ブログ論壇の誕生 佐々木俊尚 8冊目
インターネットでウェブサーフィンを行うと、たくさんのブログが目につく。私自身、RSSレコーダーで40近く登録しており、絶えず興味のあるブログは updateしている。また、自分も最近ブログを書き始めた。そのブログ自体、世の中に、マスコミ、学界、有識者よりも大きな影響を与えているとのこと、 今後とも大きなインパクトを与えることが予想されるらしい。
そこで、ブログについて、現在社会にどのような影響を及ぼしているのかを知りたくて、佐々木俊尚氏の「ブログ論壇の誕生」を読んだ。
まず、佐々木氏は論壇についてドイツの社会学者のユルゲン・ハーバーマスの言葉を引用している。
1)討論への参加者がどのような社会的地位をもっているのかは、度外視されていたこと
2)それまで教会や国家によって当然のことだとされていた問題も、タブーなしに自由に論議すること。
3)誰もが自由に、討論に参加できること
この基盤がジャーナリズムを作り、近代批評を生んだとのこと。
しかし、19世紀以降、誰もが討議能力を持っているわけではないので、やがてそれが知識人により構成される学界と大衆の世論を集約するマスコミの二つに二分化された。
それがブログによって再び、その構造が崩れて、ブログ論壇が誕生し、今後その影響力が大きくなるという。
いろいろな実例を挙げながら、その影響力が徐々に大きくなっていることを取り上げている。私自身がこの本で一番興味を持ったのは、ブログ論壇の世界で追及する際のスタイルについてで、佐々木氏は以下のように述べている。
ブログ論壇の世界では
1)議論の土台となるニュースソース(情報源)をきちんと提示し
2)そのソースに基づいてロジックを破たんなく積み上げていく
という議論スタイルが強く求められ、情念に頼ることは敬遠されること。
例 えば、共産党の志位和夫委員長が雇用格差の問題について取り上げたときに、霞が関から引き出されたデータ、全労連経由で集められた証言を一つ一つ提示し、 論理を重ねて政府へ攻めていくというやり方は説得力があり、福田首相、舛添厚労相をたじたじにさせた。しかも、このことがブログ論壇から喝采を浴びたとの こと。普段は全く興味をひかない国会がこのような形で取り上げられることこそ、新しいブログ論壇の時代を告げるものだと佐々木氏はいう。
ブログも今後、いろいろとチェックしていこうと思うが、この本を読んで、もっといろいろなブログを読んでみたくなった。
私 自身、いいブログというのは、たしかに、佐々木氏がいうように、情報源をきちんと入手したうえで、論理を組み立てることは重要だと思う。私はそれに加え て、是非この情報は面白いから伝えたいのだという情熱という部分も重要ではないかと思う。心から感動したこと、岡本太郎の作品を紹介した時に触れたが、そ ういった心からのことは必ず文章がある程度うまくなくても伝わるのではないかと思う。
今後ともブログに注目し自分のRSSリーダーのリストをくわえていきたいと思う。
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