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【W#139】モロッコ(8)〜ラバト

モロッコの旅も残り2日。今回はラバト(Rabat)について取り上げたい。カサブランカを取り上げた際に、モロッコの近代史について書いたが、その続きで今回は王族及びモロッコ王国の国として将来どのように歩もうとしているのか?について記したい。
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第二次大戦後に独立運動を指導していたムハンマド5世は、フランスによって1953年廃位させられ、一時マダカスカルに亡命していたが、1955年モロッコへ帰国。1956年にモロッコは独立を達成する。1961年にムハンマド5世が死亡に伴って、ハサン2世が国王として引き継ぐ。複数政党制を推奨しつつ、米国と連携しイスラエルとアラブの関係を改善するのに一役買ったそうだ。国としては市場経済を導入。中東とは違って石油が取れないので、輸入に頼りつつ、農業(雇用の4割を占める)や観光業、リン鉱業(世界で第1位の埋蔵量)を推進した。そして本コラムで触れたが、道路の整備も進めていった。ただし、貧富の差が進んだことから、課題として残った。
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1999年、ハサン2世の死亡に伴って、ムハンマド6世が国王へ。当初指導者の資質があるのかどうか疑問視されたが、2005年からMudawanaという女性の地位向上する政策を取り始めた。例えば、国会議員の2割が女性、男性が離婚し、新たに再婚する場合には前妻の署名が必要、女性の大学の進学率が50%等。また積極的に社会的地位の差を機にすることなく国民との対話を重視する国王としてある一定の評価が得られているらしい。
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イスラム諸国は女性の地位はほとんど考慮されていないという印象を受けていたのだが、こういった話をローカル・ガイドから聞くについてイスラム諸国は、国によってスタンスが違うということを知ることができてよかったと思う。
モロッコは日照時間が極端に多いため(300日近く)、太陽光発電を積極的に進めている。将来は太陽光発電で発電を賄うことを考えているらしい。そして、環境に配慮した上で、緑(ヒマラヤスギ、オリーブの木)の植樹を進めている。なお、オリーブの生産はスペイン、イタリアほどではないが、世界の生産量の第6位を占める。
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現在、ラバトはモロッコの首都。城壁で覆われた都市という意味で人口は約65万人。モロッコでは第三の都市で商業都市としても盛んである。ここでは、ムハンマド5世の廟を見ることができた。
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まず、入口には1時間ごとに交代する馬の上に乗った兵隊さんが迎えてくれた。
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門をくくり奥へ向かうと、ムハンマド5世の廟が見えてきた。前述のようにモロッコ王国を独立へ導いた国王のお墓。
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中はイスラム文化特有の構造をとっており、ここでも幾何学的な模様を見ることができた。廟の入口には守衛が立っている(合計で4箇所に4人)。
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入口の周囲にも様々なデザインが施されている。
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廟の中に入ると、意外と大きく、壁の全てになんらかのシンボルが施させることに気づく。
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天井や壁も細部に渡りデザインが施されている。
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最後に廟の外で撮った写真を2枚紹介して終わりにしたい。
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この旅を通じて、キリスト教の教会やイスラム教のモスクなどの宗教施設を見ていると、非常に細部にこだわりを持って美しさを表現している。イスラム文化は偶像崇拝の禁止とコーラン、キリスト教の文化は聖書と、それぞれ決まった中でどのようにして宗教の美を表現するのか?を追求した結果としてこれらの芸術作品が残っているといってもいい。人間は創造性を保つためには、ある程度枠から外れた方がいいとよく言われるが、実は枠の中に納めた方が、創造性を発揮するのかもしれない。
この後モロッコを離れ、スペインやポルトガルに向かう。両国は、イスラム文化の影響をいい形で受け、発展させてきたところがいい。ゼビリアやリスボンについて触れる際には再度このことについて書きたいと思う。
ラバトの滞在はわずかで、翌日は国境を越えるために港町タンジールへ向かうことになった。次回はタンジールとスペインへの国境越えについて書きたい。

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