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【N#41】西洋の科学の考えは、キリスト教のみならず、イスラムを含めた外部からの刺激を受けて発展している

皆さん、改めてあけましておめでとうございます。
1月6日(月)より仕事を開始した。
年末年始は、2020年1月25日(土)に始まるセミナーに向けたリサーチのため、読書三昧。
科学(生物と化学)の歴史を集中して読んだ。
参考にお勧めは以下の2冊だ。


生物学(特に分子生物学や分子栄養学)の理解には、化学の歴史を知ることが大事。
ギリシャ時代から原子(元素)の考えはあったのだが、今の元素の考え方とはまるで違い、ざっくりとしたもの。4つの元素をざっくりと火、土、水、空気に分けて考えていた。
余談だが、今のタロットカードや占星術も4つの元素説を採用。その名残が残っている。
その後、アレクサンドロス大王が、バビロニア、インドへ遠征。
巨大な帝国を作ることで、バビロニア文化とギリシャ哲学が融合。
ヘレニズム文化が栄えるようになる。エジプトのアレクサンドリア図書館に情報が集まるようになり、錬金術や占星術の発展が始まる。
やがて、ローマ帝国がキリスト教を国教として採用。
伝統的な哲学者は、異教の弾圧を受ける。ギリシャのアテナイでプラトンやアリストテレスが開講した学校が529年に閉鎖。
800年近く続いたギリシャ哲学がヨーロッパから失われ、ペルシャ帝国に学者を匿うようになる。ペルシャ帝国は、発展の著しいイスラム諸国に滅ぼされ、イスラムが意志を受け継ぐ。

イスラムの指導者が、ギリシャ語の哲学、天文学(占星術を含む)、錬金術(後の化学)をアラビア語に翻訳。
12世紀近くまで、インドや中国からの思想も取り入れ、イスラムが科学をリードしていた。
面白いのは、その間、イスラム諸国で、錬金術や占星術の考えが大幅に整理される。例えば、蒸留の方法を含た実験技術が大幅に発展。

金属を溶かす王水の発見や、「アルカリ」「アルコール」「アルデヒド」の言葉、「アルジェブラ(代数)」は、アラビア人が作った言葉。そして今使われている「アラビア数字」もこの頃発明された。

11世紀以降、ヨーロッパが十字軍運動を展開。イスラム教徒に支配されていた聖地エルサレムを奪還するために戦争を仕掛けることで、イスラム世界と接触。
ヨーロッパの経済発展に伴って、12世紀に、スペイン、シチリア島、ヴェネツィア等で、アラビア語の本が今度は、ラテン語に翻訳。逆輸入される。
ラテン語に翻訳されたギリシャでの書物が普及。ヨーロッパでルネサンス(古代の思想の復興)が生まれる。
歴史を見ると、
キリスト教で神を理論的に説明する「神学」
と、
イスラムで発展した「錬金術」実験して物事を明らかにしていく「実験精神」
が結びつき、科学が発展していった側面があるといっている研究者もいる。

面白いのは、錬金術や占星術は、イスラムからヨーロッパに入ってきたときは、先端科学。
そして、商人経済が発展していたので、ものをありのままに見れるようになってきた点だ。
つまり、
古典(聖書やプラトン、アリストテレスの哲学)ではなく、実験・観察したもの(測れるもの、観察できるものを含め)を信じるマインドが育っていった。
それは17世紀から19世紀になって、大学、研究所、学会、学会誌といった仕組みが作られていく過程で、
「科学とは何か?」
が明確になる。
ニュートンの機械哲学やドルトンの元素の考えが明らかになるにつれて、錬金術や占星術、ホメオパシーは科学ではないと、徐々に排除されていった。

科学の歴史を知ることで、西洋医学の考えが、必ずしも、ヨーロッパだけで発展したものではなく、イスラム、中国、インドなどの影響を受けていること。
そして、
「昔は科学と言われていたものが、今科学と見なされていない」
時代によって変わっていくことがわかる。
大切なのは、
「科学か科学ではないか」
よりも
「効果のあるものは何か?」
科学的に検証する目ではないかと思う。

「からだの学校・ZERO塾」では、博士号をもち、科学の研究の世界にいた人から見た科学の歴史を伝えることで、一人一人が科学はどういうものか?を伝えていきます。
化学記号で挫折した方、文系で学んだ歴史が化学とどう結びつくのか?を知りたい方や、栄養学(特に分子栄養学)、食事、薬等、基本的なことを知りたい方は是非ともお越しください。2020年1月25日から始まりますが、まだ申し込みを受け付けています(詳しくは「身体の学校・ZERO塾・発想力(Part 1)で学ぶこと〜元素・化学結合・燃える・細胞・遺伝・エネルギー・病気の予防」参照)

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