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生き残る技術 小西浩文 13冊目

昨年とある講演会で、登山家の小西浩文氏についてのエピソードが出てきた。
いわく小西氏がもっとも重視するのは、人に対する見る目。なぜならば、登山は一人で登るだけではなく、周りの助けをもらわないとできないこと。それができないと、命にもかかわってくる。だから人に対する見る目が重要なんだと。
へぇ、これって面白い。もし、小西氏の本が出たら読もう!と思っていたら、今年の1月に新書で、「生き残る技術」を発見。そこで、この本に人間に対する見る目が書かれているかどうかを見ながら読んでみた。
実は、この本を通じてわかったことだが、彼自身のチームを作る際には、人選を最も重視するとのこと。登山をするということは、ある意味で、「限界を超える」ための組織を作ること。使えない人間を一人前に教育する組織ではないと彼はいう。以下、彼の言葉を引用すると
「人 選を誤って、そのような組織に「素人」を入れてしまうと、その人にも組織にとっても不幸である。この「素人」にすると、自分には分不相応な目標に対して、 能力的にも、精神的にも追い詰められる。つまり、「悪い困難」になってしまう。ほかのメンバーも、この「素人」の面倒を見たり、フォローをしたりしなくて はならず、結局、チーム全体が本来の力を発揮できなくなってしまう。みんなが不幸になるのだ。」
と述べ、実際に、そういった人を背負いこんで、失敗した事例を紹介している。では、小西氏の人選はどのように行っているのか?
彼が重視しているのは、ずばり「顔つき」。
実際に、登山のパートナーを選ぶとき、あらかじめ顔写真を送ってもらい、顔面の筋肉に注目するのだ。実は、意外と知られていないが、顔は筋肉の塊である。そして、
「筋 肉という器官は、脳の影響を色濃く受ける。筋トレをしたことのある人ならばおわかりかもしれないが、ただ腕たて伏せや腹筋運動をするのではなく、筋肉がつ いた状態をイメージして鍛えると、数倍のトレーニングの効果がある。太い腕になりたいと思って、集中してトレーニングすれば、やはり腕は太くなる。
(略)
そもそも、ものをとる、つかむ、歩くなど、脳の指令をダイレクトに受けて、その通りに動くのが筋肉の役割である。脳と筋肉は繋がっているのだ」
という。つまり、顔とは「脳が作った形」だということ。つまり、顔にはその人の心が現れるのだ。そして、小西氏の経験から
1)人生に対して前向きな人は、やはり口角がきゅっと上がっている
2)後ろ向きな人は、口が下がっている
3)人生という勝負を攻めている人間は、目の周りの筋肉が発達している。
と述べ、顔つきは、その人の生きてきた履歴であり、歴史と表現している。
その後、直接会って、プライベートなこと、実際に五感を使って、最終的に人間としてチームに加えるか判断するとのこと。
なるほど、顔つきにはこのように深い意味があるのだと、この本を読んで改めて、人に対する見る目の奥深さを実感した。よく自分自身も人間観察をし、目を見て、まっすぐ先を見る人はまず間違いなく、前向きな人間で、自分自身を高めてくれる人だということが判断できる。
人間関係はいわば鏡。自分自身が成長していい人間になっていくためには、いい人間が周りにいることが必須。そのためにも、人間に対する見る目は私自身は大切だと思う。今後、もっとこの顔つきというものに注目し、人間に対する見る目を養っていきたい。
生き残る技術 -無酸素登頂トップクライマーの限界を超える極意- (講談社プラスアルファ新書)/小西 浩文

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