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AIを使って、自分を知る──「自分データベース」とセルフコーチングの可能性

はじめに──YOTSUYA BOOKSへの2度目の訪問

2026年10月16日、四谷にある書店「YOTSUYA BOOKS」で開催された、AIを使った「自分データベース」と「セルフコーチング」に関するイベントに参加してきた。

YOTSUYA BOOKSを訪れるのは、今年1月17日に開催された松下公子さんと清川永里子さんのトークイベント「『声』と『話し方』で『選ばれる人』&『うまくいく人』」以来、今回で2度目となる。

前回は、声や話し方を通じて、自分の考えや想いをどのように他者に伝えるのかがテーマだった。特に印象に残ったのは、自分の言葉で「なぜ(WHY)」を語ること、そして身体・感情・言葉が一致していることの重要性である。

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今回の参加のきっかけは、最近知り合った永松ゆりさんが、10月21日に『AI「自分データベース」(Gemini Notebookで、知らない自分に出会う/経験を、未来の味方に変える習慣)』(Standards)を出版されることだった。

永松さんには、私が主宰する「よんでるせん・奇跡を呼ぶ読書会」にも参加いただいている。私自身、生成AIの活用には強い関心があり、普段からClaudeやChatGPTを使っていることもあって、今回のお話を聞いてみたいと思った。

会場となったYOTSUYA BOOKSは、出版元のStandardsが運営する書店である。今回も著者から直接話を聞く機会に恵まれた。

イベントは、前半が永松さんによる「自分データベース」、後半が渡辺佑さんによる「AIセルフコーチング」という構成だった。

前回のイベントが、自分の内側にあるものを「どのように他者へ伝えるか」というテーマだったとすれば、今回は、AIを通じて「自分の内側にあるものを、どのように理解するか」というテーマだったように思う。

二つのイベントは異なる内容でありながら、どちらも「自分自身を知る」という点でつながっている。

今回、特に考えさせられたのは、AIによって何が便利になるのかということ以上に、AIとの対話を通じて、人はどこまで自分自身を理解できるのだろうか、という問いだった。

自分の人生は、自分でも十分に読めていない

前半のテーマは、NotebookLMやGeminiを活用した「自分データベース」の構築である。

永松さんが紹介されていたのは、日々の記録や過去に書いた文章、PDFなど、自分が蓄積してきた情報をAIで整理し、自己理解につなげていくという考え方だった。

私たちは日々、さまざまな経験をしている。何かを学び、誰かと出会い、本を読み、そのときに感じたことを文章に残す。しかし、過去に何を考えていたのか、何に関心を持っていたのかを、すべて覚えているわけではない。

当時は何気なく書いた文章にも、今になって振り返ると、自分の価値観や関心の変化を読み取れることがある。

つまり、自分が経験してきたことと、その経験を自分が理解していることは、必ずしも一致しないのである。

過去の記録をAIとの対話に活用することで、自分でも気づいていなかった考え方の傾向や、繰り返し現れるテーマが見えてくるかもしれない。

今回の話を聞いて面白いと感じたのは、AIを単に情報を整理する道具として使うのではなく、自分自身を理解するために使うという発想だった。

NotebookLMとは何か?──永松さんのお話から

今回、永松さんのお話を聞いて、興味を持ったのが、GoogleのNotebookLMである。

NotebookLMは、自分が用意した文章やPDF、ウェブページなどを読み込ませ、その資料をもとにAIと対話できるツールである。自分が登録した情報を中心に回答を生成し、その根拠となった資料も確認できるという特徴がある。

永松さんが紹介されていたのは、このNotebookLMを使って、自分自身の経験や記録を「自分データベース」として蓄積し、自己理解につなげていくという活用方法だった。

私自身、普段からChatGPTやClaudeを活用している。2011年から書き続けてきた約2,000本のブログのうち、約500本については、これらのAIを使って整理し直してきた。特に2026年9月には、ロルフィングのホームページを全面的に改定し、過去の記事の構成や内容を見直してきた。

ただし、NotebookLMを使った「自分データベース」の構築は、まだ試していない。

今回の永松さんのお話を聞いて興味を持ったのは、これまでのようにAIを使って文章を整理するだけでなく、自分が蓄積してきた経験や記録を、自己理解のために活用するという発想である。

自分が過去に何を考え、何に関心を持ってきたのか。そうした記録をAIとの対話に活用することで、何が見えてくるのだろうか。

まずは10月21日に発売される永松さんの著書を読んで、NotebookLMの活用方法を学んでみたいと思っている。実際に試してみた結果については、改めてブログで紹介したい。

AIセルフコーチング──答えをもらうのではなく、問いを深める

後半は、渡辺佑さんによる「AIセルフコーチング」のお話だった。

コーチングでは、クライアントが自分の目標を明確にし、現状を理解し、そこからどのような行動を取るのかを考えていく。

今回紹介されたGROWモデルは、そのための代表的な枠組みの一つである。

  • Goal:何を実現したいのか(目標)
  • Reality:現在、何が起きているのか(現状)
  • Options:どのような選択肢があるのか(選択肢)
  • Will:何を実行するのか(意志・行動)

例えば、今後の仕事の方向性について迷っているとする。通常、生成AIに質問するのであれば、「これからどのような仕事をしたらよいか?」と尋ねるかもしれない。するとAIは、さまざまな選択肢やアドバイスを提示してくれるだろう。

