【W#119】ベルギー(2)〜ゲント
ベルギー滞在2日目(2015年3月21日)、宿泊先のゲントから旅を始めた。ブリュッセル、アントワープに次ぎ第三の都市で、人口は約250,000人。またゲントの人口の15%が学生という学生の街。
到着して翌日に街を歩き始めたが、ベルギー人の友人が勧めてくれたというだけあって、本当に街が美しい。
このような美しいという印象を受けたのは、イタリア のフィレンツェに行った時以来だと思う。ゲントの特徴は、街の真ん中に古城(The Castle of the Counts)があり、それを囲むように中世の建物があるところ。
城の上から見ると、それを実感することができる。
午前10時頃。ゲントの観光をスタートする際に、Tourist InformationでCity Card Gent 48(48時間有効なチケット)を購入するところから始めた。30ユーロで購入することのできるこのチケット。ほとんどの観光名所を無料で見ることができ、ボートツアーへの参加やバス/Tramの乗降も可能だ。またInformation deskでは、簡単な地図とどこを歩けばいいのかという案内もある。
城から始め、街を歩き始め午前11時頃には、ボートツアーに乗り込んだ。中世時代に港として使われ、パリに次いで第2位だった港町からのスタート。
ガイドが1時間近く英語とフランス語を交えながら街の歴史について話してくれた。雑談が非常にうまく、ゲントについていろいろとわかったことがあった。水が汚かったので国民はビールを飲むことを強いられたため、ビール職人が一番裕福だったということ。職人がギルドを作り、それぞれが教会を建立。そのため50以上の教会がゲント市内あること。ビールは150種類以上試飲できること(もっとも高い アルコール度数で12度近く)等だ。
その後、港付近のグラセレリ(Graslei)や聖ミカエル橋(St. Michael’s Bridge)を通じて中世の町の雰囲気をたっぷりと味わった後、現在工事中のシント・バーフ大聖堂(St. Bavo’s Cathedral)へ。
そこでは、ヒューベルトおよびヤン・ファン・エイクによって完成された「ゲントの祭壇画(The Adoration of the Mystic Lamb)」をみることができる。
この絵画について触れる前に、北方ルネサンスの歴史的な背景について少し書きたい。
木村泰司氏の「名画の言い分」によると、イタリアでルネサンスが花開いた15世紀にネーデルランド(現在のベルギーとオランダ)で裕福な商人階級が台頭。その中でも南フランドル地方のブリュージュ、ゲント、ブリュッセルなどの毛織物産業で栄えた都市が集中し、その繁栄を謳歌していた。ブルゴーニュ公国の第3代当主のフィリップ善良公が1419年にブリュッセルに宮廷を移したことから、フランドル地方は、文化としても発展する。その中、ネーデルランドの画家たちが宮廷と裕福な上層市民を相手に活躍する。
ネーデルランドの画家の特徴は、油絵具の使用法が完成させ、写実的な表現が可能となったこと。技法を完成させた人物の一人にヤン・ファン・エイクがいる。この絵画は当初、兄のヒューベルトが製作していたらしいが、彼が途中でなくなったためにヤンが引き継いだ。
作品は1432年に完成。宗教改革の聖像破壊運動のときに破壊されそうになりつつも生き延び、ナポレオンの時代にフランスの手に、そして第二次大戦中にはナチス・ドイツの手に渡ったが、最終的に元の場所に戻ってく る。なお、この絵画の一部(左下部の「正しき裁き人」のパネル)は1934年に盗難に遭遇。今も戻ってきていないらしい。
この絵画には人だかりだったが、名画だけあって、心が動かされる作品だった。キリスト教のことがわからなくても、心が伝わるという絵画の力というのは素晴らしいの一言。貴重な経験をさせていただいたと思う。
午後4時頃には全ての日程を終えたので、Gent St. Pieter駅からBrugge駅へ電車で移動した(6.5ユーロ、移動時間は20分近く)。明日(2015年3月22日)は、ブリュージュを見る予定だ。