【W#153】スリランカ(3)〜ローズ・クォーツ・マウンテン
キャンディ市の仏歯寺を訪れた模様については前回書いた(【旅コラムVol.162】参照)。キャンディという街自体が仏教の街ということもあるのでしょう。仏歯寺にきて感じたのは、スリランカの人たちにおいて仏教が大きな影響を与えているように思う。お寺の雰囲気も自然に囲まれているということもあり、国民が上手に自然と共生しているという印象を受けた。
ガイドさんの話によると、お坊さんになることを決めるのは6歳頃。スリランカでは星占いというのが国民の中に浸透しており、星占いの結果を見てお坊さんになるかどうか決めていく。お坊さんになるということは、瞑想し、悟りを開くということ。経済的には無縁になってしまいそうだが、国としてどのようにサポートを受けるのか?ということについて質問したところ、国ではなく、日本における檀家さんが大きな役割を担っているらしい。檀家さんは働きながら仏教に帰依している人たちだが、お坊さんやお寺に寄付によって御利益(欲望がなくなる=悟りに近づく)があるということで支えている。
キャンディで、興味深かったのはカースト制度について聞いた時だった。1972年にスリランカは社会主義化されて、人間は平等、カースト制度についてはようやく崩壊したとのこと。そうはいうものの、仏歯寺のようないいお寺の場合には、カーストの高い人たちがトップに君臨するところは、未だ過去の部分の影響を受けているといってもいい。
スリランカの現地のガイドによると、仏教は宗教というよりも幸せになるためにどのような生き方をしていったらいいのか?という哲学に近い考え。それが現れてているのは、現生利益の考え。何かをお願いする時には、仏教ではなく、ヒンズー教の神様に祈るということだ。そのこともありお寺と寺院が同居するケースが多いらしい。もちろん仏歯寺も同じようにヒンズー教の寺院と同居している。
さて次の目的地であるアイアンウッド国立公園内にあるローズ・クォーツ・マウンテンへ向かう前に、アーユルヴェーダの専門店に行くことができた。
一般の店の中に、様々な症状(アレルギー性皮膚炎、髪の問題(ハゲ、白髪)、生活習慣病)を店員の人たちに話せば、それに相応するようなハンドクリーム、オイル、お茶葉などを紹介してくれた。
非常に小さな店だったにもかかわらず、いろいろな種類のものがリーズナブルな値段で置いてあり、一般市民も利用するらしい。
さて、アーユルヴェーダの店で時間を少し取ったあと、いよいよ次の目的地のピンク・クォーツ・マウンテンへ。日本人観光客にとって馴染みの薄いこの場所については、今回のガイドを務める岩瀬さんのブログに詳細が書かれている(「ローズクォーツマウンテンに行こうと思う」参照)。
その記事によると
「ローズクォーツは、パワーストーン的には「自分を愛すること、大切にすること」を教えてくれる石だと言われています。自分の欠点やコンプレックスに目を向けるのは簡単だけど、自分を大切に思って自分を愛する。そうすることで、他人にも優しさを持って接することができる・・・」
と書かれている。期待を胸にアイアンウッド国立公園内の森林の中に入り、ローズクォーツへ向かった。
森林の中に入った段階で、蒸し暑く、汗が出ているにもかかわらず、空気が澄んでおり、心地がいい。おそらく、スリランカのナーと呼ばれる国樹が落ち着かさてくれるのだと思う。その木は瞑想にいいらしい。
歩くこと40分近く。ローズクォーツの山が見えてきた。
ピンク色というよりも限りなく白色に近いピンク色。1991年にラフラ僧侶によって発見した当初は、ピンク色だったそうだが、少しずつ色が退化しているらしい。そうはいうものの、実際に石を拾ってみると、ピンク色を帯びていた。
頂上には仏像とともに素晴らしい景色・眺めを拝むことができたが、風が強かった。
下山前に、ハーブ茶とスリランカ版黒砂糖が喉の渇きを潤してくれた。
その晩は、スリランカを代表する建築家、ジェフリー・バワがデザインした代表的ホテル、カンダラマへ。自然と共生するためにデザインされたホテルだけあって、空気が澄んでいてとても快適な2泊の宿泊になった。
翌日はスリランカの目玉シギリヤロックとポロンナルワのある仏教遺跡巡りとなる。次回に取り上げたい。