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【B#41】「禅ー心をかたちにー」を訪れて〜日本と米国の仏教について

現在、東京国立博物館の平成館で「禅ー心のかたちにー(The Art of ZEN: From Mind to Form)」が開催されている(2016年10月18日〜2016年11月27日)。
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先祖の宗派が仏教の禅宗・曹洞宗というルーツから以前より禅への興味があり、時々こういった展示を訪れる。
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本展示で、禅宗の歴史、特に臨済宗の歴史を臨済宗由来のお寺での名宝や白隠の達磨図、豊臣秀吉像、仏教書を中国の歴史と日本の鎌倉時代〜江戸時代にかけて紹介されており、内容も多岐にわたっている。禅と茶道との結びつきも強く、後半では器の展示などもあり、非常に興味深い展示となった。
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しかしながら、欧米でグーグル、マイクロソフトなどで取り入れるようなってきているマインドフルネス・瞑想についての深堀りがあまりなかったことが少し気になった。
そこで、書物で知った禅・仏教と米国を中心とした歴史と現在について取り上げたい。
ケネス・タナカ著「アメリカ仏教:仏教も変わる。アメリカも変わる」に米国の仏教の現状と、
「なぜ、禅が米国で受け入れられているようになったのか?」
について書かれている。
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「アメリカ仏教」によると、米国の仏教徒は300万人(人口の比率で1%近く、参考にヨーロッパ人の仏教徒は100万人)。
興味深いのは、
「仏教にならんかの重要な影響を受けた」
まで広げてみると2500万人に上るという。
年代別にみると、1970年代までのアメリカの仏教徒の数が20万人、1990年代が188万人と伸びが約10倍。その後の10年間で約50%に増えた。
「なぜ、仏教はアメリカで普及しているのか?その仏教の特徴は何か?」
鈴木大拙氏と鈴木俊隆氏の両老師を含めた日本の仏教徒が米国に渡り、英語で書物を出版することで普及活動に従事する。
そして、第二次大戦後に転機が訪れる。
仏教教団の第一言語として日本語ではなく英語を使うこと、戦前まで大きな権威と影響力を持っていた僧侶にたいして、在家信徒の力が強化されることで、普及が進んだという。
アジアの仏教とは違い、宗派内の平等化、メディテーションが中心であること、宗派にこだわりを持たず多様なものを受けいれること、個性化が進んでいること、同性愛者を受け入れる土壌があること、政治への積極的な参加が挙げられている。
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「禅ー心のかたちにー(The Art of ZEN: From Mind to Form)」の展示に合わせて発売された「美術手帖(2016年11月号)「ZEN〜更新を続ける21世紀の禅」 」には、1950年代以降、ビートやヒッピーの若者がこぞってサンフランシスコの曹洞宗・桑山寺(そうこうじ)に集まってきて、住職だった鈴木俊隆氏がそういった若者を対象に、禅と座禅を教えられるようなサンフランシスコ禅センターを開設。
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鈴木俊隆老師の考えは「禅マインド・ビギナーズ・マインド」を読んでいただくとして(座禅や禅の考え方について非常にわかりやすくまとまっている)、現在のサンフランシスコ禅センター代表のスーザン・コーネル氏によると、同センターで育成した指導者は167名、修行者は61名。人種、国籍、階級、ジェンダー、性的指向、年齢、身体能力を問われることなく、誰もが歓迎されるという。現在、アジア以外では最大の修行施設(僧伽)になっているのみならず、世界とのネットワーク作りにも貢献している。
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ヒッピーからITへの流れも出てくる。80年代にはスティーブ・ジョブスがNeXTに宗教指導者を招いたり、2000年以降は、マインドフルネスが医療現場で導入されるようになる(「マインドフルネス」参照)。その過程で禅は宗教色が排されていく。
美術手帖(2016年11月号)「ZEN〜更新を続ける21世紀の禅」 」によると、西洋の美術の文脈での禅について、
「「ZENアート」は、西洋美術の文脈では、日本の伝統的なミニマリズムと位置付けられる。「簡素」「清貧」「静寂」そして「非対称性」といった性質が必須な属性となり、その結果、白隠や仙厓の作品が「ZENアート」の代表に挙げられる。一方で、代表的な「禅アート」である頂相や、きらびやかな障壁画などは、枠外に置かれる」
のように述べている。
日本と米国の2カ国で修行の経験のある藤田一照・山下良道の両氏によると(「アップデートする仏教」参照)
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米国では、仏教に関する様々なリソースにアクセスと得ることができ、米国の大学でも相当レベルの高い仏教講座を受けることができるという。生活に密着して、今の問題を解決するために仏教というものを見ているので、日本とは違った形の仏教に出会えることができ、それを著者らはアップデートいう形で表現している。
本書には、ボディワークやマンドフルネスに関して興味深いことが書かれているのだが、また別の機会に譲りたい。
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