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【N#113】分子栄養学に出会ってから3年②〜自分で試すのが一番+教科書通りに進まない

はじめに

こんにちは!東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。

3年前の分子栄養学との出会い+治療がひと段落

20年前(20代の後半)、東京大学の大学院生の頃にアトピー性皮膚炎を発症。

さまざまな治療に取り組む中、3年前に出会った「分子栄養学」によって、アレルギー症状も良い方向に進んできていることについては「アトピー性皮膚炎の治療から脱ステロイドまでの道筋」に書いた。

何を学んだのか①〜栄養療法は時間がかかる+試行錯誤の繰り返し

しかし、全てについて言えるが、方法論にこだわるのは危険。
実際、分子栄養学自体、全員には当てはまる万能な方法ではないと思っている。
大事なのは、
「その人がどういった状態なのか?」
それに基づいて
「仮説」=「正解を持って」
「適切な治療法」
を選択することだと思う。

実は、「分子栄養学」の治療に要した期間は合計3年だった(ひょっとしたら伸びる可能性もある)。
ポイントは
「短期間で良くなったことではないく、時間がかかったこと」
分子栄養学の知識を深めるのに重要だった。
もしも、これが短期間で良くなっていたら・・・、
知識で思う通りに行くので、その通りにやるとアドバイスしていたと思う。

3年間の間で、最初の1年順調だったが、「ボーン・ブロス・スープ」のグルタミン過多となり、鬱症状が発症。
脱ステロイドを行、スキンケアで保湿をしていたが、炎症がどんどん悪化する日々。
最終的に身体的にストレスがかかりすぎてしまい、炎症が悪化した時の血液検査の数値になった。
結局、一番最初の状態に戻ってしまうという事態になった。
(「アレルギー性皮膚炎とリーキーガット症候群、上咽頭炎の関係〜自分で検証して行った結果はどうなったか?」参照)

自分で本で調べながら、治療を進める限界を感じた。

何を学んだのか②〜栄養療法は教科書通りに進まない

そこで(2020年10月から)、お世話になったのが、ナチュラルアートクリニックの御川安仁先生だった。
御川先生の良い点は、
「どんなに問題があっても諦めることなく、色々とアイデアをいただけることだった」
だった。
具体例を挙げたい。

重金属排泄に重要となるのが、解毒回路の活性化。
だが、、、ビタミンB12、葉酸のサプリメントを摂っても、ホモシスティンの値が上がらない日々。
1)微量元素の一つ、水銀が酵素活性を邪魔して、ホモシスティンの代謝経路が回らず値が推移していること
2)細胞膜が傷んでいるため、細胞に取り込まれていないこと
等の可能性を御川先生と一緒に考えた。
最終的に、細胞膜の傷んでいるのを、フォスファチジル・コリンを補うようにした。
(「ホモシスティンの値が初めて低下〜細胞膜を整える、抗炎症、マインドフルネス」参照)

次に最も手強かったのは、炎症を抑えること。

血液検査で、抗炎症に働く「オメガ3」脂肪酸の値が十分に達しているのに、腸内細菌叢のバランスが崩れているため、その代謝産物(抗炎症作用を示す)が作られてないことも判明。
EPA(オメガ3)をたくさんとって、細胞膜の中にEPAは入ったとしても、
1)EPAの先の代謝産物(抗炎症を起こす物質)が作られず(これは腸内細菌によって作られる)
2)細胞膜からEPAを切り出す酵素の作用が弱い
といったことが起こると、炎症が治らないのだ。
EPAの代謝産物であり、抗炎症物資である「SPMアクティブ」(Metagenics)を補うことになった。

最後に、腸内細菌の中で、酪酸菌は、免疫系を抑制する制御性T細胞を働かせる可能性があることで、注目されている。
私は、酪酸を産生する細菌(ミヤBM)を補っていたが、炎症が抑えられなかった。
そこで、直接「酪酸」のサプリメントをとること
によって、免疫系を抑制する制御性T細胞を働かせることを期待した。
(ミヤBMを補っていても、最近が腸内に定着してない可能性があることを想定されるため)
(「分子栄養学の治療は一筋縄ではいかない〜有害ミネラル排出後の治療方針」参照)

このようにいくつかの工夫をする上でも、最終的に炎症のマーカーが徐々に治ってきた。
医師の御川先生の力は本当に必要だった。

究極だったのが、2022年8月に出会った注射剤のデュピクセント。
代官山のマイコホリスティックスキンクリニックの皮膚科医・山崎まいこ先生からの紹介いただいた治療薬。
薬の値段は高いが、切れ味が抜群。
2週間に1回、皮下注射を1年継続することが条件になるが、
私自身、3回目の注射後に、栄養療法では難しかった脱ステロイドに成功できた。

何を学んだのか③〜知識よりも大事なことは?〜偏見抜きに観察すること

栄養療法に限らず、全てのことに言えるが、、、
「何が問題なのか?」
偏見抜きに自分のことを観察していくことが大事なのでしょう。
専門家の意見を聞く。そして、自分なりの答え=仮説を持って検証していく。
話を聞いて「自分自身が納得できる」手段を試す。
(例えば、パワーストーン、メガネ、ヨガ、瞑想、東洋医学、西洋医学の薬、分子栄養学)
その中で、自分のあったものが見つかっていく。

身体を観察する時「覚えたての知識」を持ってしまうと、どうしても知識のレンズで見てしまう。
基本、
「人間って見たいものしか見れない存在」
どういった「枠組み」で見ているのか?意識化しないと、無意識=自動的に物事を見てしまう。
すると、新しい気づきが出てこない。

ただし、これについては悩ましいことがある。
「思考に枠組みがある」を学ぶためには知識が必要。
だが、知識から離れる必要もある。この2つをどうやって伝えていったらいいのか?
それこそが栄養療法を学び深めていく醍醐味だと思う。

何を学んだのか④〜挑戦+多くの失敗をすること

今の教育って「失敗してもOK!」という教え方をせず、正解のある問題に対して、どう効率よく正解を出すかに重点が置かれすぎている。
失敗する、挫折すると、レールから外れるので、できるだけ失敗したくない。
が、学びが深まるのは、失敗を通じて。枠組みから離れるためにも、失敗は必要。
実際、私も3年間の間に、何度か栄養療法で炎症が悪化し、どうしたらいいのか、途方に暮れることが多かった。

挫折(失敗)経験があると、人生って思う通りにいかない、自分のやった通りにうまく進むことはない、と自覚する。
担当する医師に過度の期待をしない。
相手と自分は所詮、違う考え方、枠組みを持って物事を見るのだ、と気づくのはそういった瞬間だと思う。

まとめ

分子栄養学の知識を深めるのは、自分で体験するのが一番。
原理原則を知った上で、自分なりに試して応用する。試行錯誤を繰り返し、最終的に正解を見つけ出す。
「思った通りに進まない」ことが多いが、
そういった経験を自分ですることこそが大事。

栄養のアドバイスをするようになったとしても、自分の考え方、知識って、他人にアドバイスしたところで、相手が「能動的」に動かないと意味がない。
大事なのは、その人の考え方を理解することに努め、一緒になって、正解を見つけること、それを手助けすること。
本当に納得感を持っていただくことことが鍵なのでしょうね。

今回は、3年間の治療の経験を通じて学んだことをまとめさせていただいた。少しでもお役に立てれば幸いです。

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