【W#133】モロッコ(2)〜フェズ・メディナ
いよいよモロッコに入国した。砂漠、ラクダのイメージが強いが、今回の旅の目的はスペイン文化を知ることにあるため、6日間の旅でサハラ砂漠を訪れることはなさそうだ。その代わりにモロッコの4つの都市、フェズ、マラケシュ、カサブランカ、ラバットを訪れる。ここでの6日間、どのような体験ができるのか非常に楽しみだ。
モロッコは、アル・マグリブ(al-Maghrib)からきており、意味は「日の没する地の王国」。通称はモロッコ王国。先史時代にはベルベル人と呼ばれる北アフリカに古くから住むベルベル語を話す人たちが住んでいた。ベルベルの意味は「わけのわからない言語」。マラケシュで、ベルベル人の住居を訪れることができたので、その時にベルベル人について触れたい。
モロッコはローマ帝国に支配されたのちに、ローマの主要な宗教だったキリスト教圏に入る。転機が訪れるのが8世紀初頭。東ローマ帝国の力が弱まると、ウマイヤ朝の軍隊がモロッコを制覇。イスラム教が初めてこの地域に入ってきた。参考に718年、アラブ人はモロッコを拠点にしてジブラルタル海峡を渡ってスペインを征服することになる。アラビア語でアル・アンダルスと呼ばれる王国の誕生した瞬間だ。
808年、モロッコ王朝のイドリース朝の首都して、フェズ(Fes又はFez)を建設。モロッコに存在した過去のイスラム王朝の首都として栄えてきた。また首都建設当初にアラブ人に移民を多く受け入れたことから、最もアラブ文化の濃い都市とも言われている。
フェズは、カサブランカに次ぐ第2の都市。人口は110万人。フェズには2つのメディナ(アラビア語で市又は村の意味)がある。そのうち、Fes el Bali(フェズ・エル・バリ)と呼ばれる旧市街は808年に建設されたままの姿で残っているが、車が中に入れない。その代わりにロバが移動手段になっている。
観光は、メディナと呼ばれる旧市街の全体を一望後、マンスール門に立ち寄る。現国王がフェズに滞在の際に使う王宮がこの中にある。アルハンブラ宮殿を見たときのような幾何学的な模様を織り込んだ手作りの門になっている。
ローカル・ガイドを伴ってフェズ・エル・バリに進む。モロッコの特徴はメディナは全て城壁で囲まれていることだ。
中に入ると、街が迷宮のように設計されている。間違いなく、ガイドを見失うと迷子になる。
フェズ・メディナの地理に詳しい人がガイドを付き添いながら観光が始まった。
この街には人が先祖代々住んでいて、電気代と水道代以外は無料。郵便がどのように配達されるのか?不思議に思うのだが、実はドアに名前が書いてあることで、識別できるらしい。
細い道を通りながら、食料の素材を売っている店、書店、衣服屋、不動産屋、大学、モスクを見た。想定できるあらゆるジャンルの店が旧市街の中にはある。
旧市街はUNESCOの世界遺産に登録されているため、UNESCOより施設の老朽化に伴う補修のためお金が入っている。そのためか、川沿いや毛皮の染色施設等は工事中だった。
絨毯販売店は、一見店がなさそうな場所になる。しかし、中に入ると派手に装飾されていて店の存在感が伝わってくる。ここにも外面よりも内面重視のイスラム文化に触れることができる。
フェズ・メディナを歩くとまるで昔にタイムスリップした気分になる。UNESCO及び世界各国の支援のもと、モロッコ政府は必死になって保存作業を進めている。後に触れるがモロッコは北アフリカの中でも非常に近代化が進んだ国だ。こういった歴史のある場所は是非とも残して欲しいと思う。
次に、フェズから少し離れたもう一つの首都メクネスについて書きたい。