【SE#3】初級・前半(3)〜身体の動きとトラウマ〜ロルフィングとSEではどのように捉えているのか?
こんにちは!東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。
2021年3月27日(土)に、ソマティック・エクスピリエンス(SE)の初級・前半の6日間のトレーニングが再開。5日目と6日目を受講。3月28日(日)に無事終えた。
初級の前半は、2021年2月26日(金)〜3月1日(月)の4日間と、3月27日、28日の2日間の合計6日間に及ぶ。後半は10月下旬と11月下旬に学ぶ予定だ。
SEは、
「動物ではなぜ、トラウマが起こらないのか?」
から生まれた考え方だ。
動物は敵に遭遇するときに、闘う(Fight)又は逃走(flight)の2つの手段を取るが、その2つを取ることができない場合に、凍りつく(Freeze)という第三の手段の方法をとることが知られている。動物は、エネルギーを放出させる方法を持っているので、トラウマにならないと考えられている。
ここで「トラウマ」の意味は、心的外傷によって長い間それに囚われた状態、又は心理的に否定的な影響を持っていないこと。
普通、トラウマは「それが何によって引き起こされたか」を探ることに焦点を当てがちだが。
SEが面白いところは、
原因となる事件が問題ではなく、
結果として起きた
身体内のショックのエネルギーが中途半端な形で身体内に残ってしまうこと引き起こされる
と考えている点。
コーチングやカウンセリングの場合には、
「どのようにしてトラウマになったのか?」
具体的な話を聞いて解決していくと思うが、
SEの場合には、
「どのような身体症状が出たのか?」
自律神経系の変化から見ていくことで、解決していく。
そこが、すごく面白い。
最終的に、動物と似たように、エネルギーを全て放出するといったプロセスを経ることで初めてトラウマが完治することを、Peter Levineは臨床的に示し、SEとして体系化した。
トラウマの解決は、その人の身体内で未完了だったプロセスを完了させるところがポイントで、そこがSEの醍醐味だと思う。
初級では、どのようにして動物で観察されたことを人間に当てはめていくのか?12日間かけて学んでいく。
ロルフィングのバックグラウンドを持つPeter Levineが体系化しただけあって、ロルフィングとSEには共通点を感じるので、今回はそのことについて書きたい。
地球に住んでいる限り、人間には、必ず「重力」が働いている。
ロルフィングは、
「身体のどこに「重さ」を感じるのか?」
に注目。
「「重力」との関係が整っていると、姿勢が整う」
という考えで、施術を行う。
例えば、歩いているときは、
「下半身が地面をしっかりと受け止めた(重力とともに着地した状態の)上で、上半身の動きが自由になること」
が整っている動きであり、
下半身は重力を感じる(下向き=グラウンディング=地に足をつける)、上半身はそれを土台に背筋が伸び、自由に動く(上向き)という。「下向き」と「上向き」の2つの方向性があると、最も自然な動きができると考える。
椅子に座る際も、足が地に着き、椅子で坐骨を支え(足と坐骨が下向き)、坐骨をベースに上半身を上に伸ばす意識(上半身が上向き)を持つと、もっとも適した動きになる。
セッションを提供していて感じることは、
1)「地に足につける」のが得意な人=Ground Oriented
2)「上半身を動かす」のが得意な人=Space Oriented
のどちらかに当てはまる確率が高い。
例えば、
「あ、あの人は、地に足についてない。ふわっとしている」
「地に足についているのはわかるが、行動していないのでは」
という言葉は聞いたことがあると思う。
ロルフィングでは、「Oriented」「Orientation」
という言葉を使うが、
「どこを起点して身体を動かすのか?」
という意味で使われる。
興味深いのは、
Orientationは、以下の4つの状態によって影響を受ける。
1)Physical(身体にどのように変化しているのか?)
2)Coordination(身体がどのようにして共同で動くか?)、
3)Perception(世の中をどのようにみるのか?)
4)Meaning(どのように世の中に対して意味付けを行うのか?)
ロルフィングでは、筋膜、内臓や筋骨格系へアプローチし、1)と2)を整えていく。
結果的に3)と4)に影響を及ぼすことができると考えているので、3)と4)について深く学ぶことがない。
今回、SEのトレーニングで一番学んだことは、
3)と4)を
「人間のトラウマが起きたときに、身体がどのように変化するのか?」
をじっくりと見ていくことだった。
初級6日間で面白かったのは、
「世の中をどのようにみるのか?」
のワーク。
2人1組で、ガイド役とクライアント役に分かれてワーク。
6〜7メートルのリボンやロープを使って、自分の境界線を設定する。
境界線の中に入って、身体がどのように感じるのか?を言葉にしていく。
私自身、このワークをしたとき、最初ドキドキ感と緊張感が走り、しばらく落ち着かなかった。
斜め45度の左側に脅威を感じ、そこに目を向けられないと言ったこともあった。
ガイド役から、足裏を感じて、と言われて、少しずつ落ち着きを取り戻していった。
ぬいぐるみをイメージして、近づけるとどうかへと進んでいたが、4メートルよりも近いと、身体が反応して、胸あたりが緊張している感じがした。
面白いのは、境界線の中の状態を味わっていき、背中周辺に強く意識をしていくと、ぬいぐるみを近づけていっても、身体の反応の緊張感がなくなっていくことだ。
「ぬいぐるみ」という比較的脅威ではないものをイメージしただけで、身体内でこのような変化が起きていることは、普段、周囲を見渡ている時に、どれほど影響を受けているか?このワークを通じて、理解が深まった。
参考に、
私は、
1)左45度以上、左を回す
2)目線の真ん中よりも目や頭を上に向ける
と視界が狭まり、筋肉に力が入った状態になり、世界が小さくなるような感覚がある。
人それぞれだと思うが、視野が狭まっているのは、過去に、トラウマ(怒られた経験、交通事故、怪我)によって起きている可能性がある。
SEでも「周囲を見渡すこと」を「Orientation」という言葉を使うが、
「世の中をどのようにみるのか?」
「どのように世の中に対して意味付けを行うのか?」
が身体の症状として、現れるのが興味深い。
トラウマを抱えている人は、自分と環境との「境界」が崩れていて、そこから作っていくことが大事だと学ぶが、多かれ少なかれ、誰もが思っているものなのでしょう。
少しでも「境界」が乱されると、自律神経の活性化が見られる。
今後とも、自律神経系を活性化しすぎないように、「ゆっくり」「少しずつ」介入していくことを心がけていきたい。
初級の6日間は、SEで使われる基本的な用語を学んでいったが、ロルフィングの基礎トレーニングで抜けているトラウマの視点がしっかりと入っていて、学びが深まっている。
次の10月末までに、何度か、SEの個人セッションを受ける予定にしている。
どのような学びになるのか?
そしてトラウマを抱えたことによって発症したアレルギーの症状が軽減に向かうのか?注目しつつ、見ていきたい。
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SEのトレーニングについての過去の記事は下記をご参照ください
「興味を持った理由・ロルフィングのトレーニング、トラウマ体験やアレルギー症状について」(1回目)
「SEとロルフィング・トレーニングの違い、どのような環境で学んでいるのか?」(2回目)