【N#188】視覚思考と言語思考の違い〜枠組み、思い込みとの関係
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はじめに
東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。
ロルフィング・セッションでは、ボディワークのセッション以外に脳科学に基づいたコーチングも合わせて提供している。身体(ボディ)と心(脳、思い込み)は繋がっており、お互いに影響を及ぼし合っているためだ。
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私のセッションでは、コンフォートゾーンの考え方に注目。どのようにして安心で、安全な環境を整えるのか?それがどのようにして信頼関係を築きやすくなるのか?。結果として、自分の内面(心、思い込み)に気づけるようになること等、以前のブログで紹介した。
言語思考と視覚思考〜それぞれの違い
安心・安全な環境が整うと「思い込み」の深掘りが可能だ。
私が「思い込み」の中で注目しているのが、思考のパターン。具体的には、言語思考(Verbal Thinker)なのか?それとも、視覚思考(Visual Thinker)なのか?だ。
私は、物体的な視覚思考者。イメージして説明することができるが、具体的な体験に基づいていないと、説明できない。抽象的な言語、数学の公式を暗記するのが苦手。事前に言語化していないと、うまく説明できない、といった特徴を持っている。
一方で、大学院時代、教授が言語思考者。抽象的な言語で、論理の穴を徹底的に突っついてくるので、私自身、イメージできないものを言語化するのに苦労した経験がある。20代で、価値観の異なる考え方、思考パターンに出会ったおかげで、人間観察に活きている。
今回はこの二つの思考の違いについて考えてみたい。
この思考の違いを考える際、自閉症患者であり、動物の研究者でもあるテンプル・グランディンの『ビジュアル・シンカーの脳〜「絵」で考える人々の世界』(原題: Visual Thinking: The Hidden Gifts of People Who Think in Pictures, Patterns, and Abstractions) が、参考になる。ご興味のある方は手に取っていただきたい。
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言語思考はどんな人か?
言語思考者は、物事を「言葉や文章」として捉え、それに基づいて論理的に考えるタイプ。例えば、頭の中で「もしこれをしたら、次に何が起こるだろう?」といった具合に、言語を使って論理的な順序を辿りながら考えることができる。
言語思考者は、概念や理論を言語化して整理し、それを論理的に分析することができる抽象的な学問(哲学、教育、研究)や戦略的思考(コンサル、軍事)を必要とする分野で役立てることができる。学校の試験は「言語」を扱う能力を測るので、優秀な成績を治めやすい。
一方で、、視覚的な情報や空間的な関係をイメージするのが難しいこと、デザインやアートのような、自由な発想を必要とする分野が苦手な傾向がある。
視覚思考者はどんな人か?
視覚思考者は、物事を「画像」や「映像」として捉え、頭の中でビジュアル的に考えるタイプ。抽象的な概念より、具体的な物、現実に存在するものを視覚化するのが得意。更に、色、形、配置など、視覚的な詳細を正確に記憶し、再現できる。視覚思考者の中には、画像を記憶するといった能力の持ち主もいる。
視覚思考者は、創造性や直感的な問題解決に優れ、実際に存在する物体やシステムの設計・改善に大きな力を発揮する。例えというならば、エンジニア、建築家、デザイナー、アーティスト等。
一方で、抽象的な思考や概念的な問題、例えば、数学の公式や言語的な定義を覚えるのが苦手だ。
視覚思考を更に細分化すると、「物体的(Object Visualizer)」と「空間的(Spatial Visualizer)」に特化した思考の違いがある。
物体的な視覚思考者(Object Visualizer)
物体的な視覚思考者は、具体的な物や形をイメージするのが得意。頭の中で、詳細なイメージを思い描き、問題解決へと繋げる。例えば、機械や建物の設計図、手作業などの具体的な物理的問題等だ。例えば、エンジニア、建築家、アーティスト、クラフト職人等。抽象的な概念や数学的な思考に弱く、数学の代数が苦手だ。
空間的な視覚思考者(Object Visualizer)
空間的な視覚思考者は、パターンや空間構造を捉えるのが得意。機械やシステム全体の動きを理解する能力が高く、データ解析、数学的モデリング、プログラミング等が得意。例えば、科学者、数学者、統計学者等。現実的で具体的な物体の細部を視覚するのが苦手で、抽象的な形、パターンの思考に偏る傾向がある。
表にまとめると以下のようになる。
視覚思考者のタイプ | 物体的 (Object Visualizer) | 空間的 (Spatial Visualizer) |
---|---|---|
特徴 | 具体的な物体やイメージを描く | パターンや空間的構造を認識する |
長所 | デザイン、建築、機械設計、芸術 | 数学的モデリング、プログラミング、データ解析 |
情報の処理の仕方 | 具体的、詳細な画像で情報処理 | 抽象的で全体的な視点で情報処理 |
短所 | 抽象的な思考や代数が苦手 | 細部をイメージするのが苦手 |
言語思考者と視覚思考者の違いをまとめると
参考に、言語思考者と視覚思考者の違いをまとめると、以下のようになる。
思考者の違い | 視覚思考者 (Visual Thinker) | 言語思考者 (Verbal Thinker) |
---|---|---|
特徴(思考の方法) | イメージや映像を使用 | 言葉や論理を使用 |
長所 | デザイン、エンジニアリング、アート | 文学、哲学、法律、教育 |
情報の処理の仕方 | 具体的な情報を視覚的に捉える | 抽象的な概念を言葉で捉える |
短所 | 抽象的な理論や記号の理解が苦手 | 視覚的な情報の理解が苦手 |
まとめ
今回は、言語思考者と視覚思考者の違いを中心にまとめさせていただいた。思考パターンは世界を認識する上で重要。トラウマや思い込みを抱えている場合には、どのように世界を捉えているのか?それに合わせた言語を使うことで、糸口を見つけられる可能性が高まる。
言語思考者と視覚思考者の違いを否定的に捉えることもできるが、リスペクトすることもできる。お互いに強みを活かすことが重要なのではないかと思う。
この投稿が皆さんにとって、役立つことを願っています!