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【N#20】なぜ、今分子栄養学が話題になっているのか?体質の違い、遺伝学

ゴールデンウィーク期間中に「オーソモレキュラー栄養学」「分子栄養学」の本を読む機会に恵まれ、「オーソモレキュラー・分子栄養学〜古典的な栄養学と現代の栄養学はどう違うのか?」で、その内容についてまとめた。

実は、アメリカのオーソモレキュラーの伝統は、エイブラム・ホッファーと一緒に一般書を出版したアンドリュー・W・サウル(Andrew W. Saul)博士に受け継がれ、Andrew W. Saulの活動は映画「That Vitamin Movie」(2016年公開)で学ぶことができる。

インターネットサイトから、全1時間半の最初の30分をチエックできるので、もし興味がありましたら、ぜひ下記のサイトからご確認ください。

ビタミン・ミネラルなどのサプリが、処方薬に比べ、安全性が担保されていること。病院は1日に誤診が1件あること。毎年、アメリカでは、処方薬された薬を適切に使用しても8万人が死亡する情報や、サプリでなくなった人は報告されていない事例等が取り上げられていて、製薬会社への影響力が強まっている現状について伝えている。
残念ながら日本語字幕は用意されていないが、映画やボーナス映像として、ホッファーやポーリングを含めたオーソモレキュラーの歴史を知ることができるので、英語の理解できる方はオススメだ。

さて、今回は、アメリカのオーソモレキュラーとは別の流れで発展した、三石巌先生の「分子栄養学の考え方」について紹介したい。
三石先生は、様々な本が出版(文庫本が中心)されているが、阿部出版の「健康自主管理システム」の5冊と「健康基本知識シリーズ」の3冊を読むと、おおよその考え方を理解できる。

中でも、「分子栄養学のすすめ〜健康自主管理の基礎知識」は、三石巌先生の原理・原則が中心になっていて、興味深い。

古典的な栄養学は、カロリーや基礎代謝がベース。
基礎代謝は、生命活動を維持するために必要なエネルギーを指す。
巷では、
「基礎代謝を上回るカロリーをとると、人は太り、下回ると人は痩せる」
と言われているが、
「基礎代謝はどのように計算されるのか?」
三石先生の本では、
計算式は、経験値から決まっており、体重、身長、年齢によって算出することができることを紹介。

身体の大きさや年齢などの経験値に基づいて計算される為、
「食物がどのように消化・吸収が行われているのか?」
「具体的には、細胞や内臓の働き等、身体内で何が起きているのか?」
それぞれ一人一人、違いがあり、体質・個性があるというポイントが抜けている。

そこで、アップデートが必要になると、三石先生はいう。
では、そのアップデートは何に基づいて行ったらいいのか?
三石先生の答えは「分子生物学」。
「生化学」は、物理学や化学を使って、食物がどのように消化・吸収され、人間の身体の中で栄養素がどのように使われているのか?明らかにしてきた。
しかし、
なぜ、個々で違う症状が出るのか?
食事によってある人は、アレルギー性皮膚炎の症状が出て、ある人は花粉症が出るのか?
それは、環境もあるが、一人一人、親から受けた遺伝的な影響を受けている可能性がある。
遺伝的な影響は「遺伝学」の知識が必要となる。

「生化学」と「遺伝学」という一見関係なさそうな2つの分野が一緒になった「分子生物学」の学問が発達すること
によって個々の違い・体質の違いがわかってきた。
分子生物学の誕生は、50年代。
遺伝子の本体がDNAであることが明らかとなり、ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリークがDNAの二重螺旋構造を解明された。
遺伝学は、物理学や化学によって語ることができるようなった。
その後、DNAの研究が、生命活動に重要な役割を果たす蛋白質は、DNAの設計図に基づいて作られることがわかってきた。

人間の細胞には細胞核があり、その中に細胞に必要な情報(遺伝情報、DNA)が入っている。
必要とする情報をRNA分子が転写(Transcription)し、細胞核の外で、リボソームを使って蛋白質に翻訳(Translation)する。
最終的に小胞体という器官で蛋白質が加工(翻訳後修飾と呼ぶ)され、細胞に必要な働きをするようになる。
このように
DNA→RNA→蛋白質
の情報伝達が行われている(セントラル・ドグマと呼ばれている)。
結局、個々の違いを担っているのが、蛋白質ということになる。
実際、人体の構成成分は、水60%、蛋白質16%、脂質15%、炭水化物2%と三大栄養素の中で蛋白質が一番多い。
DNAは一人一人、微妙に違う。結果として、蛋白質の構造の違いが一人一人出てくる。それによって個性が出てくる。
次回、どのような検査があるのか?を含め紹介したい。

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