体脂肪

炭水化物とは、炭素(C)と水(H2O、水素と酸素)からなる化合物のこと。穀類(ご飯、パン)、スパゲッティ、うどん、そば、さつまいも、じゃがいも、果物等に含まれている。

実は、炭水化物を摂り過ぎると、脂肪という形で人間の体内に残るのだ。

通常炭水化物を取り入れると、身体のエネルギーとして2種類の形で蓄えられる。一つは、グリコーゲンで筋肉(骨格筋)に75%、肝臓に25%に振り分けられる。グリコーゲンは、水に溶けることから、必ず水と一緒に保管される。例えば、1gのグリコーゲンに対し、2.6-2.7gの水が貯蔵される。水は重いため、グリコーゲンは、最終的に1,600kcalのエネルギー分以上は保管できない。

そこで、人間はもう一つのエネルギーの保管の方法を生み出した。脂肪という形だ。炭水化物自体、脂肪になるのだ。脂肪には、皮下脂肪(subcutaneous fat)と内臓脂肪(visceral fat)の2種類がある。脂肪は軽い、水に溶けないため、無限に保管できるのだ。実際、最大で90,000kcalのエネルギー分(ほぼ無限)を保管することができるのだ。

「内臓脂肪」とインスリン抵抗性、脂肪肝、糖尿病との深い関係

皮下脂肪という形で脂肪が保管されている場合は、安全。そうはいうものの、現代は過食の時代。皮下脂肪のキャパを超える形で脂肪が体内に入ってくる。その場合は、筋肉、肝臓を含め、様々な内臓に脂肪が蓄えられる「内臓脂肪」という形になる。この内臓脂肪は大きな問題になっており、慢性炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)を分泌し、様々な疾患の温床につながる。

Peter AttiaのThe Drive(ポッドキャスト)でGerald Shulman博士との対談で初めて知ったことだが、人間は、筋肉から内臓脂肪が蓄積するところからスタート。内臓脂肪が筋肉に蓄積すると、血糖値を下げるホルモンである「インスリン」の効果が発揮できにくくなる(インスリン抵抗性と呼ぶ)。「インスリン」の効果を発揮するため、更にこのホルモンの分泌量を増やすらしいのだ。

何と、内臓脂肪を増やすホルモンとして一番最強なのがインスリン。次いで、ステロイドホルモンとして知られてる「コルチゾール」、女性ホルモンの「エストロゲン」、男性ホルモンのテストステロン等がある。余談だが、アトピー性皮膚炎に使われている外用ステロイドは、コルチゾールに似た作用を示すので、ステロイドを長年使っていると、体内に「内臓脂肪」を増やしてしまう。

インスリンの分泌量が増えると、筋肉の内臓脂肪が増加に伴い、肝臓の内臓脂肪が増えてくる。肝臓内の内臓脂肪が3割程度になると脂肪肝と呼ばれ、肝障害、肝炎へと進む。驚くべきことに、近年アルコールを飲んでいないのに、肝障害(非アルコール性肝障害(NAFLD)と呼ぶ)や肝炎(非アルコール性肝炎(NASH))が報告されていることだ。

インスリン抵抗性(インスリンの分泌量の増加)、NAFLD/NASHは、糖尿病へと進み、心疾患、がん、アルツハイマーへのリスクが高まっていくのだ。

「内臓脂肪」はどのように測定するか?

さて、問題が多い「内臓脂肪」をどう測定するのか?

簡易な体組成計でも調べることができる。この原理は、生体電気インピーダンス(BIA=Bioelectrical Impedance Analysis)法と呼ばれ、からだに微弱な電流を流し、電気の流れやすさ(電気抵抗値)を計測することで体組成を推定する。というのは、脂肪はほとんど電気を流さないが、筋肉などの電解質を多く含む組織は電気を流しやすいからだ。簡易な体組成計により、内臓脂肪も推定できる。

一方で、医療機関で、DEXA(Dual Energy X-Ray Absorptiometry、二重エネルギーX線吸収測定法)を使うと、骨密度、筋肉量を含め、正確に測定することができる。もしご興味がありましたら、ぜひ医療機関に問い合わせください。

最後に、脂肪肝の場合は、エコー検査で調べることが可能だ。

内臓脂肪対策〜血糖値を調べる〜持続血糖測定装置の活用

先述のように、炭水化物の取りすぎは、体内の内臓脂肪を増加する原因となる。基本、炭水化物を取ると、血糖値が上がり、インスリン分泌が上がり、血糖値を下げる。興味深いことに、炭水化物の消化・吸収は一人一人違う。そこで血糖値の変動(インスリンの分泌の変動)をどう抑えるかが大切になる。それを簡単なデバイスで調べることができる。それこそが、持続血糖測定装置(CGM)だ。

Abbott FreeStyle Libre フリースタイルリブレ センサー リーダー 血糖値測定器」として販売されているが、もしご興味のある方は、ぜひ後もチェックいただきたい。人によって血糖値の変動が異なることが理解できると思う。

まとめ

今回は、炭水化物と体脂肪(皮下脂肪、内臓脂肪)との深い関係、特に、内臓脂肪によって、体内に何が起きるのか?を中心に紹介した。少しでもこの投稿が役立つことを願っています。

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