しかし、セルフコーチングとして活用するのであれば、少し違った使い方になる。

「自分は本当は何を実現したいのか」「なぜ、それを大切だと思っているのか」「現在の状況をどう捉えているのか」といった問いを通じて、自分自身の考えを整理していくのである。

重要なのは、AIが答えを出すことではない。AIとの対話を通じて、自分自身が答えを見つけていくことである。

AIが優れた提案をしてくれることと、その提案が自分にとって意味を持つことは、必ずしも同じではない。最終的に何を選ぶのかは、自分自身の価値観や経験に照らして判断する必要がある。

ロルフィングとコーチングに共通するもの

今回の話を聞きながら、私はロルフィングやコーチングとの共通点について考えていた。

ロルフィングでは、身体の構造や動きを扱う。しかし、施術者が理想的な姿勢を決め、その形に身体を当てはめることだけが目的ではない。むしろ、本人が身体を通じて新しい感覚や動きの可能性に気づくことを大切にしている。

例えば、肩に力が入っている人に「肩の力を抜いてください」と伝えても、それだけでは変化しないことがある。自分がどのように身体を使っているのかに気づき、これまでとは違う動き方を体験することで、初めて変化が生まれる場合がある。

コーチングも同様である。コーチが正しい答えを教えるのではなく、対話を通じて本人が自分の考えや価値観に気づき、新しい選択肢を見つけていく。

こうした視点から見ると、AIセルフコーチングにも共通するものがある。

AIはさまざまな情報を整理し、自分では思いつかなかった問いを提示してくれる。しかし、そこで何に気づき、何を選択するかは、本人に委ねられている。

身体を通じた気づき、他者との対話を通じた気づき、AIとの対話を通じた気づき。それぞれ方法は異なるが、自分自身の経験を捉え直すという点では、共通する部分があるのではないだろうか。

ただし、AIとの対話と、人間同士のコーチングが同じというわけではない。人間のコーチングには、表情や声、身体感覚、関係性の中で生まれる気づきがある。AIには、それらを十分に共有できないという限界もある。

だからこそ、AIを人間の代わりとして考えるのではなく、自己理解を助ける新しい道具として位置づけることが重要だと思う。

AIに主導権を渡さない──技術よりも「在り方」

今回のイベントのメモの最後に、私は次のように書いていた。

「AIに頼ると考えなくなる」「主導権を渡さない!!」

生成AIを使う機会が増えるにつれて、私自身も、この問題を意識するようになった。

AIは、非常に短い時間で大量の情報を整理し、文章を作り、さまざまな提案をしてくれる。自分で考えるよりも、AIに任せた方が早い場面は確かに増えている。

しかし、AIが提示した答えをそのまま受け入れていると、いつの間にか、自分で問いを立てる機会が減ってしまう可能性もある。

私が生成AIを使う際に大切にしているのは、AIの答えに違和感があれば、その違和感を無視しないことである。

なぜ、この説明には納得できないのか。何が抜けているのか。自分は、本当は何を伝えたいのか。そうした問いを繰り返すことで、むしろ自分の考えが明確になっていくことがある。

これは、これまでロルフィングやコーチングを通じて考えてきた「スキル」と「在り方」の関係にもつながっている。

どれだけ優れた技術を身につけても、それをどのような目的で使い、相手や世界とどのように関わるのかによって、結果は変わってくる。生成AIについても同じことが言えるのではないだろうか。

AIをどれだけ上手に操作できるかという技術も重要である。しかし、それ以上に、AIとどのような関係を築き、自分自身の判断をどのように保つのかという「在り方」が問われているように思う。

おわりに──過去の経験を、未来の可能性につなげる

今回のイベントを通じて、改めて感じたのは、生成AIの可能性は、単なる仕事の効率化にとどまらないということである。

自分がこれまで何を経験し、何を考え、どのような選択をしてきたのか。その蓄積を振り返ることで、自分自身について新しい発見が生まれるかもしれない。そして、その発見をもとに、これからどのように生きたいのかを考えることができる。

私にとって、約2,000本のブログは、単なる過去の記録ではない。自分が何を考え、何に関心を持ち、どのように変化してきたのかを残した、大切な蓄積である。今回の永松さんのお話を聞いて、これらの記事を、過去を振り返るためだけでなく、未来の自分を考えるためにも活用していきたいと思った。

1月のイベントでは、自分のWHYを自分の言葉で語ることの大切さを学んだ。今回のイベントでは、そのWHYを理解するために、過去の経験をAIとともに振り返る可能性を知った。

自分を知ることと、自分を表現すること。その両方を行き来することが、これからのAI時代にはますます重要になるのではないだろうか。AIに答えを任せるのではなく、AIとの対話を通じて、自分自身の問いを深めていく。これからの生成AIの活用で大切なのは、AIに何ができるのかだけでなく、AIを使う私たち自身が、何を大切にしているのかを問い続けることなのだと思う。

永松さん、渡辺さん、貴重なお話をありがとうございました。


関連情報

書籍
永松ゆり『AI「自分データベース」(Gemini Notebookで、知らない自分に出会う/経験を、未来の味方に変える習慣)』
出版社:Standards
発売日:2026年10月21日

イベント会場
YOTSUYA BOOKS
https://yotsuyabooks.com

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