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【N#102】人間と物質との関係〜物質自体が依存症を起こすのではない・・・

はじめに

みなさん、こんにちは!
東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。

物質と依存症について〜自己責任なのか?

拒食症、過食症(食事)、アルコール依存症(お酒)、薬物依存症(薬、麻薬、覚醒剤)、買い物依存症(商品)、ギャンブル依存症(パチンコを含めたギャンブル全般、お金)、スイーツ(砂糖、果糖)への依存等、ある特定の物質に依存することが、心理的に問題だということがマスコミやテレビで話題になることが多い。

一方で、
「本当に「物質」(例えば麻薬)自体が依存症を起こすのか?」
について、義務教育レベルで教えられることがないので、

単に、何かに依存することは、悪で、手出した人が悪い、自己責任だと問われることが多い。

本当にそうなのか?

米国の歴史は、麻薬との戦い

ヨハン・ハリ著の「麻薬と人間:100年の物語(Chasing the Scream: The Search for the Truth About Addiction)」には、アメリカを中心に、どのように麻薬と戦ってきたのか?

映画「アンタッチャブル」の主役アル・カポネの禁酒法(その後合法化)から、40年代の大麻、60年代のLSDがそれぞれ禁止される時代まで。

規制する当局、麻薬の販売に関わっているギャング組織、麻薬はそれ自体、一度手を出したら、必ず依存症になるのか?という科学的な視点を交えながら、語られており、この手の本の中では、非常に解りやすい部類に入ると思う。
今回は、この本をベースに、明らかになっていることをシェアしたい。

参考に、大麻が非合法化した背景については「ヘンプとカンナビスの歴史〜米国でなぜ禁止されたのか?そして、医療的に効果があるのか?どのようにわかったのか?」に詳しく書いた。

ヨハンさんの本に沿って、科学的に何がわかっているのか?考えてみたい。

物質が原因ではない〜ではなに?

ベトナム戦争の時に、米兵との間でヘロイン依存症が話題になった。
何と、20%の兵士がヘロイン依存症になったという。これは、アメリカのヘロイン依存症患者以上にも及ぶ。

実は、大麻を摂取することに関して、厳しい規制と監視(麻薬検査犬)を置き、戦場という極限の環境に置かれたということと、ヘロインの使用は麻薬検査犬の監視下をくくり抜けることができることが影響したのではないかと言われている。

アメリカに米兵が帰還後、どうなったのか?意外と知られていない。

実は、ヘロイン依存症の95%は、ヘロインを完全にやめ、残りの5%が依存症を抱えたのだ。5%は、小児期に問題のある家庭にいたか、それともベトナムに行く前から既に依存症を抱えていたか、という背景だったらしい。

ラットの実験で、一度ヘロインを摂取したら、脳がハイジャックされ、ずっと依存すると・・・1980年代、アメリカの広告で盛んに宣伝されていた。

この実験に対して、Bruce Alexanderは、実験条件を調べたところ、この実験は何もない、孤立した一匹のラットがいた条件で行われていた。

疑問に思ったBruceは、ラットを2つのグループに分けた。
1つ目は、同じように孤立した条件(一匹)を飼育
2つ目は、楽園になるような条件(木の壁に囲まれた部屋、回し車、色のついたボール、贅沢な食事、異性が同居)を飼育
2つのボトルを用意。一つは水、もう一つは、モルヒネ(ヘロインと同じような作用を持つ)。

毎日、ボトルの重さを測定していったが、孤立した条件では、25mgのモルヒネを使ったのに対して、楽園の条件では、モルヒネがほとんど使われていない(5mg以下)。

Bruceは、
安全で、幸福な環境、人々との絆がうまくいっており、やりたいと思うことをやっている場合には、依存症に対して抵抗力があるが、孤立している、無力で、目的を失った状態になると、依存症を引き起こしやすい。

つまり
依存症を引き起こしたのは、物質ではなく、置かれている環境によって決まる
ことが多いのだ。

社会との繋がり(関係性)が大事

身体の「姿勢」〜いい・悪いより、何を知覚するかが大事」に書いたように、人間は、部分を足していくと全体になるのではなく、部分自体が全体になる。このことから分析的な目だけではなく、直感を含めた全体的、知覚的な見方が必要だと思う。

実際、麻薬や食事、栄養を含め
「一人一人には、健康に良いものがあり、解剖学や生理学によって細かく見ていけば、自分で答えが見つかるものだ!」
科学的には、このように解明していく。

しかしながら、
人間は、環境(人間関係、社会的地位、住んでいる場所、外傷、受けた教育)
によって大きく影響を受ける。

特に、人々とのつながりはすごく大事。
ヘロイン依存症の箇所で書いたように「繋がり」が、依存症を予防する可能性が高いことが知られるようになったからだ。

今回はこの点に関してまとめさせていただいた。

少しでもこの投稿が役立つことを願っています。

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