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【B#26】システマと「身体を感じる」

2015年8月〜2015年3月の期間内で開催されたロルフィング・トレーニングで話題になったのが、ロシア武術から派生したシステマ(SYSTEMA)。ヨーロッパ各国から参加した生徒とYouTubeの動画を見て盛り上がった記憶があった。徹底した脱力と柔らかな動作でなんで、簡単に人が倒れるのか?Wikipediaを調べると、ロシア版合気道とも言われているらしいが、世界一周前にも「ストレス、パニックを消す!最強の呼吸法 システマ・ブリージング」を読んだことがあって、システマについて興味を持っていた。
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今回、新たにロルフィングと関係の近いボディワークからみたシステマについて書かれた本、北川貴英氏の「システマ・ボディワーク 自然で快適に動き、【本来の力】を最大に発揮する!」を手にとって読んでみた。
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システマは、快適でなおかつ心身ともに自由闊達に動く状態を追求するという。それを「ニュートラル」と表現。ここでの姿勢とはバランスを調えるという意味で使っている。そして、バランスが崩れれば、身体が歪み強張りが生まれることになる。開発者のミカエル・リャブコ氏によると、
「私たちにとって最も重要なことは、自分の体を感じ取れるように、そしてどの部分が締め付けられているかを理解できるようにトレーニングすることなのです」
この言葉を見ると、ロルフィングと着眼点が似ていることに気づく。特に注目したいのは、「身体を感じる」という箇所。本書に書かれている言葉を引用しながら、ロルフィングがどういったところに注目しているか?考えてみたい。
1)意思に従うことなく力んでしまう筋肉は、意思でゆるめることも出来ません。これをゆるめるためのテクニックは無数にありますが、大まかな原理は次のようにまとめられます。1)息を吐くことでゆるめる、2)筋肉を力ませた反動でゆるめる。3)感じることでゆるめる
→「力を抜くこと」に関しては、【RolfingコラムVol.11】で触れたことがあるが、呼吸を通じて力を抜くことは、【RolfingコラムVol.118】で取り上げたことがあったのが、3)感じることでゆるめるということは、今まで書いたことがなかった。これは次へとつながる。
2)身体から脳へと伝わる情報と、脳から身体へと伝わる情報はそれぞれ、「情報収集」と「動きの指示」という二つの働きとしてみなすことができます。筋肉はこれら二つの働きを担っていながら、同時進行することができないのです。ですから「情報収集」に専念しようとすると、自ずと力みが抜けていきます。
→ロルフィングでは、視覚(Visual system)、内耳感覚(Vestibular system)、筋感覚(kinesthetic system)の3つの要素があって初めて姿勢のバランスが調っていると考える。上記は、筋感覚を意識するという考えに近い。
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手、足、頭・顔を含めた外部感覚器官が外部情報をしっかりと受け取り、身体の内部に情報が伝えることができるかどうか?という意味である。ロルフィングではPalpatoryやHapticという言葉で表現していき、足や手がしっかり動けるようになり、情報が受け取れる状態になることが大切となる(【RolfingコラムVol.31】参照)。
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3)正しい姿勢とは、すべてがなすべきことをしている状態です。骨格は身体に構造を与え、筋肉はリラックスして必要な時だけ力を出し、関節はゆるんで、しなやかです。
4)軸や重心といったものは、リラックスすれば自ずと生まれるものだ。ともかくまずはリラックスが優先で、あえて意識して作る必要はない。
→最近、私自身ロルフィングのセッションを行っていて感じるのは、あえてその人の身体を一気に変えることではなく、如何にしてリラックスできる姿勢を整うのか?また、ロルフィングを通じて新しい選択肢をどう自分の中で消化していくのか?が重要(【RolfingコラムVol.34】参照)で、整うのは結果論のように感じている。
Session 2 notes, Giovanni, Oct 2014
5)姿勢を崩す最大の要因は、自分自身です。身体を動かそうとすれば必ずバランスが変化し、筋肉の緊張を生まれます。そのすべてが姿勢を歪めてしまうのです。そうかといって、行動せずにいるわけにもいきません。ですから姿勢を崩さないように動くためのトレーニングが必要となります。中でも重要なのは「歩き」です。
→ロルフィングでは歩行に注目する。それは、歩行は誰もが必ず行っていることであるからというのと、上記を参考にするとより理解しやすい。
6)身体は繰り返した動作を学習します。(略)その鍵となるのが、身体から脳へと送られる情報です。身体を動かせば筋肉が緊張し、姿勢が変化します。身体はその情報を遂一脳へと伝達しています。脳はそのデータを用いて、神経回路を構築するのです。その作業は睡眠時などの休んでいる時に活発に行われます。つまり脳は、トレーニング中、情報収集に努め、休養時に情報を使って動作のプログラムをアップデートさせるのです。
7)求める動作や状態を学習するプロセスをいかにして効率よく行うか。そのためにできることは、脳にできるだけたくさんのデータを送ることです。つまり神経回路を構築するための材料を、できるだけたくさん確保するようにすることです。
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8)脳へと送られる情報は、身体を意識しながらゆっくりと動くことで、増加します。逆に素早く動いてしまうと、脳に送られる情報は著しく減少します。な ぜなら、脳は動作を「姿勢の連続」として捉えるからです。ある姿勢から次の姿勢に移るまでの間は、これまでの経験やその動作にかかった所要時間などから途 中経過を推測することで動きとして解釈します。1秒あたりのコマ数が増えれば増えるほど、どんどん動きはなめらかになっていきます。
→ロルフィングで施術を行う際に、ゆっくりと動きを取り入れることがある。その際に、素早くやる人が見受けられるが、素早くやる方が実は簡単である。ゆっくりと動くことを伝えているのは、上記に書かれている通りで、ゆっくりと動かすことで身体内での新しい神経回路が出来てくるという意味合いがあるためだからだ。
ロルフィングは、言葉で説明するのが難しいと思うことがある。そういった意味で他のボディワークから学ぶことっていうのは思いの外大きいと思う。これからも様々な本を手に取り、身体と言葉について考えていきたい。
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