【W#19】上海と蘇州(3)〜蘇州観光と中国
上海への旅も3日目(2014年9月7日)。中国型新幹線で蘇州へ移動した。新幹線については「【旅コラムVol.18】上海と蘇州への旅(1)〜wifiと新幹線」で触れた。蘇州への移動は、新幹線で30分前後。蘇州駅へ到着後、中国人の観光会社からの勧誘もあり現地人が申し込むツアーに参加することになった。
120元(約2,000円)でお寺の拝観料、船の乗車券やガイドも含まれ非常に安価。ただし、ガイドは中国語のみ。全く分からない状態だったが、中国語の理解できる日本人が一人同行していたため、なんとかしのぐことが出来た。それにしても現地のツアーは、観光客の中国人が約束の時間に来なかったり、新たなリクエストや無理難題をガイドにしたりと日本では考えられないことが多数あり、驚いた。
なお、本来の観光についてですが、蘇州のお寺、街並みは素晴らしいの一言。
上海と南京との間に蘇州が位置するため、交通の要所として栄えた蘇州は、絹の生産地として知られている。絹の工場も見学することができた。その際には驚く状態に。停電で施設が真っ暗にも関わらずガイドが何と案内し始めて、蚕からどのように絹を手に入れるのか?という手順の説明を始めた。興味深いのは、最終的に工場見学が終わった後の絹の販売エリア。ここでは停電関係なく明かりがついており、しかも休憩時間2時間を取り、なんとか観光客に絹の製品を買わせるという中国の商売魂が見えた。
驚いたのは、上海—蘇州間は30分しか離れていないのに、蘇州語と上海語は全く通じないこと。普通語(マンダリン、北京語)という共通語でもって意思疎通を図ることは聞いていたのだが、この二つの都市をみても中国の多様性を感じさせられる。
橋爪大三郎、大澤真幸、宮台真司の3名の社会学者の鼎談「おどろきの中国」によると、中国というのは国家という概念でとらえるよりもヨーロッパのEUのように捉えた方がいいと。例えば、春秋戦国時代の越、楚、秦は別民族、いうならばEUでいうところのフランス、ドイツ、イタリアみたいなものと考えた方がわかりやすい。
ヨーロッパでは、表音文字(アルファベット)を使うことで各言語を現すことが出来る。ただ、音だけだと意味がわからない。中国はこういった戦略を取らず、絵みたいな文字を創作した。絵は概念をかたどったもの、具体的なものであるから言葉が違っても意味はわかる。そしてこの文字をそれぞれの言語の読み方で読むことにした。これがいわば漢字というものだ。漢字は絵文字かPCのアイコンみたいなもので、それをどう読むかは、各ローカル都市に委ねられている。
このように考えると、漢字がなぜ中国にあるのか?そして様々な方言があるのかも納得させられる。
駆け足で4日間の中国の旅を終えたが、経済大国の側面と歴史的な側面の双方を知ることが出来て時間が長く感じられた。中国と日本の文化の違いやマナーなどいろいろと取り上げたが、日本もそうであったように経済発展とともに変わっていくもの。これからどのように大国中国が変わるのか、注目していきたいと思う。